「世界の評価」
―日本製ワイン―
近年、日本製ワインの評価が急速に高まっている。
日本の高品質の農産物の中で、ワインだけがあまり評価されていなかったのは、石川県の「ルビー・ロマン」は格別として、岡山のマスカットなど、果物としての価値のほうがワインにするより高かったせいもあると、ワインに半可通の筆者は考えている。
かつてレーガン・アメリカ大統領は、ホワイトハウスの晩餐会のワインがフランス製であったのを、自分の地元であるカリフォルニアにはソノマやナパに良いワインがあるからフランス製を止めろと指示し、その後ソノマやナパを中心に品質が大に向上したという実績がある。
日本では民主党政権時代、在外日本大使館のワインは1000円程度で十分と、折角入手した高級フランスワインを処分させた事がある。外交にとって、その国の有力者を招待しての夕食会は、多忙な方々を2〜3時間独占できる絶好の機会である。しかし招待された賓客が、サービスされるワインラベルを見て 「私の評価はこの程度か」と思われては、折角の招待の意味がなくなってしまう。そこで外務省では日本製ワインの使用を決断した。
話は少し逸れるが、日本財団では、障がい者にさまざまな就労の機会を提供している。花屋、花作り、和食・洋食のレストラン、スポーツバー等々である。この度、内閣府が認定した花巻市の構造改革特区「花巻クラフト ワイン・シールド特区」に、障がい者の就労を目的にワイン製造に乗り出すとになった。運営する社会福祉法人「悠和会」に就労する障がい者40人と共に、フドウ園にはメルローなどの苗木2000本を植栽し、2023年度のワイン販売開始を目指す。日本財団は事業費1億1千万円を支援する。楽しみである。早く彼らの努力の成果を味わってみたいものだ。
日本で消費されるワインの98%は外国製かブドウジュ−スで製造した日本製のワインであった。しかし、農林水産省としては珍しく、純日本製のブドウで製造されたワインのみ「日本のワイン」とすると決定した。今のところ、この「日本のワイン」は日本での消費量のわずか2%しか製造されていないが、製造や品質に「こだわり」の強い日本人のこと。既にあちこちの国際品評会で金賞を受賞している。後10〜15年程で「日本のワイン」は世界的に高く評価される時代が到来すると確信している。
既に在外日本大使館の多くは「日本のワイン」を使用しているが、少し残念なのは、価格が高いことと数量が十分確保できないことらしい。
夕食会の始まりは「日本のワイン」の高品質に驚き、20〜30分は「日本のワイン」の話題で会話が盛り上がるそうで、秀れた日本酒と共に賓客に満足していただける夕食会になり、大成功だと仄聞している。
外務省の決断は大いに評価に値するのではないだろうか。