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写真:ハンセン病の現場から「アフリカ・ピグミー族」

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日本財団ホーム東洋育成園開所式 [2012年04月01日(Sun)]
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「重度知的障害者施設完成」
―日本財団ホーム―


重度知的障害者施設「東洋育成園」は福島県富岡町にあったため原発事故で県外への避難を余儀なくされ、51名の入所者は千葉県鴨川市の「鴨川青年の家」に集団避難。慣れない環境で、家族と離れて世話をする職員や利用者の生活は困難を極めていた。

日本財団は昨年7月、早期に故郷に戻れるようバリアフリーに対応した施設の建設を決定。今年2月に無事竣工。3月2日、51名の入所者とお世話をする職員、それに家族の皆さんとささやかなお祝いの会を催した。

日本財団が提供した建設費は1億6000万円であった。

********************


日本財団ホーム東洋育成園開所式
―笹川挨拶―


2012年3月2日
於:日本財団ホーム東洋育成園
(福島県郡山市)


ただ今ご紹介賜りました日本財団の笹川でございます。
10ヵ月もの間、入所者の方たちは遠く離れた慣れない環境のなかで生活されてこられました。本日、職員の皆様、その他関係各位の皆様のご協力により、ここに入所者の方々が安心して暮らせる施設が完成しましたことを大変嬉しく思うと同時に心より感謝を申し上げたいと思います。

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ともすれば我々日本人は、豊かな生活を送っている一方で障害を持った方々のご苦労を忘れがちです。そこで日本財団では、毎年新人研修の一環として、東京郊外の重度心身障害児施設において1週間程お手伝いをさせていただいております。この施設には140〜150人の障害を持った方がいらっしゃいますが、全国でも大変珍しく「布オムツ」を使っています。毎日約12,000枚が使われ、洗濯したオムツは小さな部屋の天井まで届く量になるのですが、これを職員やボランティアが朝から晩までかけて畳みます。

新人職員のなかには布オムツを見たことがないという人も少なくありません。どんな福祉の本や宗教書を読むより朝から晩までオムツ畳みをすることで色々な事を感じ、学ぶことができます。またオムツ畳み以外にも、障害を持った方たちと一日中接しお手伝いをすることで、自らが社会の中で何をしなければいけないのか、また、日本の社会はそういう人たちも含めて成り立っているのだということが実感として得られる大変良い機会だと私は思っております。被災地で活躍した学生ボランティアにも今後はそのようなところでボランティアをすることによって、健常者も障害者も何も変わらない同じ日本人であるということを理解させたいと思っております。

ところで、昨日私は国会議員会館で震災時における障害者支援について考えるセミナーに参加してきました。今回の震災では、障害者は健常者に比べて2倍の被害者が出たということです。震災関連の新聞報道を見てみると、高齢者や子どもに関する記事は頻繁に目にしますが、同じように困難と闘っている障害者に関する記事は圧倒的に少ないというのが現実です。これは、普段からの障害者に対する意識の欠落から来るものだと思います。

視覚障害のある人に対する避難のあり方、あるいは聴覚障害のある人への情報伝達にも課題が残りました。私自身、首相官邸に何度も申し入れ、結果として官房長官談話には手話通訳が付くようになったものの、テレビの放映では手話通訳者がカットされていました。これは一つの例にすぎませんが、我々は彼らの不安や孤独をよく理解し、これらの事例をきちんと反省の材料として次に災害が起こった時に活かせる仕組みを作っていかなければなりません。

幸い、東洋育成園が山田理事長の卓越した指導力をもって障害者の方々を支えて下さっているということは、ご家族にとっても大変心強いことでしょう。また、献身的な努力をして頂いている職員の皆様方のご苦労は、実際に現場でお手伝いをしてみてはじめていかに大変なものかということがわかります。市民、県民、国民は、障害を抱えた方々の困難を知り、それを支える方がいることを知り、そういった中で我々が生活をしているということを知るべきです。そして、知るならば何らかの協力をするというのが日本人としての当然の責務だと私は思っています。

今回の3.11によって「絆」だとか「日本は一つ」だとか、素晴らしい言葉がメディアを中心にたくさん流れました。しかし、実際のところはどうでしょうか。被災地の現場でいつも私が思うのは、こういう空虚な言葉だけでは被災した方々を救うことはできないということです。瓦礫処理一つを取っても、頑張れとか、絆だとか、日本は一つだとか言うのであれば、他人ごとではなく、共に痛みを分かち合うべきです。全国で瓦礫を積極的に受け入れて初めて絆と言えるのであり、被災地の皆さん頑張ってくださいということになるわけです。言葉の遊びだけでは被災地の皆様は救われないということを、私は声を大にして申し上げたいと思います。

