イヴ・ルッセ=ルアール メネルブ市長〜笹川日仏財団シリーズ その5〜 [2008年05月14日(水)]
イヴ・ルッセ=ルアール市長が製作した「エマニュエル夫人」
「イヴ・ルッセ=ルアール メネルブ市長」
〜笹川日仏財団シリーズ その5〜
イヴ・ルッセ=ルアール氏は笹川日仏財団の理事の一人である。
彼はフランスの元下院議員、有名な映画『エマニエル夫人』の製作者であり、ヨット・アメリカズカップの艇長を勤めたこともある経歴多才な人だ。
先年、イギリス人作家・ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12カ月』で有名になったメネルブ市長でもある。
フランスでの理事会がメネルブで行われた折、小高い丘の上に建つ小さなシャトーのような石造りの自宅に泊めてもらった。
室内の造作は、洗面所とバスルーム以外ほとんど改造せず、伝統維持のためには不便も厭わない配慮が感じられた。
小さなテラスでの朝食はメネルブ市を一望でき、細い坂道の石畳、統一された屋根瓦と大木の緑のコントラストは一幅の絵画であった。
良き伝統を保存するため、舗装道路は可能な限り石畳に変え、看板の規制は当然のことで違和感のある建築物は許可しない。町並みの保存と環境維持は、市民も当然のことと考えているとのことであった。

今回の理事会は京都・大徳寺であった。宿舎・オークラ・ホテルの9階の部屋からの眺望は惨たるもの。東山の山並みの麓まで種々雑多なビルが林立し、美しい京都の町屋の瓦の佇まいは見る影もなかった。
京都の景観が一挙に破壊に向かって進んだのは、駅前の醜悪極まりない京都タワービルが建ってからではなかろうか。随分論争はあったようだが、結局、完成してしまった。
京都は今や、日本人だけのものではない。世界の人々の憧れと尊敬の地であることを忘れてはならない。遅まきながらではあるが、環境保全の条例が施行されたことは大進歩であろう。
今回の笹川日仏財団の理事会は、日本の伝統文化の奥深さを新ためてフランス側理事に認識させようと、大徳寺の大方丈(国宝)の一室・重文の狩野探幽の襖絵で囲まれた部屋で行なわれた。
参観お断りの真珠庵、龍光院、狐篷庵をまわり、碧雲荘(野村別邸)、延暦寺根本中堂、仁和寺ではやはり参観お断りの重要文化財・飛濤亭、遼廓亭を見て、文化芸術に詳しいフランス側理事に一大刀を浴びせることに成功した。
しかし、九仞の功(こう)を一簣(いつき)に虧(か)くではないが、比叡山山頂でつまらぬものを見てしまった。延暦寺の関係者より善意で「山頂にプロヴァンス風の庭園があるからご覧あれ」と無料入場の紹介を頂いた。
時間の余裕もあり、山頂からの京都・琵琶湖の景色は如何なものかとの思いもあり、好意に甘えることにした。
一行、入園して間もなく退出してしまった。誠に恥ずかしかった。単に種々の花を植えただけならまだしも、その間に日本人が好きな印象派のコピーの風景画が、風雨に耐えられるようにビニールかプラスチック製で野立てしてあったからだ。
本場プロヴァンスの市長殿は一言もコメントを発しなかった。
最近いわれなくなったが、日本人は真似ることが好きだといわれていた時代があった。
伊勢志摩にはスペイン風を売り物にしたものがあるし、長崎にはオランダを真似たハウステンボスがある。岡山にはデンマークのチボリ公園を真似たものもある。バブルの頃には北陸にロシア村があったし、最近では名古屋のイタリア村が倒産した。
そういえば、G8(主要国首脳会議)サミットの会場は『洞爺湖ウィンザーホテル』というらしい。
恥ずかしいことである。
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