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9月11日(月) [2017年09月11日(Mon)]

9月11日(月)

7:20 財団着

7:30 「スポーツボランティア」打合せ

8:00 関係団体役員会議

10:00 アドバイザリー会議
 
14:00 スピーチ打合せ

15:00 山下貴司 法務省大臣政務官

15:30 ソーシャルイノベーションフォーラム打合せ

16:15 日野原重明先生ご子息 日野原明夫様

16:30 道場信孝 ライフプランニングセンター理事長

18:00 謝 長廷 台北駐日経済文化代表処大使

産経新聞【正論】臓器移植の普及こそ時代の要 [2017年09月11日(Mon)]

臓器移植の普及こそ時代の要

産経新聞【正論】
2017年8月17日

 世界保健機関(WHO)の2016年の世界保健統計によると、日本人の平均寿命は世界トップの83.7歳。男女とも戦後、30歳以上、寿命が延びた。経済成長に伴う食生活の改善とともに、誰もが安心して良質な医療を受けられる国民皆保険制度の確立(1961年)の影響が大きい。

 ≪世界最低水準からの脱却めざす≫
 しかし時代の変化に合わせ医療も変わらざるを得ない。多くの国で一般医療として定着しつつある臓器移植もそのひとつだ。わが国は1997年の臓器移植法施行から20年を経た現在も世界の最低水準にあり、中核である脳死後の臓器移植は年間100件に満たない現実がある。

 この結果、多くを親族や配偶者からの生体移植に依存、生体移植が不可能な心臓移植を海外に頼る傾向が強く、国際移植学会は2008年、各国に「自国内での臓器提供を増やす」よう求めるイスタンブール宣言を出した。これを受け、ヨーロッパ諸国やオーストラリアのように日本人の臓器移植希望者(レシピエント)の受け入れを禁止する国も出ている。

 心臓に限らず臓器移植でしか救命・延命ができない疾患は多く、その普及は国民の健康を守る上でも避けて通れない。そのためにも臓器提供者(ドナー)とレシピエントを橋渡しする国内唯一の組織「日本臓器移植ネットワーク」(JOT、門田守人理事長)の強化が欠かせない。

 5年後の国内の脳死移植を現在の約10倍、1000件まで増やすことを目標に、日本財団も今年度、微力ながらJOTのお手伝いをすることにした。成否は臓器の提供をどこまで増やせるかにかかる。国民の皆さまの理解と協力を求めたい。

 日本の臓器移植は1968年、札幌医科大で行われた初の「和田心臓移植」に対する不信や心臓死を重視する日本人の死生観もあって、欧米に比べ著しく立ち遅れる結果となった。

 ≪国民の意識にも変化の兆し≫

 2010年には、イスタンブール宣言を受けて臓器移植法を改正。それまで書面による本人の生前の意思表示が必要とされていた提供条件を、本人の意思が不明でも家族の承諾があれば可能と緩和した。提供数は増加傾向にあるものの16年はなお64件にとどまっている。

 JOTは生体移植を除き、脳死、心停止に伴う臓器提供の唯一の受け皿で、今年6月末現在、腎臓を筆頭に心臓、肺、肝臓などの移植を求めて計1万3450人が登録している。

 これに対し、提供数を人口100万人当たりで見ると、日本は0.7人。トップのスペインの50分の1、米国の37分の1、韓国の12分の1と国際的にも最低ラインにある。

 日本移植学会の資料などによると、心臓移植が望ましい患者は年間400人前後に上るが、登録者は10分の1にとどまる。しかも、この20年間にJOTに登録した1340人のうち、実際に移植を受けることができた人は337人、ほぼ同数の313人は移植を受けることなく死去している。

 肝臓や腎臓では臓器提供を待ち切れず、親族らから生体移植を受ける患者が90%を超え、ドナーの健康な体にメスを入れる生体移植が果たして好ましいのか、別の問題も出ている。

 一方で、国民の関心の確実な高まりも見られる。13年の内閣府の調査に「臓器を提供したい」と答えた人は43%に上り、この15年間で10ポイント以上増えた。免許証などに臓器提供の意思の有無を記入する人も同様に12%まで増加している。

 ≪1000件の目標達成は可能だ≫
 移植数が少ないとはいえ、日本は移植後の生存率が各国に比べ高く、移植医療のレベルは高い。小腸移植を除けばすべての臓器移植に保険が適用され、産経新聞厚生文化事業団運営の「明美ちゃん基金」のような民間の支援組織もある。

 今後、脳死に対する啓蒙(けいもう)活動、脳死移植を実施できる条件を整えた全国約900の病院の横の連携、JOTで現在32人にとどまる臓器移植コーディネーターの増員など運営を強化することで、5年後の脳死移植1000件の達成は不可能ではないと思う。

 高齢者を中心に全国の患者が32万人に上る腎不全を例にとれば、99%以上が1回5時間近くかかる人工透析を週3回前後受け、日常行動が大きく制約されている。移植の場合は免疫抑制剤の服用などを除けば健常者とほぼ同じ生活が可能とされ、人工透析に比べれば腎臓移植の方がトータルな費用も少ない。

 高齢化社会の到来で喫緊の課題となっている元気な高齢者の社会参加、ひいては40兆円を超えた国民医療費の抑制効果も期待できる。世界は高齢化社会の最先端に立つ日本の新たな社会づくりに注目している。臓器移植の普及は、これに応えるためにも、わが国が乗り越えなければならない課題である。
(ささかわ ようへい)


公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク
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Tel:03−5446−8800


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