不幸な原発事故から6ヵ月後の9.11には、福島県の佐藤知事のご依頼もあり、世界から32人の放射線の権威を福島医大に集め、放射線と県民の健康についてのシンポジウムを開催しました。本来ならばこれは日本政府がやるべきことですが、政府からの反応が全くないということを伺い、ならば日本財団がやりましょうということになったのです。たまたま日本財団は今から20年前、チェルノブイリ原子力発電事故後に医療診療車を地球90周回るほど駆け巡らせ、当時0〜10歳の子どもたちの精密な調査を実施しました。これによる調査結果は、国際原子力機関(IAEA)に提出された世界で唯一の詳細なデータだと言われております。

ただし今回の福島での原発事故はチェルノブイリの事故とは全く状況が異なります。チェルノブイリの場合は発電最中の事故で、しかも住民は事故後5年間も放置されたままでした。従って、牛は放射能に汚染された土壌から生えてきた草を食べ、住民はそのミルクを何の検査も無しに飲んできたのです。今回の福島での事故は大変不幸なことではありますが、住民の安全確保という点については完璧だったというのが世界的な評価です。勿論、多くの方々に大変辛い思いや生活をさせているという点は分けて考えなければなりませんが、安全の確保、食品衛生の安全確保という点では、よくここまで出来たというくらいの評価がありました。

それにも関わらず、日本の食料品の輸入を禁止している国が未だに40ヶ国弱あるという大変馬鹿げた事態になっているのが現実です。国は責任を持って正しい情報を積極的に外国に知らせるべきです。20ミリシーベルトがどうのこうのと言いますが、インドのケララ州、あるいはフランスやアルゼンチンの一部では、天然の放射線が20ミリシーベルトを超えるなかで、皆、健康に生活しているのです。

私に言わせれば、これは風評被害に基づく福島県民に対する一種の差別です。風評によってどれだけの人が迷惑をしているか。瓦礫処理1つとっても他府県が受け入れないという状態をどう思うのか。絆だとか頑張れとか言う一方で、やっていることはまさしく福島県民に対する差別だと思っています。

9月の会議の折、原子力の専門家の方々が「福島県民の中で、心が割れて故郷を離れることほど不幸なことは無い」とおっしゃっていました。「皆さん、離れてはいけませんよ。今の段階なら大丈夫です。留まってください。そして皆様方が作ってきたこの地域社会を今まで以上に発展させて下さい」ということが多くの専門家の結論でした。

私たちは「放射線と健康リスク」に関する結論と提言を政府に提出済みですが、4月には今一度世界の放射線の専門家を福島県に招き、今度は直接住民の不安に対して正しい知識をお伝えする場を設けたいと思っています。我々は、積極的に町や村の中に入って県民の皆様が抱えている不安や想いを聞き、それにはっきりと専門家が答えることが非常に重要だと考えています。例えば警察官や消防隊のご家族は今も大変な不安を抱えており、多くの方が仕事に行ってほしくないと思っていらっしゃいますから、そのような不安を解消するのに少しでも役に立つことができればと思っております。

放射線の問題については「正しく恐れる」ことが大変重要であり、むやみに恐れる必要はありません。私もチェルノブイリには何度も行っていますが、これまで健康に問題があったことはありません。今、福島県では子どもの健康のために、世界に例の無い、「本当にここまでやるのか」と国際社会で言われるほど厳密な調査が行われています。従って、どうか福島県の皆様方におかれましては、今しばらく困難な生活が続くかも分かりませんが、故郷を復興するために踏ん張っていただきたいと思います。

そして山田理事長をはじめ職員の皆様方には、障害を持つ方々のために引き続き献身的なサポートをお願い申し上げたいと思います。また、職員の皆様方におかれましては、非常に崇高な仕事をやっているという誇りを持って入所者に接して頂くと同時に、ご家族の皆様もこの施設の活動に積極的に参画して頂き、職員、入所者、そしてご家族の皆様が一体となって、この施設がより良いものになっていくことを願っています。

一方で、我々はこのような施設の存在、或いは多くの障害者が今も困難と闘っているという事実をもっと日本中の皆様に知って頂くための努力を続けていかなければならないと痛切に感じています。これからもささやかではありますが、「民の力によって民を支える」という日本財団の精神のもとに、できる限りのサポートをさせていただきたいと思っておりますので、必要がございますればどうぞ遠慮なくお申し出頂きたいと思います。

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