スウェーデン統合失調症治療事情 [2010年09月11日(Sat)]
日本の精神病院の平均在院日数は約300日。
一方スウェーデンは30日弱。 日本では同じ統合失調症でも、ある病院に入院すると3か月で退院できるのに、ある病院に入院すると半年以上かかるという、病院差・地域差(もしくは医師の差)が少なからずあります。 もしも、私が今、統合失調症になって、1年も入院となったら、仕事も失いますし家庭の中でもその機能を失いますし、病気はよくなっても社会的な障害は入院期間が長ければ長いほど悪くなると思われます。 スウェーデンの精神科の病院は、どこも統合失調症の患者さんは8日から45日で退院できるとのこと。 さて、ではなぜ、日本は3カ月以上で、スウェーデンはその3分の1で入院治療が済むのか?という単純な疑問を解決すべく、スウェーデンに今回渡りました。 カロリンスカを含め色んな研究者と会い、色んな病院を回り、スウェーデンの現状を訊いてきました。 <退院の基準> 今回、いくつかの入院施設を回り、統合失調症の患者さんの退院に際して何か尺度があるのか?クリティカルパスなどのような入院から退院までのフローチャートみたいなものが存在するのか?と訊いてみましたが、そういうものは存在しなかったです。 どこの入院施設も8日から45日で統合失調症の患者さんは退院するのだそうですが、ではどうやったらそんな風に短い期間で完了するのか?と、日本の例をあげて訊ねてみました。 日本の場合は、急性期を脱し、亜急性期を脱し、回復期からさらに安定した段階で退院させるケースが多く、スウェーデンの場合は急性期、もしくは亜急性期を脱したら退院という感じでした。 <早期退院の支援体制> 私が感じた疑問と、施設の方々の説明を少し記しておきます。 Q1.亜急性の不安定な状態で施設外に出すのはリスクが高いと思うがそこはどうしているのか? 大きく3点あげてくれました。 1.デポ剤(1回の注射で数週間程度効果の持続する持効性の注射製剤)を、統合失調症患者の4人に1人に使用していて、薬を飲まない患者でもデポ剤である程度コントロールが可能。 2.訪問看護もしくは外来の回数を増やす。(患者によって毎日もしくは週4回など) 3.グループホームなどを利用する。 Q2.患者が毎日来たら、外来はパンクするのではないですか? 慢性期の統合失調症患者は3か月に1回程度の受診なので、1人の医者が診る1日の外来の患者数は5〜6人程度。(日本の10分の1?) 一人の患者さんにだいたい45分ほど時間をかける Q3.3か月分の向精神薬を処方するのは日本では法律的に難しいのですが、それは大量服薬自殺などのことを懸念しての措置です。大量服薬などの危機管理はどうしていますか? 薬を飲まない患者の管理も含めて、服薬に関してリスクのある患者には毎日のように看護師が訪問している。寝る前に行って「今日の薬は全部飲んだ?」と訊く場合もあるし、毎回毎回薬を自宅に持っていくというケースもある。 日本はまず地域の医師と看護師を確保することが必要かなと思いました。 続きはまた次回。 |
Posted by
高橋聡美
at 02:54