「ローマ教皇とハンセン病発言」その1
―バチカン・日本財団で国際会議―
フランシスコ・ローマ教皇は、長いバチカンの歴史の中で南米より選ばれた初めての教皇で、バチカン改革に積極的に努力されており、気さくなお人柄は信徒から絶大な信頼を得ているという。
アメリカとキューバの仲裁や、かつてはイスラエル・パレスチナ問題解決にも積極的な役割を果たしてこられたことは記憶に新しい。
ただ、私の終生の闘いであるハンセン病制圧問題については、どういう訳か「ハンセン病」が悪い例え話に活用されているので、誠に恐懼(きょうく―恐れかしこまること)に耐えないが、日々偏見や差別に苦しむ患者・回復者とその家族を思うと、一言申し上げない訳にはいかなかった。
過去三回の失言に対して二度書簡で抗議させて頂いた。この経緯は2013年6月26日
「出世主義はハンセン病」(ローマ法王の発言)、2014年8月4日
「ローマ法王は失言がお好き?」、2016年2月8日
「ちょっといい話」(バチカンからの返書)に記述した。
一度目の失言は、バチカンにおける聖職者の過度の出世主義を批判する「出世主義はハンセン病」との発言。二度目は「ご機嫌取りは教皇制度のハンセン病」。三度目は「小児性愛はカトリック教会に伝染しているハンセン病だ」というもので、教皇様がハンセン病を悪いものを示す形容詞としてお使いにならないように、謹んでお願い申し上げた。
代理の方からの丁重な返書を拝受したが、教皇様は私の書簡を読んでおられないと直感して作戦を変更。バチカンと日本財団共催で、ハンセン病の国際会議をバチカンで開催することを提案した。今年の1月、バチカン側は積極的な反応を示し、6月9日〜10日、ローマ、バチカン市国のローマ教皇庁付属の会議場での開催が決定した。
バチカン市国内のシンポジウム会場
以下、次号・・・