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笹川 陽平
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10月3日(月) [2016年10月03日(Mon)]

10月3日(月)

7:30 財団着

8:00 スピーチ打合せ

10:30 韓国 全女史

11:00 宮本哲二 外務省南部アジア部南東アジア第一課長
   
11:30 中島 敏 海上保安庁長官

12:40 渋谷弘延 日本財団スペシャルアドバイザー

13:40 松浪健四郎 日本体育大学理事長

14:00 「日本財団パラアスリート奨学金制度」記者会見  

松浪健四郎日体大理事長と調印書に署名.jpg 
松浪健四郎日体大理事長と調印書に署名

パラアスリート奨学金制度設立会見.JPG
パラアスリート奨学金制度設立会見

日体大4年生の辻沙絵選手も駆けつけてくださった.jpg
日体大4年生の辻沙絵選手も駆けつけてくださった


15:30 ミャンマー「カイン州薬草栽培プロジェクト」打合せ

16:00 アメリカ・カナダ大学連合(IUC)日本研究センター 日本財団奨学金授与式

16.10.03 IUC奨学生.JPG
IUC奨学生と記念撮影


17:00 レセプション

18:30 角南 篤 政策研究院大学院大学副学長

「海に水がない地形とは」―海底地形図― [2016年10月03日(Mon)]

「海に水がない地形とは」
―海底地形図―


海底地形図とは、何かの理由で地球の海水がまったくなくなったと仮定するとどんな地形なのかを調べて作成した地図です。地味な仕事ですが、日本財団はこのプロジェクトを2004年より支援し、世界で34カ国72名の研究者を養成してきました。

今回の国際会議は、海の未知を知りたいと努力されたモナコのアルベール二世(アメリカの女優・グレース・ケリーの息子)の祖祖父・アルベール一世大公を偲んでモナコの海洋博物館で行われました。世界各地からこの道の専門家が多数参加。海に関連する多くの団体の幹部も出席し、盛会でした。

アルベール2世モナコ大公にフォーラムにご出席.jpg
アルベール二世大公殿下と


下記の私のスピーチをお読み下されば、「海底地形図」の重要性をご理解いただけると思います。

******************

The Nippon Foundation-GEBCO Forum for Future Ocean Floor Mapping


2016年6月15日
モナコ海洋博物館


アルベール二世大公殿下、ご臨席の皆様、
GEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans)とモナコ公国との繋がりは、アルベール一世殿下(Prince Albert the First)が海底地形図の必要性を提唱され、地形図の作成を始められた20世紀初頭まで遡ります。皆さまご存知のとおり、彼は現代海洋学の父であり、本日このフォーラムにご臨席いただいている殿下の祖祖父にあたります。彼のご遺志を引き継ぎ、GEBCOに多大な支援をしてくださっている殿下にご出席いただけたことを光栄に存じます。

現在の世界の海は、当時とは比べものにならないほどその環境を悪化させています。気候変動、海洋汚染、海洋生物多様性の喪失等の問題は関連しあい、影響を及ぼしあっています。それぞれの課題を切り離して対応することはできません。

これらの問題に対処するための基礎的なデータとして、海底地形情報は非常に重要です。しかし、深海も含め実際の測量データは限られており、まだ15%しか海底地形の全容は分かっていません。何と、クック船長の時代の測量データが未だに使われている海域もあるのです。皮肉にも、私たちは頭上約7,500万kmにある火星の表面のことを、海底の地形より把握しているのです。(!)

