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写真:ハンセン病の現場から「アフリカ・ピグミー族」

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競走会 お別れ会 [2008年03月13日(Thu)]
12:00 東京都モーターボート競走会「お別れ会」

15:00 国際観光日本レストラン協会 津田会長
「第1回日米シーパワーダイアローグ」 [2008年03月13日(Thu)]


「第1回日米シーパワーダイアローグ」


海洋政策研究財団秋山昌廣会長の発案による『第1回日米シーパワーダイアローグ』会議に参加のため、インド・ニューデリーでの仕事を1泊で切り上げ、成田で4時間待機の上ワシントンDCに飛び、夕方からのオープニングでスピーチの機会を得た。

秋山会長の努力で、日本側は麻生元外相五百旗頭 真防衛大学校学長)、村田晃嗣同志社大学教授)、柳井俊二国際海洋法裁判所判事)、夏川和也(元統幕議長)、羽生次郎(笹川平和財団副会長)、石川裕己(前海上保安庁長官)等が参加。

アメリカ側はダニエル・イノウエ上院議員、ミッシェル・グリーン(ジョージタウン大学教授)、ジョセフ・ナイハーバード大学教授)、カート・キャンベル等が出席。

最初の会議にしては出席者も多く幅広い議論が展開されたことは、日米双方より「予想外の充実した会議」との評価を得た。

私のスピーチ(英文原稿)を翻訳して、ご参考までに供します。


◆       ◆       ◆       ◆



第一回日米シーパワーダイアローグ

「21世紀の新しい海洋協力のあり方」〜民間の視点による新しい海洋力〜
オープニング・スピーチ要旨
 
2008年3月5日 米国:ワシントンD.C.
(Willard International Hotel)


20世紀の半ば25億人だった人口は、その後急速な増加を続けて、現在では65億人、2050年には100億人を突破すると言われています。世界経済は人間社会の活発な生産・消費活動により拡大しました。それに伴い、陸上資源の開発利用は限界に近づいており、増大する世界人口や経済活動を支えるために必要な水、食糧、資源は、地球の7割を占める海洋に依存せざるを得ない状況です。今や人類の生存は「海洋」が担っているといっても過言ではありません。しかしながら、世界人口の急激な増加や経済活動の発達の負荷は海洋に大きくかかり、無限の浄化能力を持つ海洋も実は限界があることが明らかになってきました。「無限の海」は「有限の海」に変わりつつあります。

人間の歴史が「陸からの視点」で発展してきたこともあり、海洋に対する関心は一部の専門家を除きとても低い状況ですが、難問が噴出する今後は無関心では済まされません。人類が海洋の関わり方を「海からの視点」で考えることが求められているときに、本ダイアローグにおいて海洋安全保障の分野で海洋協力に向けた対話が展開されることは、非常に有意義で極めて興味深いことであります。皆様の議論で海洋利用の新しい可能性が生まれることを期待しております。

20世紀の後半は、海洋秩序の大きな変革期でした。海洋はこれまで誰のものでもないという状況に置かれ続けてきましたが、国連海洋法条約が成立した結果、各国が国際的に協調、協力して海洋全体を総合的に管理していくという枠組みが形成され、21世紀初頭の現在へと続いています。これは、海軍力のある国が海洋を支配し、海外市場を囲い込み、国家繁栄を樹立するという力の海洋支配の終焉であり、19世紀末にこのようなシーパワーの概念を唱えたアルフレッド・マハンの時代から変化していることを表しています。

この国連海洋法条約により、かつて自由な存在だった海は、現在では、200海里の排他的経済水域が認められるとともに、大陸棚については、最大350海里まで沿岸国の主権が及ぶことになりました。このため、沿岸各国はその海域の管轄権と海洋権益の主張を強めることになり、国家間の対立や競争が激しくなっています。

この海域の管轄権は、海を管理する権利と義務を求めるものでもありますが、沿岸国の中には、ハード(Infrastructure)とソフト(human capacity building, 法体系の整備など)の両面において能力が不足しているため、領海と主権の法体系の隙間をついた「海の安全」を脅かす伝統的な海賊、テロ、密航、密輸が横行するようになっています。マラッカ海峡、アフリカの角といわれるソマリア沖の海賊・テロの頻発もその一つです。

世界貿易の9割が海洋圏域で行われており、国際航路における船舶の安全な航行は、世界経済にとって生命線となっています。その一方で、グローバル化による多様な主体の出現により、このような海上での犯罪、海洋資源をめぐる紛争を皮切りに、グローバル化による多様な主体の出現、大量破壊兵器の拡散、さらには大規模自然災害や環境破壊など、新たな脅威が出現していることを認識しなければなりません。

