昨日の朝刊の記事だが、非常に重要なので一言。
国際会計基準統一の動きに合わせ、日本も2011年度以降の導入を念頭に行程表をまとめるとのこと。国際会計基準審議会(IASB)が作る基準については、欧州がそのまま導入。日本と米国は自国独自の基準を保持しつつ、国際会計基準に近づける(共通化)を進めてきた。

しかし、米国が方針を転換、2014年以降に国際会計基準を採用することとなった。そこで日本も例によって「世界から取り残されないよう」導入の検討を進めていた。本記事によると、金融庁が開いた「わが国会計基準のあり方に関する意見交換会」では、経団連、会計士協会など出席者の多くが国際会計基準の導入を容認し、企業会計審議会で正式に議論することとなったという。注目すべきは以下の点。
「この日の意見交換会では導入の方法について議論した。日本企業が決算の開示方法を国際会計基準か日本基準か選べる「選択適用」を認めることで大筋一致した。米国が目指しているような、自国の基準を取りやめ、国際基準に一本化する「強制適用」を巡っては意見がまとまらず、今後の課題とした。」
私としては一本化には反対である。一本化か選択適用かという違いは極めて大きい。一本化となると、国際会計基準がどのように変わっていってもそれを認めざるを得ない。当然会計基準の策定についても国益をめぐる厳しい戦いがあるわけだから、そこで日本がそれなりの影響力を持てなければ日本企業にとっては大きなダメージとなる可能性がある。

例えば、IASBではいわゆる「公正価値会計」の議論が進められている。公正価値とは、現時点における自発的な当事者間の取引によって売買される金額を言う。いわば時価会計を極端に推し進めたような考え方だ。会社の資産のうち、市場価格があるものについてはそれに合わせる。ファンドの会計のように、保有資産のほとんどが金融商品というような状況であればそれは可能かもしれない。
さらに市場価格が無いものについても公正価値を測定する研究が進められている。例えば自社で建てた工場は、これまでの会計基準だと取得原価をもってバランスシートに記載されるが、公正価値会計の考え方だとその工場が将来生み出す価値を見積もってその価額をバランスシートに記載することになる。その見積もりの中には様々な仮定を入れなければならず、一義的に決まるものではない。仮定の置き方次第でいくらでも数値は変えられる。最終的には経営者の胸先三寸である。
将来このような会計が導入されたとして、問題は起こらないのか。こういった点をよくよく検討すべきだろう。歴史を見れば会計基準は時価会計と取得原価会計を大きく揺れ動いている。例えば今回の米国の金融危機によりまた揺り戻しがあるかもしれない。そのようなとき、日本としての主体性を持っておくためにもここは「選択適用」を選ぶべきだ。国際的な資本市場で資金調達する必要がある企業は国際会計基準を選べばよい。投資家に対してはどちらの基準を採用しているかをしっかり明示しておけばよいだけの話だ。