
前回のエントリーで書いたように、日本の経済成長に対して悲観的な見方をする方が多い原因に、人口減少があると思います。もちろん、人口減少自体は大変大きな問題なのですが、「人口が減るから何をやっても無駄」とあきらめてはいけません。
なにしろ、経済全体の成長率については…
「人口成長率の低下は労働力人口率の低下となって、経済成長率を引き下げる働きを持つ。賃金成長はそれを相殺する働きを持つので、どちらの効果が大きくなるかによって、将来の経済成長の動向が決まる。2節で詳しく検証するが、技術進歩率がこれまで経験してきた水準より大きく落ち込まない限り、控え目な予測でも日本経済はマイナス成長になることはなく、一人当たり所得は増加する。」(P182)
ということですし、仮に全体の経済成長率が下がっても…
「経済全体での実質GDP水準や消費水準が下がっても一人当たりの実質GDP水準や一人当たりの消費水準が下がっていないのであれば、経済厚生は下がっているわけではない。むしろ一人当たりの消費水準が上昇していれば、経済全体での消費水準が低下していても経済厚生は上昇している。」(P286)
ということになるわけです。
過度に悲観的になるのではなく、しっかりとデータで実態を踏まえた上で具体的な問題にどう対処していくかを議論し、実行に移すべきです。今年の衆院選でも本来はこうした中長期的な政策が争点になるべきでした。それを考えるに当たり、本書は「基本書」としてうってつけではないでしょうか。
・少子化対策としては、保育所の整備が最も政策効果が高い
・現行の医療・介護保険制度は現役世代の負担が大きすぎ、世代ごとの積立方式への移行でその負担を緩和できる
・“移民”については、高度人材に集中して外国人労働者を受け入れることが効率的
など、政策的インプリケーションも多く含まれています。ぜひお読みいただければと思います。また、来年の政治においても、こうした骨太の政策論争が行われることを期待したいと思います。