「アフリカ賢人会議」
―ラウンドテーブル―
9月3日、北京では「中国アフリカ協力フォーラム」が始まり、「中国はアフリカに6.6兆円の支援の拠出を習近平国家主席が表明」と各紙で大きく報道された。
近年、中国のアフリカ進出は目覚しく、サブサハラ47カ国には既に100万人を超える中国人が居住しているが、中国人によるインフラ建設には現地の雇用はなく、借款金利も高く厳しい条件は「新植民地主義」との批判も急速に高まっており、今後の中国の動向が注目されている。
そんな折、日本ではアフリカにおける紛争や部族対立による地域の不安定な社会情勢解決に尽力してきた5人のアフリカの賢人に来日願い、サブサハラ47カ国が団結し、アフリカの問題はアフリカの人たちが自主的に解決するにはどうしたら良いか、議論していただいた。
アフリカ賢人会議 安倍総理挨拶
彼らの経験を通じて得た知見を共有し、何が問題なのか、どのようにすれば解決できるか、アフリカの団結は可能か、ヨーロッパの旧植民地政策の呪縛からの解放は可能か、自国に誇りをもって平和で安定した国家建設にはどのような手法があるか、アフリカ諸国が国際社会で発言権を強化するにはどうしたらよいかなどを議論する中で、5人の賢人は等しく、長年に亘り静かで質の高い日本の支援を高く評価され、今後の日本の役割に大きな期待を表明された。旧宗主国の高圧的な態度には大きな不満もあるようで、今回のように、現代アフリカが抱える問題を腹蔵なく開陳する機会は初めてだと、熱のこもった話を聞くことができた。
今回のアフリカ賢人会議は外務省と日本財団の共催で行われたが、官邸もこのラウンドテーブルに注目し、安倍総理も冒頭挨拶と赤坂迎賓館和風別館での夕食会を主催して下さった。
安倍総理主催の晩餐会
赤坂迎賓館和風別館
この会議の発案は岡村善文アフリカ開発会議担当大使であるが、日本財団はアフリカの貧農に対する農業指導と6.000人を超える農業指導者養成を笹川アフリカ協会を通じて30年間共に汗をかいてきたこともあり、親交あるオバサンジョ元ナイジェリア大統領やベナンのソグロ元大統領、そして20年間交流が続いているモザンビークのチサノ元大統領がコアメンバーになった関係で、アフリカ議員連盟を創設した森喜朗元総理
と共に私も日本側のメンバーとして参加した。
議論の総括は、いずれ岡村大使がシサノ元大統領と協議の上、文書化される予定であるが、長旅の疲れも忘れて、8月30日はコーヒーブレイクもなく3時間半、土曜日の31日は午前中、熱のこもった会議となった。この結果をふまえ、今後より現実的な対応の一端を日本が担うわけで、その責任は重く、賢人たちの期待も大きい。
中国の巨大支援と異なる日本流の支援は、アフリカの諸問題を自主的に解決したいという賢人の強い要望にどう対応していくのか、大きな宿題を頂いたことになる。
※アフリカ賢人会議コアグループ
シサノ元大統領 モザンビーク
オバサンジョ元大統領 ナイジェリア
ソグロ元大統領 ベナン
ムベキ元大統領 南アフリカ
ムカパ元大統領 ダンザニア
森 喜朗元総理 日本
笹川陽平日本財団会長
岡本善文アフリカ開発会議担当大使
右から、河野外務大臣、タンザニア・ムカパ元大統領、森喜朗元総理
モザンビーク・シサノ元大統領、安倍総理、ベナン・ソグロ元大統領
南アフリカ・ムベキ元大統領、ナイジェリア・オバサンジョ元大統領、笹川陽平