「小さな球体に絶妙な生態系バランス」
―地球と生物の共存の姿・エコスフィア―
今から30年ほど前、テキサス州・ヒューストン大学の宇宙建築学部創設を支援したことがある。当時は「夢」と思われたが、現在の米露宇宙ステーションのドッキング等を見ると、この学部の果たした役割は大きく、宇宙飛行さえも派出して、今では有名学部となった。当時、私の説得に来日されたラリー・ベル(Larry Bell)博士より頂いた贈り物が、この「エコスフィア」である。
「エコスフィア」(Ecosphere)はガラス製で、直径約10センチの密閉されたガラス玉の、中には空気、海水とほぼ同じ成分の人工海水、藻のほか、4匹の小エビが入っており、毎日、元気に泳ぎ回っている。
説明書には、NASA(米航空宇宙局)のジェット推進研究所が、人間が将来、宇宙で長く暮らすためのスペースコロニーの研究を進める中で生み出された「動物と植物が完全にバランスをとった世界」と記されている。
1日6時間程度、蛍光灯の光に当てると、藻は光合成によって繁殖し酸素を作る。エビは藻を食べ酸素も吸収する。エビが排出する二酸化炭素や排泄物(定期的な脱皮も含む)を微生物(プランクトン)が分解し藻を存続させる。この循環で成り立っており、水を替えたり餌を与える必要は全くないようだ。
AMAZONのサイトで案内を見ると、エビはハワイ産の「オパエウラ」。水温を15〜25度に保つ必要があり@強い日光などに当てると藻が成長しすぎ球体の中の生態系のバランスが崩れるA乱暴に動かしたりすると、地球で言う大地震と同様、エビの生死に関わるなどの警告も付されている。うまくいけば、エビの寿命が尽きるまでということだろうか、3〜5年も生きるという。
値段も1〜2万円のようで、“宣伝”するつもりは全くないが、仕事机の上に置き、日々眺めるうち、小さなガラスの水族館ともいえる球体の中に、これこそ動物と植物、あるいは海や地球と生物が共存する姿を感じ、あえてその“感動”を本ブログに書き残すことにした。