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「タバコ一箱1000円」その4 [2008年05月25日(Sun)]




「タバコ一箱1000円」その4


タバコ一箱1000円について、尊敬する知人・岩見隆夫さんの意見「それってご都合主義でないのか」です。

サンデー毎日『サンデー時評』
―松沢知事「分煙」でいいんじゃないの―


岩見隆夫
2008年5月4日


講演に行く。講師控室で、おしゃべりの前に欠かせない一服をやっていると、かたわらの担当者が、「お喫いになるんですか、よかった。では私も・・・・・」とうれし気にポケットからたばこを取り出す。そんな情景に出くわすことが多くなった。

次第に喫煙者の態度が卑屈になっていく。自分で買ったたばこなんだから、胸を張って喫えばいいものを、なにか反社会的な行為を働く日陰者のような気分にさせられているのだ。
 
先日、なじみのすし屋に出かけた。いつもの灰皿がない。
「灰皿ちょうだい」
「あ、喫えなくなりまして」

「えっ、なぜ急に」
「すみません、上の方から」
ふーん、この店も今日が最後だ、と決める。

そんな流れをさらに加速するようなことが起きた。16日付の新聞各紙によると、神奈川県の松沢成文知事は、不特定多数の人が利用するすべての施設での喫煙を禁じる〈公共的施設における禁煙条例(仮称)〉の基本構想を発表したという。

公共施設とは、喫茶店、居酒屋などの飲食店、パチンコ店などの娯楽施設、駅、野球場、学校、病院、百貨店、宿泊施設と16種。施設内で喫煙した人や県の命令に従わない施設には罰金を科すのだそうだ。

路上喫煙者から罰金を徴収する条例は各地にあるが、屋内の規制条例はこれが全国初になる。東京都の千代田区が先頭を切って路上喫煙締め出しを決めたとき、私は区長さんに「世間の風潮に迎合した、人気取りではないか」と言った。区長さん自身が喫煙者だったからだ。いまは知らないが、当時はそうだった。

ぽい捨て禁止、混雑のなかでヤケドをさせられたりの被害防止、受動喫煙防止は当然のことで方法はいくらでもある。しかし、路上一般というのはわけがわからない。

夜、人気のない道をたばこをくゆらせながらゆったり散歩しても罰金か。冗談じゃない。それが、こんどは屋内にまで広げるというのだから、話にならない。

行政に庶民の生きる楽しみを奪う権利はないのである。私の場合、約半世紀、居酒屋でたばこを喫いながら、一杯やるのが何よりも癒やしの時だった。これからも生きている限り続く。それを頭から禁ずるというのは、息を止めろと迫られたに等しい。

喫わない人や禁煙運動家はばかばかしいと笑うだろうが、ささやかな自由の大切さは局外者にはしばしば理解できないものだ。神奈川県の新方針は、後期高齢者(長寿)医療制度と並ぶ差別政策で腹立たしい。

75歳以上か75歳に近づいた人でなければ、後期うんぬんの無神経に対する心底からの憤りは実感としてわからないかもしれない。

それは仕方のないことだろう。だが、極力理解しようと努力し、庶民が暮らしにくくなるようなことを避けるのが決定権者の義務なのだ。

自由の規制はほどほどに 値上げで増収ご都合主義

松沢知事さん、一体どうしたのですか。あなたは国会議員時代、改革派として知られ、自由闊達な好ましい雰囲気を漂わせていた。今回のような悪条例とどうしても結びつかない。

松沢さんは記者会見で「たばこを喫わない人を守る条例なので、室内に受動喫煙がない環境を作らなければならない。全面禁煙か分煙かの選択や、広さによる適用除外も今後の課題だ」と述べた、と新聞にあった。

全面禁止か分煙かが大事なポイントなのである。2003年に施行された健康増進法も分煙について配慮するよう罰則なしで定めている。分煙にはだれも反対しない。神奈川県も全面禁煙などと野暮なことを言わずに、その方向でやればいいのだ。

東京都や埼玉、福井両県などのタクシーが1月7日から全面禁煙に踏み切った時、私は当コラムで、〈原則禁煙はいいとして、《全面》の一点だけは納得いかない。男性の四割は喫煙しているのだから、その乗客サービスはどうなるのか。

完全締め出しでなく、せめて二割でも三割でも残せばいいではないか〉と書いたが、何の反応もなく、全面がまかり通っている。

松沢さん、個人の自由にかかわる規制をどうしてもやりたいなら、ほどほどにしてほしい。住民が息苦しくなるような社会を作ってはならないと思うのだが、どうだろうか。

神奈川県飲食業生活衛生同業組合の事務局長が、「いじめにあっているみたいだ」と悲鳴を上げた、と報道にあったが、売り上げ減を心配している。全面禁煙を断行するなら、私も神奈川県下で飲食をしたくなくなる。

ついでに、たばこ千円論にも触れておきたい。日本財団会長の笹川陽平さんが3月4日付の『産経新聞』コラムで、たばこ一箱(20本入り)千円への値上げを提案したところ、反響が大きく、議論が広がっているという。

笹川さんは〈私は特段たばこ規制論者ではない〉そうで、国家財政建て直しのための値上げ論である。いまの値段(ほとんど三百円)から欧米並みの千円に大幅アップすれば、現在の消費量を前提にすると、九兆五千億円、消費税4%分の税収増になるという。 

値段がいっきに三倍以上になれば、消費量が落ち込むのは避けられないが、それでも大変な税収を見込むことができるので、八百兆円にふくらんだ国の債務残高の打開策になるという論法だ。

だが、超党派の禁煙推進議員連盟(綿貫民輔会長)まで作って、国民的な禁煙運動を展開する一方で、喫煙者に重税を課し、税収増に期待するというのは、あまり聞いたことがないようなご都合主義である。

禁煙を進めるための値上げなら一応、理屈が通っているが、どうせニコチン中毒者は値上げしても簡単にやめないだろうから、という低意がちらついていて、面白くない。

今週のひと言
天下り、天引き、天が怒る。
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