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「新党結成へ腹はくくった」与謝野馨(「文藝春秋」2010年4月号) [2010年03月10日(Wed)]
自民党の与謝野元財務大臣による話題の「新党宣言」論文を読んでみました。二月の予算委員会で鳩山総理を「平成の脱税王」と断じた国会質問は私もテレビでみていたのですが、鬼気迫るものがありました。この文章も非常に迫力ある筆致になっております。

前半では、鳩山総理の偽装献金問題の追及、中盤は鳩山政権の「六つの大罪」、後半は谷垣総裁への批判と新党へ向けての考え方、という構成になっています。

前半の偽装献金の問題については、本文をお読みください。ここではまず「六つの大罪」から見てみましょう。

1.長期的な財政の展望を示していない
2.「恒久財源」という意識が欠落している
3.日本経済の成長戦略が欠如している
4.菅副総理の政策対応なしの「デフレ宣言」
5.マニフェストの不実行
6.日米関係の急速な悪化

という6点について訴えていますが、それぞれ妥当な指摘だと思います。一つずつ総理に説明してほしいものです。特に2などについては本ブログでもたびたび指摘してきました。与謝野氏が言うように意識の欠落の問題なのか、あるいはわざとそこを曖昧にしているのかがわからないところが不気味なところです。

そして後半、論旨は自民党の谷垣総裁への批判に転じます。

先日の党首討論に触れ、

「谷垣総裁は鳩山首相を追い詰めるどころか、表情にも口調にも迫力はまったく感じられず、なんとも腑抜けた質問を繰り返すだけだった。」
「なぜ「あなたは『平成の脱税王』だ」と断定調で切り込まないのか。あの党首討論で、党内で盛り上がりつつあった、鳩山首相への追及ムードも一気にしぼんでしまった。」

など、非常に手厳しく批判しています。続けて、

「党の現状を打開することは困難であると考えれば考えるほど、私は急速に「新党」への思いを強くしていったのだ。その後私は園田さん、鳩山邦夫さんと合い、私自身は本当の「捨て石」になってもいいから、新たな旗を掲げようではないかと話し合ったのだ」と述べ、新と結成への決意を綴っています。

新党話はたくさんありますが、鳩山邦夫氏が絡んでいると一挙に現実味を帯びてきます。なぜなら、新党設立にはそれなりの資金も必要だからです。

そしていよいよ、政策です。「新党」の六つの基本政策は以下のとおり。

1.消費税を含む税制抜本改革、社会保障改革、成長戦略を総合化した「復活五カ年プラン」を策定し、速やかに断行する。」
2.超党派の政策プロフェッショナルを結集して、安心社会実現のための円卓会議を作る。
3.社会保障分野とそれ以外の分野を区分経理し、安心強化と無駄撲滅を同時に実行する。
4.財政責任法で債務残高のGDP比を「発散」させないための中長期計画を立てて、世界標準での財政再建を行う。
5.保育や医療、介護等で新たな雇用を生み出すために、補助金・規制改革・人材育成の三位一体型の総合対策を行う。人材育成・雇用拡大を最重視して地方分権と交付税改革を同時に実施する。
6.まずは日米同盟関係を正常化させ、さらに深化させる。同時に、アジアでは、経済面での連携を深め、「アジア共通市場」を実現する。

…読んで絶句してしまいましたが、「どうやって実現するのか」という手段がまったく書いていないのです。しかも「復活五カ年プラン」を作成するとか、「円卓会議」をつくるとか、「中長期計画を立てる」とかは基本政策でも何でもありません。立派な目標だけあって手段がないのでは、与謝野氏が批判する民主党の良くない部分とそっくりではないでしょうか。

ページ数が足りなかったのかもしれませんが、それなら他のエピソードを削ってでも政策にページを割くべきでしょう。一番知りたい部分がないので拍子抜けしてしまいました。「これから考えます」ではなく、今すぐにでも打つべき政策パッケージを今時点で持っていないのであれば、新党を立ち上げても国民に相手にされないのではないかと心配してしまいます。

国民は選択肢たりうる第三政党を求めています。これからいくつもの新党が出てくると思いますが、それに本当に対応できるのか、見極めていく必要がありそうです。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:10 | 政治 | この記事のURL