慰安婦問題をめぐる対日非難決議案に反対する声明を提出したダニエル・イノウエ議員(ウィキペディアから転載)
「ダニエル・ケン・イノウエ上院議員と慰安婦問題の敗北」
ダニエル・イノウエ氏は、1959年、ハワイ選出としては初めての下院議員に当選。1962年からは上院議員である。
第二次世界大戦には、アメリカ人としての忠誠を示すためにアメリカ軍に志願。有名な日系人部隊の第442連隊の一員として活躍。
フランスにおけるナチス・ドイツ軍との戦いで右腕をなくすものの、アメリカ陸軍から英雄として讃えられ、軍人に贈られる最高位の勲章である名誉勲章を受章されている。
イノウエ上院議員との交友は、彼が理事長を務めるロサンゼルスにある日系人博物館の立上げに協力して以来の関係である。
7月18日朝、ワシントンの議員事務所を訪れた。徹夜委員会のあとで少し疲れた様子ではあったが、83歳とは思えない矍鑠とした立ち振る舞いであった。
マイク・ホンダ下院議員が提出した『従軍慰安婦』決議案に異議を唱える声明を発表されたことに感謝の意を表すると、
「日本人は静かですね。米国で何も言わないことは良くないことですよ。中国や韓国は、ワシントンやニューヨークで政治家やメディアに対し、官民あげて日常的に積極的な広報活動を展開している。なんで日本大使館だけでなく、在米の日本人は活動しないのでしょうか」
と痛いことを言われた。
慰安婦問題については、読者は既にご存知のことと思うが、6月26日、米下院外交委員会は、日本政府が第二次大戦中に動員した慰安婦に対する責任を明確にするよう求める『従軍慰安婦』決議を可決した。
今月の30日か31日頃には、下院本会議で賛成多数で可決、採決される可能性が強い。
この問題の不当性に、孤軍奮闘して不採決を求める書簡を関係先に配布してくれているのがダニエル・ケン・イノウエ(井上 健)上院議員である。
私たち日本人にとっては、彼の声明文すら納得できないところであるが、現在のところ、唯一人の反対派といってもよく、彼の活動には感謝せざるを得ない。
彼の声明文は、全文、別に掲載する。
米国の上下両院議員の約7割はパスポートすら持っていないと、どこかで読んだことがある。ブッシュ大統領ですら、大統領就任前に行った外国はメキシコだけであった。
恐らく日本の国会議員は全員持っているだろうが、だからといってどの程度、外国の事情を知っているのかとなると、パスポートを持っていない米国の政治家と大差はないと思われる。
しかし、その政治家が権限を持っている訳である。特に外国では、初めにロゴス(言葉)ありきだから、はっきりと説明をしない限り相手に解かってもらう方法はない。
そこで問題となるのは『広報外交』である。国家の対外イメージを改善するために当該国の世論に働きかける広い意味の『外交』である。
『広報外交』が、中国や韓国にあって日本にないことは、既にイノウエ上院議員が言ったとおりである。
日米同盟があるのに・・・
戦後60年もたってアメリカの問題でもないのに何で・・・
何回、日本国首相が謝ればよいのか・・・
アメリカは日本の友好国ではないのか・・・
といっても始まらない。ボヤが出たのにすぐに火消しに行かないから、中国、韓国の広報外交の成果によって、今回は大火事になってしまった。
国内で識者が悲憤慷慨しても、英語で情報発信しない限り、残念ながら相手には通じないのだ。
ワシントン・ポストに反論の意見広告を出した人々の努力は多としなければならないが、時既に遅しで、火に油を注ぐ結果となってしまった。
当初日本は、この問題が可決されるなど、夢にも考えていなかった。
遅まきながら加藤良三駐米大使が『決議案が採択されれば日米関係に悪影響を与える』とペロン下院議長に書簡を送ったらしいが、多勢に無勢である。
法的拘束力はないものの、もし本会議で採択されれば、日本の中で反米感情のナショナリズムが蠢動することを恐れる。
それによる日米離反こそ、中国、韓国の広報外交の目的であるからである。
残念であるが、今回の『従軍慰安婦』問題は、米国における中国、韓国の広報外交の勝利であり、用意周到な対米工作が成功したのである。
ダニエル・イノウエ上院議員は、日本はアメリカでの経済活動だけでなく、日本の国益のために官民協力して米国に理解させるための日常活動が重要だと指摘された。
かつての日本人は恥に対して敏感で、死をもって処した。ベネディクトが指摘した『日本の恥の文化』はどこへ行ったのか。我々日本人は金儲け至上主義の中で、恥や国益にあまりにも鈍感になりすぎた。
これを奇禍として、対米『広報外交』のあり方について、議論が盛り上がることを期待する。