「中国の小話」その57
―中国の略字文化―
中国にはおおよそ8万の漢字がある。共産党政権の識字運動により、すべての人民が読み書きできるようにとのことで文字が簡略化された。
中国本来の漢字は繁体字といって、現在は台湾、香港などで使用されている。中国で現在使用されている漢字の多くは簡体字といわれるものである。かつて漢字はベトナム、韓国でも使用されていたが、今や両国とも漢字がなくなってしまった。
元来、漢字は表意文字であるが、簡略化されたことにより表音文字になってしまった。そこで下記のような皮肉な小話が生まれたのであろう。
以前にも書いたが、明治以降、脱亜入欧の思想の中で、福沢諭吉や西 周(にし あまね)などが西洋図書を翻訳するための造語に苦労し、多くの言葉が作られた。今日、中国で使用されている言葉の多く(約1400字と言われている)は日本製である。
例えば、中国の正式名称である『中華人民共和国』のうち、中華以外は日本語である。共産党、経営、哲学、美術、芸術等も日本製で、特に共産主義に関する言葉はロシア語から日本語に訳されて中国に輸出されたものである。
※簡体字化して意味が変わってしまったのだろうか。
・親→亲 :親友も親切さも「見」ることができなくなった。
・愛→爱 :愛が「心」を持たなくなった。
・産→产 :産も「生」を伴わなくなった。
・廠(工場)→厂 :工場が空っぽになった。
・麺→面 :麺から大事な「麦」が消えた。
・運(運ぶ)→运 :運送するにも「車」がなくなった。
・導(導く、指導)→导 :導くのに「道」がない。
・兒(児と同じ、子供)→儿 :子供に「首」がなくなった。
・飛→飞 :飛ぶのに翼が一つしかない。
・雲→云 :雲は雨を伴わない。
・開(開く)関(閉める)→开关:「門」がないのにどうやって開閉する?
・郷→乡 :郷里に「郎」(男子、男の人)がいなくなった。