妖精さん 〜障害という個性〜 [2018年08月10日(Fri)]
副都心線。
左隣に座っている可愛いらしいOLさんが鏡をみながら化粧直しをしている。 山下清風な青年がドアに向かいながら「次は〜〜 ○○〜○○〜、××線と△△線はおノリ替えです〜。ぷしゃーーー ぶ〜〜ん ガタンガタンガタンガタン」と車内アナウンスより早く完璧な実況中継をしている。 青年がこちらにやってきた。 激しく瞬きをしながら、OLさんに尋ねた。 「お化粧してるんですか?お化粧してるんですか?」 彼女が答えるより早く、2回続けて。 OLさん口紅を持ちながら固まっている。 代わりに私が答える。「お化粧だよ」 青年「親子ですか?親子ですか?あなたがお母さんですか?」 私「親子じゃないよ。知らない人」 青年は「オヤコじゃない、シラナイヒト」と復唱しさらに尋ねた 「お母さんはどこにいくのですか?」 私「渋谷」 青年「お母さんは、渋谷。シラナイヒトはどこに行くのですか?」 OLさん「渋谷です。。。。あと、電車の中でお化粧してすみませんでした」 青年「二人ともシブヤ、けど、お母さんとこの人はシラナイヒト」 そう言ってまた彼はドア付近に戻り次の中継を続ける。 OLさん「私がお化粧していたので、すみませんでした」 私「彼はあなたを注意しようとして言ったんじゃない。単に『何してるのかな?』ってそれだけだよ。邪心のない天使なんだ」 そこから私と彼女は5分ほどお互いの仕事の話をした。 彼女ははちみつを売る仕事をしていて、それは私がとても関心のある話で、2人でミツバチの話で盛り上がった。 青年がまたやってきた 「次の駅で、僕、降ります。またね」と私たちに握手をして彼は電車を降りた。 それから、私たちの姿がみえなくなるまで手を振った。とっても嬉しそうに。 OLさんが言った 「彼のおかげで私たち知り合えましたね。彼は妖精みたいな人です」 電車の中で独語を吐く人を見ると誰でも怖いんだけど。 こうして会話すると、彼らは悪気もないし、むしろ私たちより邪気がないことがわかる。 素直なんだ。だから好きなことは覚えちゃう。 そして気になることはすぐに聞いちゃう。 そして、知り合った人にすぐにこころを許しちゃう。 妖精さんたちが当たり前にいる社会であるといいな。 私は妖精さんが繋いでくれたOLさんの働いているはちみつ屋さんに今度行ってみるつもりだ。 |
Posted by
高橋聡美
at 12:40