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東京財団政策提言「郵政改革試案−国民ニーズに合致した郵政サービスへ−」 [2010年03月31日(Wed)]
これまで何度かご紹介しておりました、郵政の扱いに関する政策提言「郵政改革試案−国民ニーズに合致した郵政サービスへ−」を公表されました。先月公表した『郵政改革試案(中間報告)』の“中間報告”が取れたものです。東京財団の石川和男上席研究員を中心にとりまとめました。

現在の民主党政権との方向性とは真逆ですが、郵政の「選挙対策」的側面を捨象し、国民の目線、地域の目線で、ゼロベースで議論を積み重ねた結果です。ぜひご覧いただければ幸いです。
Posted by 佐藤孝弘 at 18:50 | 経済 | この記事のURL
「財源なくても法人税改革は可能だ」森信茂樹 [2010年03月31日(Wed)]
東京財団上席研究員の森信先生が、「あたらにす」に標記の記事を書いておりますのでご紹介します。

法人税減税は重要ですが、「では財源は?」となったとき、「消費税で…」では時間がかかる。これをどうするかという点についてのリーズナブルな解決策を提示しております。税収中立でも経済効果を得られるのですね。これならすぐにでもできます。是非お読みください。

記事はこちらをクリック
「郵貯限度額2000万円で決着」(「日本経済新聞」2010年3月31日朝刊1面) [2010年03月31日(Wed)]
昨日、郵政事業見直しを巡る閣僚懇談会が開かれました。最終的に「総理一任」を受けた鳩山総理が亀井案に沿った形で郵貯限度額を1000万円から2000万円。簡保の加入限度額を1300万円から2500万円に引き上げることを決めたそうです。

総理は記者に対し、「私に一任を受けて、即断即決しなければならないという判断で決めた。(閣僚も)納得したと思う。」と自身の「リーダーシップ」をアピールしたとのこと。

そもそもリーダーシップがあればこのような事態にならなかったのでは、と思うのですが、それは置いておきまして、総理どういう理由でこうした「決断」をしたのか、その説明が一切ないのが気になります。

少なくとも、以下の3点についての説明がなければ、単なる選挙対策であると言って良いと思います。実際のところは「亀井大臣に押し切られた」ということかもしれませんが…。

・郵貯限度額引き上げによる地銀・信金への悪影響について
・増加するであろう貯金の運用方法と見通しについて
・郵便局を維持することで生じる穴を郵貯・簡保で埋めようとする発想に問題はないか

特に3点目、このような発想に立っている限り、郵政の「JAL化」は避けられないように思います。普通に考えて、往々にして稼ぐ側(郵貯・簡保)にとってはやる気が削がれ、もらう側(郵便局)にとっては責任が不明確化してモラルが低下すると思うのですが、鳩山総理や亀井大臣はどう考えているのでしょうか。

郵政の考え方については、先日東京財団出した郵政改革試案のほか、もうすぐさらなる提言が出る予定ですので、楽しみにしていただければと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 10:07 | 経済 | この記事のURL
「主婦パート 最大の非正規雇用」本田一成 [2010年03月30日(Tue)]
非正規雇用をめぐる議論は非常に多いわけですが、主婦パートについての分析や政策論があまりなかったように思います。「クビになったら直ちに家を失う単身派遣労働者」などのほうが、絵的にもインパクトがあるので、メディア等ではどうしてもそちらに注目が集まる一方、主婦パートが抱える問題にはあまりスポットがあたっておりませんでした。

ところが、主婦パートの総数は800万人。非正社員全体の4割強を占めるわけでして、政策を考えるうえでは絶対に軽視できない層です。著者の本田先生は経営学者とのことですが、現場の調査やヒアリングを相当積み重ねてこられたようで、一つ一つの事例にリアリティがあります。

もともとは補助的な業務が中心だった主婦パートも、80年代の「パート戦力化」、90年代の「パート基幹化」の流れにより、正社員と変わらない仕事をこなすようになってきました。本書ではこの状況を以下のように解説します。

