「2017国連海洋会議」
―本会議スピーチ―
6月8日の世界海洋の日を中心に、国連では6月5日から9日まで、様々なイベントが行われた。
私の本来の願いである人類の生存にかかわる海洋問題について、ようやく国際社会での議論も出はじめ、今後の海洋の持続可能なあり方について、各国が真剣に関心を持ち始めたキックオフ・イベントと位置づけてもよいのではなかろうか。
今回私は5回のスピーチの機会をいただき、国連総会場では、国連における海洋の総括的管理の重要性とその仕組作りについての提案も行った。
日本での海に関する役所は9省庁11部局といわれ、縦割りの複雑な状況下にあったが、海洋基本法の成立と共に、海洋政策本部が統括することになった。国連においても海洋問題はさまざまな機関が、専門分野別に縦割り行政になっているのは日本と同じである。
海洋の「持続可能な安全」なくしては、人類の500年1000年後の生存は危ぶまれるとの危機感から、下記のような問題提起の発言をした。
***************
2017年6月9日
於:国連本会議場
国連本会議場でスピーチ
皆さん、こんにちは。このような機会を与えてくださったことに感謝いたします。
私たち日本財団は、長年に亘り、持続可能な海を実現するため取り組んでまいりました。私は、日本財団の会長として、これを実現するために、グローバルな取り組みの必要性を訴えてきました。しかし、喫緊の海洋危機に対して各国の取り組みは十分に対応出来ていないのが現状です。
2015年の国際海事機関International Maritime OrganizationIMOの第29回総会で、私は、多様な海の問題を解決するためには総合的な海洋管理を行うための新たな枠組みが必要だと提案しました。
本日、その具体的な枠組みとして私が国連に提案するのは、既存の機関をコーディネートする海洋管理に関する政府間パネルの設置です。このパネルは、国連事務総長を通じて国連総会に報告されます。このパネルは、持続可能な海にしていくために様々な分野の専門家からの意見を求め、明確な行動を起こします。そして、様々な団体、政府、そしてその他のステークホルダーのこれまでの努力を集結し、より大きなコレクティブ・インパクトを生み出すように努めます。
そして、私はこのパネルの設立・運営資金を確保するための海洋管理基金が設置されることをこの場で提案したいと思います。
世界の海はいま、一刻の猶予も許されない状態です。私たちは、具体的に動き出さなければなりません。海と人類の未来のために確実な一歩を踏み出しましょう。
この海洋管理のための政府間パネルの実現のために、皆さまの協力をいただけるのであれば、日本財団は努力を惜しみません。
ありがとうございました。
(注)このスピーチを受け、マルタ共和国やその他の国々から強い賛意がありました。私の夢である総合的海洋管理の国際的枠組作りの可能性が出てきました。更なる努力を続けて参ります。