海底の状態が分からなければ、天然資源の分布も分からないし、安全な航路の設定もできません。したがって、人類に迫る海洋の危機的状況に対して、海底地形情報の精度を上げることは「海の持続可能な開発」を進める上で不可欠です。そして、この課題に対してGEBCOが果たせる役割は大きいと私は考えています。

日本財団は2004年より、GEBCOとともにフェローシップ事業を展開し、これまでに33ヶ国の72名を育成してきました。彼らの多くは、修了後に自国に戻った後も、今後自分がGEBCOにどのような貢献ができるかについて議論をしてくれています。

しかし、現時点ではアルムナイの交流は主に自主性に委ねられ、帰国後の職務の関係でこのような議論の場に参加できないフェローもいます。彼らはプログラムを通じて卓越した知識と技術を身につけています。海底地形図の解明のために貴重な人材である彼らが継続的に連携を図れず、その能力を最大限に発揮できていないとしたら、海の未来にとっても大きな損失なのではないかと思います。今後、アルムナイたちが力を合わせて新たな挑戦に取り組むためには、しっかりとした組織(プラットフォーム)が必要なのではないでしょうか。

大公殿下、ご臨席の皆様、
本日ここに、フェローシップ・プログラムを修了した全てのアルムナイのための「日本財団-GEBCOアルムナイ連合」の設立を提唱したいと思います。

この組織(プラットフォーム)が可能にすることは次の3つです。
1つ目は、現在、海底地形図作りに加わっていない沿岸国の参画を、フェローの知見を結集して後押しできるということです。

2つ目は、他分野と連携したスキルアップ研修の実施です。このような研修は彼らのキャリア開発を大きく支援するでしょう。

そして3つ目は、GEBCOの活動をより多くの方々に分かりやすく伝えていく活動です。

今日ここに集まってくれたアルムナイの皆さんには、ぜひこの組織(プラットフォーム)を最大限に活用してこれからのGEBCO、そして世界の海の未来を牽引していって欲しいと思います。

大公殿下、ご臨席の皆様、
この場を借りて、もう一つお話ししたいことがあります。
現代社会では、技術の発展が、目に見える形で世の中をがらりと変えてしまいました。例えばタブレットやスマートフォンで、誰もが簡単に最新の衛星画像を目にすることができます。情報技術と様々な分野の連携によって、これからも世の中は変化し続けていくことでしょう。

そんな時代の中で、高度に専門的な海洋の情報と技術が結集しているGEBCOにも、新しい役割が求められています。海洋の情報インフラの基礎となる海底地形情報は現在、様々なユーザーたちによって利用されています。しかし、情報を求めるすべてのユーザーにとって使いやすく、連携しやすい仕組みができているとは言えないのではないでしょうか。

さらに、多様なステークホルダーの全てが、GEBCOの存在や貴重な海底地形情報が得られることを知っているわけではありません。

今日、この会場には、卓越した技術や経験を持つ皆さまが結集しています。水産業、情報技術、鉱物資源の開発や探査、海事産業など、あらゆる分野のスペシャリスト、そして関係する科学者や国際機関、政府関係者の方々が集まってくださっています。

私は、分野を超えた連携を行うことで、世界の海の管理と保全を進める上での新たな可能性を広げられると思います。異なる技術が組み合うことが複雑な海の問題解決のためのイノベーションに繋がるかも知れません。

そのためには、GEBCOには、よりユーザーの目線に立った情報の共有を行うとともに、今までに連携することのなかったセクターとの交流を深めていってもらいたいと思います。またGEBCOデータが所有する貴重な海底地形の知見が、他分野に応用される大きな可能性を秘めていることを知ってもらうために、積極的なアウトリーチが必要だと思います。

日本財団は、常に海に関する人類の課題に対して、新たなチャレンジをしていく組織でありたいと願っています。私たちはGEBCOと共同で、未だに15 %程度しか解明されていない世界の海底地形の全容を、2030年までに100 %解明することを目指したいと思います。この目標を達成することは簡単ではありませんが、皆さまのご協力をいただければ、実現に近づけられると私は思います。

このプロジェクト(計画)は、100年以上前にアルベール一世大公が抱かれた、海の未知のフロンティアを知りたいという夢を具現化するものです。一世紀以上も前から将来の人類と地球を見据え、海底地形を明らかにするという大変重要なイニシアティブをとられたアルベール一世大公の素晴らしい先見の明、そしてそれを継承され、世界の海洋のためにご尽力されているアルベール二世殿下のパッション(情熱)を、私たちは具現化し、豊かで持続可能な海を後々の世代に引き継いでいきたいと思います。
ありがとうございました。
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