「例えば、あるスーパーの鮮魚部門の正社員と主婦パートの分業状況を子細に観察したところ、アジやサバの二枚おろしや三枚おろし、イワシの手開きなどの加工作業といった定型作業において、販売量から見れば基幹的な存在といえる2のタイプの主婦パート(基幹・定型作業)の姿があった。
 こうした作業に習熟した主婦パートの中から、加工作業だけでなく、売場に出て商品の売れ行きの法則をつかみ、加工量や加工のタイミングを正社員と相談する主婦パートが出てくる。正社員なみの判断力が養成されたわけだ。
 また、本社ではなく店ごとに棚割を決める余地が比較的あるホームセンターでは、正社員には、売れ行きを見て的確に商品の陳列を変更するという重要な非定形作業がある。そこには、正社員の指示に基づいて、商品の位置を変えたり積み上げたり、元に戻したりするのを補助する4(周辺・非定形作業)のタイプの主婦パートがいて、基幹作業の一端を経験している様子が見られた。こうした経験に基づき、主婦パートが、正社員レベルの商品知識とともに、的確な判断力を獲得していく。」

小売業で働いたことのない方には分かりにくいかもしれませんが、適時の陳列変更や売価変更などを行うか行わないかによって、売上にかなりの差が出てきます。そうしたレベルの高い仕事を徐々にこなすことで、主婦パートは生産性を高めてきたわけです。

生産性が高まればそれに見合った賃金が支払われて当然ですが、大きな壁が立ちはだかっています。それが「130万円の壁」です。

130万円の壁とは、例えば、サラリーマンの夫を持つ専業主婦がパートに出て、年間収入が130万円を超えたとき、健康保険と年金保険料についてそれまで夫の扶養家族として加入している社会保険制度から離れなければならないという問題を指します。その瞬間手取り収入が減少してしまうので、多くの主婦パート労働者が130万円の一歩手前で収入を抑えています。また、社会保険料の事業主負担分を嫌う企業の側にも、130万円以内に抑えさせようというインセンティブがあります。

この壁は極めて高いわけです。筆者は主婦パートの賃金の低さの原因として多くの企業がこの状況に「つけ込んで」、生産性以下の賃金で働かせていることにあると分析します。130万円の壁が企業や労働者の行動にかなりの歪みを与えていることが容易に想像できます。本書の主張と同様に、私も130万円の壁は直ちに撤廃すべきだと思っておりますが、どういうやり方がありうるのか、今後より具体的に考えていきたいと思います。(なお、先日東京財団で出した政策提言「新時代の日本的雇用政策〜世界一質の高い労働を目指して〜」においても、130万円の壁をなくすことを提言しています)

また、生産性に関連して、筆者は重要な指摘をします。

「ほとんどの経営者は、人件費の問題を「支払い能力」であっさり片づけようとする。そして、「人間を無視した経営をしているひどい会社だ」と後ろ指を指されないために、「学者は経営の現場がわかっていない」とほえる。
しかしながら、人件費の削減によって会計上の「生産性」や利益を嵩上げするのではなく、ビジネスの中身をよく検討して「生産性」や利益を向上させるための方策をとり、人件費に見合うようにするのが本物のマネジメントである。」

もうすこし噛み砕いて言いますと、企業の「儲け方、利益の出し方」は様々にあります。商品を磨く、販売方法を工夫する、効果的なイベントを打つ、営業部隊を鍛える、改善により生産コストを減らす…などなど無限にあるわけです。その中でも「労働者への賃金支払いを生産性よりなるべく下に抑える」というものは、商人の道に反しませんか、それ以外の部分で競争すべきではないですか、ということでしょう。

「労働者への賃金支払いを生産性よりなるべく下に抑える」やり方はいろいろあります。その中の一つが130万円の壁を利用するというものでしょう。日本の経営者の方々がこうした邪道ではなく、なるべく王道を行っていただくことを願っていますし、そうした方向へ向くインセンティブを与える政策を考えていきたいと思います。

以上、いろいろと述べましたが、雇用の問題を考える上で必読書だと思いますので、是非お読みいただければと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 15:12 | 経済 | この記事のURL
「学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ」安田洋祐編著 [2010年03月29日(Mon)]
以前のエントリでもお知らせしていた「学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ」(安田洋祐編著、NTT出版)が発売されました。アマソンや一般書店でも入手できる状況になったようです。

本書は、東京財団仮想制度研究所(VCASI)における研究プロジェクトである、学校選択制デザインプロジェクトの研究成果をとりまとめたものです。私も第一章を執筆しております。

私は主に教育委員会へのヒアリングなどを通じた実態調査を担当しましたが、お話を聞けば聞くほど、時折メディアから流れる過激な学校選択制批判とは異なる実態が存在しました。我々はそれを反面教師として「まず結論ありき」という姿勢でなく、真摯に現実をとらえるよう注意を払ったつもりです。

