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resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
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2月17日(水) [2010年02月17日(Wed)]

2月17日(水)

 08:00 書類整理、決裁

 11:30 笹川日仏財団・冨永重厚理事長と昼食

 14:00 日本モーターボート競走会・評議員会

 16:15 笹川アフリカ協会・宮本正顕理事

 17:00 笹川日仏財団・冨永重厚理事長

「混迷を深めるネパール情勢」その3 [2010年02月17日(Wed)]


ネパール訪問のたびにギャネンドラ元国王(写真・右)とは意見を交わす


「混迷を深めるネパール情勢」その3
〜ギャネンドラ元国王と会談〜


1月20日
於:私邸


笹:多忙の中の拝謁、感謝する。父の代から35年の成果として、ハンセン病を制圧出来た。国王の私への励ましの結果だ。報告できるのは光栄だ。これは撲滅までの一里塚であり、気を緩めず努力を継続したい。

元王:歓迎する。再会を嬉しく思う。昨年も様々な問題を話した。ハンセン病の制圧、お祝いを申し上げたい。父君の時代からのハンセン病への献身にお礼を言いたい。ネパール王室は、常にこの問題に対して支援してきた。病気の問題のみならず、考え方の問題でもあるからだ。

我々の努力に参加してくれることは嬉しいが、本当の仕事これからだ。ネパールでも実行可能ことをやり、手本として示す必要がある。あなたの成功は私たちにとって嬉しいことであり、ネパールの指導者や諸機関が理解し、あなたとともに歩み、的確なフォローをして欲しい。ネパールは移行期にあり、考え方を変える必要がある。大きな目で世界を、国を見て、ビジョンを持ち、前向きになることが重要。

笹:ネパールも多くの困難を抱えているが、社会の落ち着きにはもう少し時間が必要なのであろうか。

元王:まだ時間はかかるが可能性はある。私の心配は指導力の欠如。移行期に必要なビジョンがない。和平の必要を思い私は退位したが、この2〜3年、敵対心の雰囲気が指導者、政党の間で芽生えている。これは健全な状態ではない。彼らは自らの態度を見つめ直し、3年前の目的に戻って欲しい。

私を訪れるネパール国民は、現在の状況に落胆している。和平プロセスが理論的な方向に進んでいない。憲法草稿が迷走している。5月には完成しなければいけないのに、彼らの草案作りのアプローチは、あるべき基準を持っていない。

民主的で、国に合ったもの、国民に受け入れられるものが重要で、民族的、地域的、言語的な違いが憲法作りに反映されることは危険だ。我々の先人は、努力してこの国の統一を守った。今、国は崩壊しようとしている。別れたグループが対立するような状態には戻りたくない。

40〜50年前、私たちの祖先が統一をした。ばらばらの状態は、国内の摩擦、紛争の火種になり、外からの干渉を呼ぶ。それを避けなければいけならず、現在の指導者がこうしたことを真剣に考えて憲法を作って欲しい。ネパール国民の考え方も変わる必要がある。時間をかけて、統一が必要であることを心に留める必要がある。

笹:民主主義を標榜する政治家たちが活動をしているが、まだ国民の間では国家をどのようにするべきかのコンセンサスが出来上がってないように見受けられる。5月までの進展を期待するが、難しそうだ。どの国でも、政治家は国民、国家のために身を投げ出す志が必要だ。政党の数が多すぎるのかもしれないが、国民の同意を得るにはまだ時間がかかるように思える。そうなると、政党は諸外国からの干渉を受ける危険性がある。

元王:このプロセスが長くかかれば、干渉の恐れがある。二つの大国に挟まれているので、その間でバランスを取らなければいけない。経済成長も必要だが、ネパールは農業が基本。近代社会の一員になりたいが、現実との差がある。多くの価値観、基準、文化があるなかで、ネパールには、この移行期を乗り切る時間が必要。ネパールに最適な政治制度は何か、国民が選ばないといけない。

そのために忍耐強く待たなければいけない。武力等で国民の望まないものを押しつけても、それは持続しない。そうした兆候があることを懸念している。カトマンズは例外として、ネパールは農村部でできた国。農村部の開発が進んでいない。GDP,GNPとか言っているが、民主主義の基本、その継続のためにやっていることと一致していない。

隣国の経済成長から学ばないといけない。どうやって我々も恩恵を受けるかを考える必要がある。日本同様、天然資源はない。水資源があるが、それも気候変動で影響を受けている。氷河が後退し、雪も少なくなっている。平野部では干ばつ期が長くなっている。冬にはカトマンズ近くの川にも水が殆どない。

世界の現象がネパールに影響を与えている。現状、将来について多くの人が懸念している。この移行期は痛みを伴う。短くできれば痛みも少なくできる。

しかし、国民への責任逃れはできない。自分たちの役割を果たしていかなければいけない。できる範囲で、継続して、建設的、前向きなメッセージを国民に伝え続けることが大事。昨年来の世界的な経済危機の影響を、日本ほどでないにしろ、ネパールもまだ受けている。日本からの支援に、ネパール国民は感謝している。しかし、政治の不安定により、ここ数年間、開発が停止している。

笹:国王の懸念の早期解消を願う。政治が安定すれば旅行客も増えるだろう。ヒマラヤという経済的波及効果が高い観光資源がネパールにはある。ネパール人の優しさは世界中の人を感銘させる。

こうした資源を最大限に活用できる日が早く訪れることを期待する。日本も政権交代があったが、歴史的な両国の国民の間の友情は不変だ。日本はこれからもネパールに重大な関心を持ち、適切な支援をしていくことには変わりはない。忙しいところ、率直な話に感謝する。

(次回は2月19日、ネパールの代表的ジャーナリスト)
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