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resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
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笹川 陽平
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帰国 [2007年09月20日(Thu)]

06:50 成田着 日本財団へ

08:40 日本財団着 稟議書等決裁、打ち合せ、書類整理 

※ ハンセン病回復者への募金 21人(計 7万8000円)へ礼状書き

16:00 退室 帰宅。



フジサンケイビジネス アイに掲載 [2007年09月20日(Thu)]

フジサンケイ ビジネス アイに私のコラムが定期的に掲載されることになりました。第1回目として9月13日に『モンゴルで復活、伝統医療 草原に根付く置き薬制度』が掲載されましたので、お時間がある時にでもご高覧いただければ幸いです。





★【笹川陽平の地球コラム】モンゴルで復活、伝統医薬 草原に根付く置き薬制度

2007/09/13
FujiSankei Business i.


 8月末、モンゴルを訪れた。4度目の訪問。初訪問は民主化が始まったばかりの1990年だった。社会主義体制が色濃く残り、この国で初めてという自由市場を見学すると、板塀で囲った地べたに、わずかばかりの衣服や食料品が並んでいた。現在も寒々とした記憶が残っている。
 
 現在、全人口250万人のうち100万人近くが住む首都ウランバートルは交通渋滞も激しく、モンゴル語、英語、韓国語、ロシア語と看板も色とりどり。女性もジーンズに“ヘソ出しルック”と華やかな都市に変わり、隔世の感がある。

◆◇◆


 モンゴルではソ連崩壊後の民主化で伝統文化の再評価が進み、そのひとつとして伝統医療が復活した。もともとラマ僧が担っていたが、長く続いた社会主義政権時代にほとんど姿を消し、2001年に来日されたエンフバヤル大統領からも「国民のもとに取り戻したい」との相談を受けた。

 モンゴル国内や中国、インドから輸入する薬草や鉱物を複雑に組み合わせることで200種類以上の伝統医薬品の生産が可能であり、腹痛や風邪、下痢など日常的な疾病の初期治療に十分役立つことも分かった。

 問題はこれを人々の手元にどう届けるか。私はハンセン病の制圧活動を中心に1年の3分の1近くを海外、特に途上国の地方訪問にあてるが、医者のいる町まで2日も3日も歩かなければならない地域も珍しくない。

 150万人近くが日本の4倍を超す広大な草原に散在して暮らす遊牧民の場合も、隣の家まで数キロ、場合によって数十キロといったケースも珍しくない。しかも冬場は零下30度にも達する厳寒の地である。

 試行錯誤の末、富山県で300年前に開発された置き薬制度を活用して伝統医薬品の薬箱を各家庭に配備するプロジェクトを04年から開始した。12種類の医薬品や体温計などが入った13ドル(約1500円)相当の薬箱を配布、医師が巡回した際、使用分を補給し、その代金を回収する仕組みである。

 結果は予想以上に順調。6歳からの義務教育で識字率が98%と高く、薬の効能や服用に対する理解も問題ない。事業継続に欠かせない代金回収も、カシミヤや毛皮、乳製品を売ることで現金収入があるのが幸いし、ほぼ100%に達している。

◆◇◆


 今回のモンゴル訪問は、これに注目したWHO(世界保健機関)との共催による「伝統医療国際会議」への出席が主な目的。国際機関4機関のほか東南アジアを中心に13カ国の保健関係者や置き薬発祥の地・富山市から森雅志市長も出席し、盛会だった。国際機関がモンゴルでの成果を高く評価、ラオスやカンボジア、ミャンマーは自国への導入に大きな関心を寄せた。

 来年はWHO発足60周年、基本的保健医療の強化を打ち出したアルマアタ宣言から30周年に当たる。貧困に苦しむ人々や遠隔地に住む人々の健康のために、安価な伝統医療の普及の成果を国際会議で発表したいと考えている。

 訪問中、ウランバートルから東に約300キロ離れたヘンティー県の草原に遊牧民のゲルを訪ねた。「置き薬制度で助かっている」「健康維持にも役立っている」と大歓迎を受け、異例の競馬まで開催してくれて優勝馬のプレゼントも受けた。現地のNGO関係者によると「最大限の感謝の表現」という。

 置き薬制度は確実に草原に花を咲かせつつある。そんな手応えを感じつつ、古き良き日本の制度がさらに広く世界に羽ばたく日に思いをはせた。



 折々に書き記しているブログが縁で、月2回、エッセーを掲載することになった。日本財団の仕事で一年中、国内外を飛び回っており、時々の思いをささやかに報告させていただく。



【プロフィル】笹川陽平
 ささかわ・ようへい 1939年生まれ。明治大学政経学部卒。日本財団会長、WHOハンセン病制圧特別大使。世界的視野に立ったNGO活動の立案、実行の第一人者。著書に『この国、あの国』(産経新聞社)、『世界のハンセン病がなくなる日』(明石書店)など。笹川陽平ブログ(https://blog.canpan.info/sasakawa/)
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