
タイトル通り「日本には経済成長が必要」なことを主張した本です。「当たり前じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし経済成長自体を否定する言説は論壇では普通に出てきますし、日本はもう成長できないというふうに思いこんでいる人が(政治家を含めて)多いことも事実で、改めて経済成長の必要性をわかりやすく語る本書はすごく貴重です。
構成としては、若手経済学者の飯田泰之さんが、岡田靖さん、赤木智弘さん、湯浅誠さんとそれぞれ対談をし、最後に芹沢さん、荻上さんのまとめ対談があるという形式になっています。
格差や貧困の問題、正規・非正規雇用の問題など、イデオロギー対決的な文脈で語られがちな問題について、経済成長という政策的にも解決可能な手法で問題自体を吹っ飛ばそうという飯田さんの姿勢が非常に新鮮に感じられます。
例えば、日本には成長余力はもうないと思っている方がいると思いますが飯田さんは、「2%仮説」の話をされています。
「20世紀以降の近代社会をいろいろな国で見ていくと、経済の潜在的な生産力は平均的にだいたい年2%から2.5%で向上していく。はっきりとした理論化はまだですが、いろいろな国、いろいろな時代を見ると、だいたい中長期的に年2%台の成長なんです。」
そして実際に多くの先進国がこの2〜3%成長をしっかりと達成しているわけです。日本だけができない理由はないでしょう。そして飯田さんも、日本もこうした成長が経済政策によって可能になると言い、具体策としてのインフレターゲットや負の所得税などの議論も行われます。
個別の政策論では意見の分かれる部分も出てくると思いますが、そもそもこうしたプラクティカルな議論がなされないという状況に一撃加えた点は本当に素晴らしいと思います。
一方で飯田さんは経済学の限界についても意識的です。
「じつはぼくは、いまでも「論壇」にすごく期待をもっています。というのも、経済学が技術にすぎない以上、どんな目標を設定するか学問的に答えることはできない。この目標の部分は経済学の論理の外から来るべきなんです。論壇には、この役割分担とその必要性に、もう少し自覚的になってほしいと思います。」
飯田さんの投げた直球に論壇はどう答えるのでしょうか?