本書を出発点として、教育行政の現場ともさらに活発な意見交換を行い、より良い制度改正を実現できればと思っています。学校選択制の制度改正に関心を持つ自治体の方々がいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けいただければ幸いです。


(目次)

出版によせて(青木昌彦)
まえがき(安田洋祐)
プロローグ(安田洋祐)

 ―第1部 学校選択制の現状分析―
第1章 日本における学校選択制(佐藤孝弘)
第2章 米国における学校選択制(友枝健太郎・成田悠輔)

 ―第2部 学校選択制の理論分析―
第3章 マッチング理論による分析(瀧澤弘和・川越敏司)
第4章 米国におけるマッチング理論の実践(友枝健太郎・成田悠輔)
第5章 学校選択問題のフロンティア(小島武仁・安田洋祐)

 ―第3部 より良い学校選択制をめざして―
第6章 学校選択制に関する政策提言(安田洋祐)
Posted by 佐藤孝弘 at 10:48 | 教育 | この記事のURL
「融解連鎖」風間直樹 [2010年03月26日(Fri)]
東洋経済の敏腕記者、風間直樹さんの新著で、前作「雇用融解」の続編的な本です。前作の評価が非常に高かったため、今回はどうかな…と思って読んでみると、さすが、まったく期待を裏切りません。読んで損はない本だと思いました。

労働者、経営者、組合など、労働をめぐる諸問題の当事者へのくい込み具合が前作より増しており、地べたを這いながらの必死の取材を想像させます。その結果分かった事実を淡々と記述し、日本の労働の抱える問題点を抉っていきます。

個人的に一番興味深かったのは第3章「派遣業大手グッドウィルの破滅」の部分で、感慨深いものがあります。私は経済産業省を退官し、自営業を始めるまでの間、さまざまな非正規雇用の現場を経験しました。グッドウィルで日雇い派遣も経験し、そうした現場がいかに悲惨であるかを経験しておりました。

グッドウィルは違法な二重派遣のスキームで、派遣法で禁止されている港湾業務への派遣を行っていました。そうした違法な派遣の被害者の男性のエピソードが以下のように綴られます。

「…07年2月、GWスタッフとして東和リースを介した二重派遣で港湾業者・笹田組の指揮下で作業していた27歳の男性が、左脚を脱臼骨折し3本の靭帯が切れる重傷を負った。ヘルメットも与えられず倉庫内の荷崩れを戻している最中、再度の荷崩れに巻き込まれた。笹田組の所長は救急車を呼んでくれと何度も叫んだ男性の主張に耳を貸さず30分近く放置し、結局、自社のワゴン車で新橋の病院まで連れて言った。処置までの時間ロスが響き血行障害を起こしており、危うく片足切断こそ免れたものの、3カ月もの入院生活を余儀なくされた。」

「男性は6年前から時期によっては月曜日から金曜日までほぼ毎日、GWの定番として働いてきた。そんな男性が罹災後、見舞いに訪れたGWの支店長に真っ先に尋ねたのが、同社独自の「保険」の支払いについてだった。それに対して支店長は「保険はない。今回は労災で賄う」と返答した。この「保険」こそが、一稼働につき200円控除さえっる不明朗な賃金天引きとして社会問題化した「データ装備費」だ。当時男性に渡された「スタッフマニュアル」には、控除は業務上の事故に備え、スタッフが運営する安全共済の掛け金と説明されている。契約が完全に反故にされた格好だ。」

最大手のグッドウィルですらこうなのですから、どれだけ多くの登録型派遣の労働者が「食い物」にされてきたかが容易に想像がつくというものです。ところが、現在国会審議中の派遣法改正においても「常時雇用」の定義問題を整理せずに行われるため、グッドウィル的な登録型派遣のやり方の余地も沢山残ることになります。おそらく民主党にとっては、法律を改正した「形」だけが大事で、実際の派遣労働者が救われるかどうかはあまり気にしていないのかもしれません。

