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津波ごっこ [2011年04月17日(Sun)]
被災地の子どもたちの間で密かにはやっている遊びがあります。

津波ごっこ。

さて、このブログを読んでいる方々はこの遊びについてどう感じますか?
「不謹慎でなんて無神経な遊びなんだ?」
「親はどんなしつけをしてるんだ?」
「子どもらしいなぁ」
「津波ごっこをするのは子どもたちが傷ついている証拠だ」 などなど様々だと思います。

私自身はこの遊びが被災地で流行っていると言う話を聞いた時に「ああ、やっぱりそういう遊びが流行りだしたか」「やりたい気分なんだろうな」と感じました。

津波ごっこの意味するところ 〜トラウマの再演の意味〜
阪神淡路大震災の時、多くの子どもたちが、物を揺らして「地震だ!地震だ!」と地震ごっこをしたそうです。
トラウマティックな体験をした子どもがそのトラウマの再現をするということは、よく知られるところで、例えば、USAでバスジャックに遭った子どもたちが生還した後、バスジャックごっこをしたという話や、奥尻の津波のあと、子どもたちが物を壊したりつなみごっこをして遊んだと言う話もあります。

なぜ、子どもたちは地震ごっこや津波ごっこなどの「トラウマ遊び」をするのでしょう。

殺戮を繰り返すような悲惨な戦争を体験した兵士が帰還後、再び他の国の軍隊に入り、何度も戦地に入るということがあります。あるいは、レイプ被害の経験のある女性が売春婦になったりするというケースも少なからずあります。これをトラウマの再演といいます。
その時には自分でコントロールできなかった状況を、今度は自分の意思で自分自身を同じ状況に置くことによって再現し、それによって今度はその状況を自分の意思で支配しようとする試みです。

子どもたちのごっこ遊びもこの再演にあたります。

津波ごっこはやめさせるべきなのか
「津波ごっこはやめさせた方がよいのでしょうか」あるいは「津波ごっこをするというのはPTSDの症状だと思って治療した方が良いのでしょうか」といった質問が最近、よく寄せられています。

津波ごっこは必ずしも悪いことではなく、それをすることにより子どもたちは自分達のこころのバランスを取っていると思われます。「そんな遊びをしちゃダメだよ!」と叱ると、子どもたちは自分たちのこころの表現の場を失うことになりかねません。
「津波を思い出し怖いよ」と泣くのと同じように、津波ごっこは子どもたちのこころの表現の場であり、こころのバランスを取るのに必要な行為なのだと思います。

津波ごっこで配慮しなければならないこと
しかし、この津波ごっこは、実際に津波で大切な人を亡くした方々にとっては不愉快であったり心痛い遊びに映ることでしょう。
津波で被害を受けた方々への配慮と子どもたちの気持ちの表現の場を両立させるには、「子どもたちが何をしても安心して遊べる場」を提供することだが必須です。

例えば、避難生活をしている方々が「うるさい!」とか「津波遊びなんか不謹慎だ!!」と不快感を抱かないために、避難場所から少し離れた所に子どもたちの遊び場所を確保する必要があります。

また、いくら津波ごっこが子どもたちのこころの表現方法の一つだと言っても、遊んでいるうちに罪悪感や喪失感を少なからず子どもたちは抱いているはずです。
「津波がやってきたぞ〜!! ゴ〜〜〜!! 人が死んじゃったよ!!」などと言いながら子どもたちが遊んでいる時に、サポートしている大人たちが「どんな風にやってきたの?」あるいは「誰が死んだの?」「どんな風に死んだの?」と根掘り葉掘り彼らが表現したいこと以上のものを聞きだしてしまうと、子どもは自分たちのこころのペースを乱すことになります。

彼らが「津波が来たぞ〜!」と言ったら、ありのままに「津波が来たんだね」とリフレクションしてください。「ゴ〜〜〜〜!」と言ったら「ゴ〜〜〜!って町を飲み込むような随分ひどい津波だね」と勝手に解釈してリフレクションしたりせず、「ゴ〜〜〜〜!!って来たの」とそのままをリフレクションしてください。
「人が死んじゃったよ」と言った時にも「悲しいね」と支援者の気持ちを言うのではなく、「人が死んじゃったの?」とその子の言葉をありのままにリフレクションし、その子の言葉を待ってあげてください。

ある子は「悲しいね」と言うかもしれません
ある子は「仕方ないんだよ!」と怒りを湛えた眼差しで言うかもしれません
ある子は「神様から罰だよ」とポツリと言うかもしれません
ある子は「死んだのはみんな悪者なんだよ」と言うかもしれません
ある子は自我の境界が曖昧さのゆえに、「僕のせいで津波になったんだよ」と言うかもしれません

その言葉のどれにも悪意はなく、子どもたちが感じていることそのままなのです。

子どもたちのトラウマ遊びを支援者がやめさせたり、助長させたりすることなく、あくまで主導権は子どもにあるという視点で子どもたちのやりたいことを支えてあげることが大事です。

また、子どもたちがトラウマ遊びをすることはやはり、彼らのこころに少なからずの負担がかかっている表れでもあります。そういう遊びをした後は、怖かった気持ちを「怖かったね」と受け止めてあげたり、あるいはぎゅっと抱きしめ「大丈夫だよ」と言ってあげるなどの手当ても必要です。

よく人は「時が解決する」と言うのですが、放っておいても心の傷は無くなるわけではありません。
その時その時の適切な手当てがあってこその、「回復」だと私は思います。

今、支援者の皆さんが目の当たりにしている子どもたちはとても危なっかしく見えるかもしれません。その不安は支援者自身の不安であり、自分の問題と子どもの問題は切り離して考えてください。

子どもたちの力を信じ、見守り、支え続けることが今は大事な時です。

Posted by 高橋聡美 at 00:13
この記事のURL
http://blog.canpan.info/satomilab/archive/180
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コメント
高野さま

この度はお父様大変でしたね。お見舞い申し上げます。

我が家の次女(小4)も、この1週間、幼稚園時代に使っていた人形を持ち出して赤ちゃんごっこをはじめました。

傍に居て彼女が何を言ってるかとか聞いてると興味深いです。

最近、すごくわがままで、いつも一緒にいる親としてはカチンときたりもしますが。それでも、普段よりは私も大目に見るようにはしています。なかなか実践は難しいですよね。
Posted by:高橋聡美  at 2011年04月21日(Thu) 10:51

はじめまして。親野智可等先生のメルマガを通じ、高橋先生の記事を読ませて頂きました。
宮城野区在住の父が被災し、東京にいる我々は何も出来ず、ニュースを見ては不安が募るばかりの中、小学4年になったばかりの息子が以前より甘えたり、わがままを言ったりするようになったのが気になっていました。
直接被災した訳ではなくても、祖父が被災していたり、日々ニュースで惨状を目にしたりで、恐らく彼自身とても不安や怖さがあったのかも知れません。
津波ごっこや、地震ごっこをする子供達同様に、1人で出きるでしょ?なんで急に甘えるようになったの?などと言わずに、’大丈夫だよ!’と抱きしめてあげるようにします。
とても勉強になりました。ありがとうございました。
Posted by:高野裕美  at 2011年04月21日(Thu) 10:30