新しい法秩序の形成により世界の情勢、環境が大きく変わっている状況下で、もはやどの国家も単独では海洋における諸問題に対処し、安全を確保することはできなくなっています。また、国家以外の国際機関、企業等の民間組織、非政府組織の力が相対的に高まり、私たちは、国際的な協調と連携協力の中で、国家、国際機関、民間、非政府組織が共同して様々な脅威に対処していかなくてはなりません。

このようなことから、私は、国連海洋法条約と海洋のグローバル化を背景として「21世紀の新しいシーパワー」という概念が重要になったと考えます。
ここで「21世紀の新しいシーパワー」について具体的に論じる前に、その参考になると思われる、民間の立場から私が予てより取り組んでいるマラッカ・シンガポール海峡(マ・シ海峡)の航行安全確保の活動を紹介したいと思います。

マ・シ海峡は年間9万4000隻の船舶が通航する世界一の輻輳海域で、アジアだけでなく世界の生命線となっている海峡です。近年、アジアの経済が活性化し、中国を中心とした各国の通航船舶が激増しており、そのため関係者の間には、危険物の通航や過密化する通航船舶による大規模な海難事故への不安の声も高まっています。加えて海賊が出現し、安全航行を脅かしている問題もあります。

目下、マ・シ海峡の沿岸三国(インドネシア、シンガポール、マレーシア)を中心に、IMOなどが協力して、国連海洋法条約に基づくマ・シ海峡の安全、環境保全に関する協力を具体化する取り組みが進んでいます。これは、「航行援助施設基金」を目玉とする「協力メカニズム」を構築し、利用国、海事産業、その他の利害関係者が、ボランタリーベースで参加、協力する国際的な枠組みです。

17世紀に国際法の父と呼ばれるフーゴー・グロティウスが、その著作「自由海論」において確立した、「海洋の自由」が伝統的に守られてきました。しかしながら、世界経済の拡大で「自由の海」は「有限の海」に変わりつつあります。例えば、通航の輻輳する国際海峡では、航路標識の整備や維持管理、設標船の代替建造などの安全対策を進めた結果、それに要する費用も継続的に増加し、沿岸国にとっては大きな負担となっています。このような状況の中で、ほとんどの利用国並びに海峡通航の直接の受益者である海運産業が航行安全対策になんら負担をしていない現状、及び負担の公平性の観点から、海峡の利用国、利用者の協力問題が浮上してきました。

経済のグローバル化にともなって海峡を通過する物流量が増加し、その膨大な量と経済負担力から見れば、航行援助施設の維持・更新の費用負担はごくわずかです。私は、海峡の直接の利用者である海運産業は、海の利用はタダという既成概念を捨てて、企業の社会的責任活動(CSR)として、任意の資金拠出を行ってはどうかという提案をしました。そして、「航行援助施設基金」に海運産業が拠出を行うのであれば、日本財団が同基金の設立当初5年間、航行援助施設の維持・更新に必要な費用の1/3相当額を拠出する用意があることを表明しました。

本来なら、マ・シ海峡の沿岸三国と利用国である日本や韓国、中国などの政府間で決めるべきことです。それが、十年以上まとまらないでいたため、私たちのような民間セクターが民間の立場から実現に助力することにより、政府間交渉の行き詰まりを解決する流れを作ることを目指したものです。

その結果、マ・シ海峡の一番の受益者である主要な国際海運団体が「航行援助施設基金」への支持を表明し、また、中東の産油国も私たちの積極的対応に刺激を受けて協力の意向を示すこととなりました。現在ではエネルギー関連機関やNGOなどをはじめ、その協力の波はさらに広がっているところです。
私はグローバル化の進展という21世紀の新しい状況を踏まえて、民間の立場から、あらゆるセクターの総合力を結集させる役割を果たしてきました。

私は「協力メカニズム」が人々の関心をひきつけ、新しい国際協力の実現を予感させているのは、海峡通過の直接受益者である海運産業界がCSRというコンセプトの上に立った協力を具体的に検討していることに負うところが大きいと考えています。

そして、日本財団が同海峡の沿岸国と利用国だけでなく、海運産業、その他の多様な関係者が任意で参画できるような枠組みを提唱、活用したこと。さらに、国際海峡の安全確保、環境保全を海運産業の社会的責任(CSR)活動として捉えて海運産業界の自発的意思を引き出したその取り組みは、「民間のちから」を最大限発揮した「先駆的な提唱」(pioneer advocate)と「触媒」(catalyst)活動のひとつと言えるでしょう。

私はこのようなマ・シ海峡での取り組みから着想を得て、21世紀のシーパワーの重要な要素である「海洋における民間の力」について考えてみたいと思います。
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