個人的には、鳩山総理に読んでほしい本No.1です。もっとも、お金の苦労をまったくしたことがない方がいくら読んでも理解できないかもしれませんが…。

本ブログの読者の皆様も、前著とあわせてぜひお読みいただきたいと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:20 | 経済 | この記事のURL
「郵政改革「なお議論」」(「毎日新聞」2010年3月25朝刊1面) [2010年03月25日(Thu)]
昨日ご紹介した亀井大臣発表の郵政改革案について、同日鳩山総理が「閣議で決めた話ではない。閣内でも議論する必要があるのではないか」と述べ、案の内容を修正する可能性に言及したとのこと。

ということは、昨日はこうした重要案件について、総理が何も知らないまま発表されたということになるのでしょうか…と思っていたら亀井大臣は「総理も了承済み」という認識のようです。

「閣内のガバナンス」という言葉があるのかどうかわかりませんが、完全に崩壊しております。郵政というものを国民のためにどういう方向に持っていくのかという議論は忘れ去られ、選挙対策や政争の道具としてしか見ていない、と言わざるを得ません。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:00 | 経済 | この記事のURL
「ゆうちょ銀 上限2000万円」(「読売新聞」2010年3月24日朝刊1面) [2010年03月24日(Wed)]
「郵政改革法案」政府案の中身が固まったようです。ゆうちょ銀行への預入限度額は現行1000万円から2000万円に、かんぽ生命保険への加入限度額は1300万円から2500万円にそれぞれ引き上げ。日本郵政グループの親会社に対する出資比率と、金融2社に対する親会社の出資比率はいずれも3分の1超とのこと。

預入限度額の引き上げの政策目的は「収益力の強化」だそうですが、貯金額を増やしたとしてその運用がうまくいく見込みがあるのでしょうか?いろいろな報道を見る限り、まったくないように思えるのですが。

現在、既にゆうちょマネーの8割が国債で運用されています。その運用だけでも難しいのに、さらに沢山のお金を集めてどうしようというのでしょうか。このままでは、「収益力の強化」ではなく、「国債の引き受け手機能強化」を地銀・信金の犠牲のもと行うことになるのではないでしょうか。

民主党政権の郵政改革は、将来にツケを回す方向ばかり向いているように思います。郵政のあり方については、今後も東京財団から提言が出る予定ですので、またご紹介いたします。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:44 | 経済 | この記事のURL
「11年度新財源「10兆円必要」」(「日本経済新聞」2010年3月23日朝刊3面) [2010年03月23日(Tue)]
現在国会審議中の2010年度予算は今週中に成立の見込みのようですが、2011年度予算の歳入・歳出の見積もりが日経新聞に出ております。

それによると、マニフェストの実行を前提とすると、それによる追加費用だけで4.5兆円(子ども手当て満額化で2.5兆、高速道路無料化で0.8兆、雇用対策で0.8兆、農家個別補償制度で0.4兆)になるそうです。また、それ以外の部分についても、社会保障費の自然増と、税収減によって6兆〜7兆円の不足が見込まれるとのこと。

あわせて10兆円ほどの新財源が必要とのことですが、全く見込みは立っていません。いわゆる「埋蔵金」も枯渇してしまったようです。

私は、これまで当ブログで何度も書いている通り、「次期衆院選までは埋蔵金でごまかし続けるつもりなのでは?」と思っていましたが、その前に金庫はカラッポになってしまったようです。

この10兆円の穴をどうするかは間違いなく参院選の最大の争点の一つになるでしょう。消費税についての議論は避けて通れないと思います。これを避けるようであれば、民主党は無責任政党と言われても仕方ないでしょう。また、その前提として、「マニフェスト項目の仕分け」も必須だと思います。

総理の見識、といいますか誠実さが問われる時が来ました。
「「常時雇用」派遣とは何を意味するか?」(ブログ「EU労働法政策雑記帳」) [2010年03月19日(Fri)]
濱口桂一郎さんのブログ「EU労働法政策雑記帳」にて、私と岩井先生が書いた経済教室の記事をご紹介いただくとともに、派遣法改正と「常時雇用」の定義の関係について論じておられます。

もともと特定派遣事業と一般派遣事業を区別するためだけにあったこの業務取扱要領上の定義が、今般の改正によって大きな問題を惹起するかもしれないというお話。大変勉強になりました。

これをみても、常時雇用の定義問題を素通りしてしまった今回の法改正には問題があることがわかります。こうした点が国会論戦の焦点になるのかどうか…国会審議でも素通りしてしまったら、「国会のチェック機能って何?」という話になってしまうと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 18:51 | 経済 | この記事のURL
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