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「生活保障 排除しない社会へ」宮本太郎 [2009年12月11日(金)]
近年、日本人の「生活」を安定させてきた各種システムのあちこちで綻びが出て来ていると指摘されます。民主党が「政治とは生活である」というスローガンを掲げて大勝したことは、その認識が一般の生活者にかなり広く実感として感じられているということを示しているのかもしれません。

本書は、そうした綻びの原因を指摘し、今後目指すべきビジョンを示しています。その原因は、一言で言えば、「雇用保障を受ける男性正社員が家族全体を支える」という従来型の構造が崩壊してしまったということです。これまで「男性稼ぎ主」は終身雇用、年功制といったしくみや各種保護政策で手厚く守られてきたわけですが、グローバルな競争等の結果として、これまでの保障を失いつつあります。また、そもそも非正規雇用の割合が急激に大きくなり、はじめから正社員ルートに参加できない人も増えています。

本書の目指す方向性は、雇用と社会保障を強く連携させ、「社会保障の目的として、人々の就労や社会参加を実現し継続させることを前面に掲げ、また、就労および積極的な求職活動を、社会保障給付の条件としていこう」というアクティベーションの考え方です。本書では、「ベーシックインカム」の考え方と対比しながら、わかりやすく解説されています。

幅の広い問題を非常にコンパクトに、明快にまとめており、ひとつの「ビジョン」と言える内容だと思います。ぜひ多くの方に読んでいただきたい本だと思います。

基本的な方向性は個人的にも賛同いたしますが、具体的な政策論のところで、本書は外部(会社外)の職業訓練への期待が非常に大きいなあと思いました。外部の職業訓練ももちろん今後重要になってきますが、現時点の日本ではやはりOJTが技能形成に結びついている部分が大きいと思いますので、その点をどう考えるか…。難しいところですが、今後も考えていきたいと思います。