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「エルベグドルジ大統領との朝食会」 [2010年12月04日(Sat)]



「エルベグドルジ大統領との朝食会」


モンゴルのエルベグドルジ大統領が11月15日国賓として来日された。翌朝7時30分からの私たちとの朝食が大統領の最初の活動となった。

モンゴルでの活動は、富山の置き薬方式をヒントにした伝統医薬品の普及プロジェクトを展開、成功を収めている。

また若手国会議員を招聘し、日本の国会議員や財界との交流も順調で、両国の友好関係の構築の一翼を担っている。

大統領とは以下に記す会話が取り交わされたが、さらなる発展が期待できる面談となった。

*******************************

(面談要旨)

2010年11月16日
ホテルニューオータニ

<笹川>
閣下のご来日を心より歓迎申し上げます。またお忙しい中、貴重なお時間を賜り、感謝申し上げます。

<大統領>
本日、貴殿とお会いできたことを大変嬉しく思います。日本財団については良く理解しています。1990年代の初めよりモンゴルの発展のために支援いただき、感謝しております。

<笹川>
当時に比べモンゴルは大きな発展を遂げています。

<大統領>
その通りです。モンゴルの発展は新たな段階を迎えていると考えています。日本財団が行う伝統医療プロジェクトや教育分野におけるプロジェクトは非常に成功し、実行性の伴う活動であると認識しています。とくにワンセンブルウ・モンゴリア(日本財団の現地実行部隊)が行うプロジェクトは社会的な評価も受けています。

<笹川>
閣下の来日にはジクジット大使が大きなご努力をされました。この来日は日本とモンゴルとの新たな関係のスタートになると、日本の政治家、経済界、そして私たちNGOも理解しております。

さて、閣下が関心を示されている国民の健康と医療という問題は世界的なテーマとなっています。

世界の人口60億人のうち3分の1の20億人は近代医学にアクセスできませんし、病気を罹っても医師の診療は受けられません。その点、モンゴルの医療制度が進んだものであることは現場を何度も訪問し、理解しています。とくにモンゴルのかつて失われた伝統的な優れた医療をもう一度見直そうとする考えは、世界的に見ても大変進んだユニークな考えであると思います。

世界保健機関(WHO)でも伝統的な医療の復興が大きなテーマとなり、強力に支援しています。

一つは伝統医療の薬の原材料が先進諸国の製薬メーカーに流れるという問題があります。又、伝統医薬品は貧しい人たちに西洋の医薬品よりも安価に提供できるという特徴があります。

今週末、WHOのマーガレット・チャン事務局長との朝食会を予定しています。WHOにおいても伝統医療に関心を示し、発展途上国での展開において日本財団は大きな役割を担っていけることを確信しております。ベトナムではASEAN伝統医療サミットが開催されましたが、どこでも話題になるのはモンゴルで成功を収めた伝統医療プロジェクトであり、各国政府に大きな刺激を与えています。伝統医療の復興と配布方法について、各家庭に配布するユニークな方法が世界の保健・医療関係者に注目されているのです。

閣下が伝統医療に深い関心を示していただきましたことに心から感謝申し上げますとともに、世界の成功モデルとして成功に導いていただけるようお願い申し上げます。

<大統領>
有難うございます。今回はモンゴルと日本との関係を新たに進展させる意義ある訪日であると期待しています。この訪日に関し、共同声明を出す準備を進めています。

モンゴルと日本における相互的パートナーシップを新たな段階である戦略的パートナーシップに格上げさせたいと思っています。また伝統的な分野、あるいは新たな分野での可能性が開かれていると認識しています。

昨日、私は日本にいるモンゴルの学生と会談しましたが、日本財団とのプロジェクトが長く継続していくこと。そして成功モデルになるようなプロジェクトに発展していくことが目標であることを話しました。モンゴル政府としてもこのプロジェクトを引き続き行っていきたいと思っています。しかし、モンゴル政府が完全に引き継ぐまでには時間と技術的な支援が必要になってきますので、日本財団と具体的な支援について話し合いができればと願っています。

モンゴルで伝統的医学が注目されているときにこのプロジェクトを展開していただき、感謝しております。

<笹川>
このプロジェクトを上手く受け入れていただき、その結果、医師が診療のために村に行く割合が半減したといいます。

これは本プロジェクトの大きな成果であり、国際社会から高く評価されています。モンゴルでの成果をもとにタイやカンボジアでも展開し、ミャンマーでは大規模に始めました。すでに7000の村で配布が終わり、全国展開することになります。

発展途上国ではヘルスセンターやヘルスポストなどの薬のあるところまで歩いて2日間くらいかかるところに住んでいる人が多くいます。そのようなところに医師が診療に行くのは困難を極めることであり、薬箱を配布することは大変重要になってきます。そのような意味から近い将来、貧しい地域においてモンゴル方式が定着していくと確信します。

<大統領>
私は遊牧民の家に生まれました。遊牧民にとって薬箱は大事なものであると理解しています。社会主義時代にも遊牧民の各家庭には薬箱がありましたが、それはソ連製の薬でした。このプロジェクトの薬箱には伝統医薬品が入っており、説明書もあります。

<笹川>
村人が説明書を読めるのは大変素晴らしいことです。他の国には字が読めない人が多くいます。

私がゲルを訪問したときに薬の使用量が多いので訊ねてみると、羊やヤギも体を壊すので、そのときに人間のように薬を飲ませているというのです。家畜を家族のように大切にするモンゴルの人たちの動物に対する愛情を感じました。

ジクジット大使から依頼されたことで一つだけできなかったことがあります。日本にはモンゴルとの友好のための議員連盟は4つあります。ジクジット大使から一つにまとめた方が強力であり、効率的であるということで一つにまとめてほしいと依頼を受けました。

しかし、それぞれの設立の経緯があり、一つにまとめることができませんでした。衆参両議院、あるいは超党派、または海部元首相の設立した議連があり、それぞれが熱心で、モンゴルとの友好を大切に考えているからです。

<大統領>
日本財団のプロジェクトの中でとくにモンゴルと日本の若手国会議員の交流活動に関心があります。

<笹川>
この交流活動もジクジット大使から依頼を受け、継続的に実施しているものです。

<大統領>
教育の分野では高等専門学校とのプロジェクトを検討しています。失業率を減らし、新たな雇用を生み出す柱になると考えているからです。

<笹川>
日本にはモノ作りを教える学校が多くあります。国会議員の訪日団が来日したときにモノ作りの現場を視察することは有効だと思います。

<大統領>
モノ作りを教えることは、モンゴルの発展にとって重要です。私の政策で重要な柱が2つあります。一つが人間でもう一つが環境です。環境分野における砂漠化問題では具体的な措置を講じる必要があると考えています。村落に公園を設置することも考えています。モンゴル人は家畜を飼ってきましたがこれからは植林が必要だと思います。そこから利益をもたらし得る果物や樹木を植林することが大切だと思います。モンゴルにしかない果物もあります。それは伝統医療にも使えます。

医療分野でも若者たちのがん対策に注意を払っています。

<笹川>
医療分野において若い研究者が日本の医療現場を見学したいのであれば、私たちは紹介することができます。

国立がんセンターはじめ、がん分野を良く承知しています。がんの治療方法も革命的に変わっています。外科手術から切らない方法に変わりつつありますので、最先端の技術を知っていただければと思います。

閣下の訪日が成功されることを心よりお祈り申し上げます。
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