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「竹下派死闘の七十日」田崎史郎 [2008年09月14日(Sun)]
自民党総裁選の行方も気になるのだが、それ以上に気になるのが民主党がどう対応していくかだ。時期は早まったが、福田総理辞職→総裁選で盛り上げ→即解散というシナリオは自民党の既定路線だった。

小泉総理以来、有権者からどう見られているかを強く意識した「劇場型政治」が自民党の手法となった。2005年の郵政解散では見事にそれが当たったわけだが、今回はどうなるか。小沢党首がどう出るかが注目される。

本書は金丸信氏への東京佐川急便5億円献金事件から、小沢氏と梶山静六氏の対立、経世会分裂に至るまでの政治ノンフィクションである。圧巻は前半部分だ。5億円事件の対応をめぐって小沢氏が致命的な判断ミスをしたという。この問題が持ち上がった際、金丸氏は小沢氏と相談の結果、5億円の受領を認め、自民党副総裁も辞任した。当初の目論見では、これで幕引きにするつもりであったが、受領を認めたが故に検察は政治資金規制法22条を適用。金丸氏は有罪となり20万円の罰金を支払うこととなる。金丸氏はこれで政治生命と勲章を受ける資格を失った。

このような事態に至ったのは、小沢氏が弁護士に相談せずに判断し読みを誤ったことが原因と本書は指摘する。小沢氏は事実関係さえ認めれば検察の取り調べはないと踏んでいた。

この事件以降、経世会は抗争、分裂への道を歩む。その過程を金丸氏・竹下氏・小沢氏の微妙な人間関係に鋭く切り込みながら描いてみせる。竹下氏は小沢氏の政治行動について、「小沢はいかにも戦略戦術をたててやっているように思われているが、必ずしもそうではない」と語っていたとのことだ。

確かに、その後も新進党の結成→解党、自自連立→離脱と、何かしらの成果をあげる前にそれまで構築してきた関係を破壊してきた。最近でも大連立による辞職騒ぎなど、戦略的とは思えない行動が多い。

著者は梶山静六氏の自伝も書いており、梶山氏への感情移入が感じられ、その反面、小沢氏に対してはかなり厳しい書き方となっている。その点は割り引いて考えなければいけないが、小沢氏の言動、行動を評価する上で参考になる一冊だ。
Posted by 佐藤孝弘 at 15:37 | 政治 | この記事のURL