
民主党衆議院議員、岡田克也氏の最新著。氏の生い立ちから政治家としての軌跡と、政権交代への想いが綴られている。
当事者目線で、情感たっぷりに書かれていて面白かった。とくに細川連立政権誕生のあたりや、新進党時代に小沢氏と羽田氏の対立の狭間で苦労したエピソードの部分は読ませるものがあった。
細川政権が生まれた頃、私はまだ高校生で、テレビにかじりついて各党党首の話を聞いていた。当初は日本の新しい政治が始まると思い期待していたが、その後の「国民福祉税構想の挫折→細川総理辞職→自社さ連立政権成立」という流れには本当にがっかりした。特に、従来の主張を180度転換してまで政権与党の座に就いた社会党には、本当に憤りを覚えた記憶がある。政権交代というシナリオがリアリティを持ってきた今、当時の失敗を反省し、活かすべきだろう。
そもそもなぜ「政権交代」が必要なのか、55年体制においても自民党内の派閥政治による「擬似政権交代」は起こっていた。なぜそれではダメなのか。岡田氏はこの本で、政・官と既得権者の癒着構造の打破を掲げている。私も、やはり大胆な政策転換がしづらいという点がもっとも大きいと考えている。特に、人の命に関わるような重要な政策(薬害など)で政策転換することは、同じ政党のかつての大臣を道徳的に非難することにつながってしまうため、間違いを認めにくいのではないだろうか。
そして大切なのはどのような方向で政策を転換するかということだろう。本書にも政策に関する記述がもう少し詳しいほうが良いと思った。政治家の著書を読むといつも思うのだが、おそらく読者層を広く設定すると細かい政策の話はカットせざるをえない事情があるのではないか。
本書の終わりのほうに出てくる、
「私は、所得格差拡大の原因がすべて小泉改革にあるとは思っていない。むしろ、経済のグローバル化に伴い、世界的に同様の現象が発生していると見るべきだろう。経済のグローバル化の果実はきわめて大きいし、そもそもグローバル化の流れにあらがうことはできない。その結果として、格差が広がり、中間層が薄くなっていく。」
といった認識は、先日ご紹介したライシュの著書と通じるものがある。次はより詳細で骨太な政策本を期待したい。