デジタル・ディバイド [2007年01月12日(Fri)]
「デジタル・ディバイド」〜情報格差〜 はやり言葉である。 私は、グローバリゼーションにおけるデジタル・ディバイドなどと偉そうなことを言っているが、読者には既にブログで告白している通り、アナログ人間である。家族はメールを中心に情報交換が盛んなようであるが、私一人がデジタル・ディバイドの状況にある。
久し振りに正月休みはハワイ旅行で、息子もニューヨークから参加するという。しかし1年間に19回、123日の海外活動が終了し、率直なところ自宅でゆっくり休養したかった。
常日頃、「お父さん、体に気をつけて」と暖かい言葉をかけてくれる家族なのに、今回はまるで態度が違うのである。
「家族内のデジタル・ディバイドを解消するには、一緒に行った方がいいよ」、「孤立するよ」、「知らないよ」と、つれないことである。仕方なく4泊6日のパック旅行にお供することになった。
元旦ぐらいは日本食との総意で、10数年振りに、かつてのカハラヒルトンに出かけた。一家の主人として正月くらいはご馳走しようとワインリストを取り寄せ、3000円にするか5000円にするか迷ったあげく、5000円のワインを注文した。
新年の乾杯をしているところへ、隣のテーブルに6〜7人の家族連れが賑やかに入ってきて談笑がはじまった。
当方のテーブルも、初めての全員集合で話題があちこちに飛び、賑やかなことである。情報収集の立場にある身としては、飲みながらの聞き役である。
しかし、レストランは満席でもないのに料理がなかなか出てこない。一品出ると次は30分後である。「ひどいなあ、これは」とブツブツ家族が言い出した。「元旦から文句を言ってはいけない。何かの事情があるだろう」と、家長の威厳を示しながら悠然と構える。
突然、隣のテーブルで主人らしい人が立ち上がり、大きな声でウェイターにクレームを言い出した。「日本から予約してきたのに何だ!!」「シャトー・ラツールと枝豆で40分以上も待っている!!」。
それに奥さんも同調し、全員がテーブルを立ってしまった。近頃、子供がよく“キレル”といわれるが、大人もキレルんだなあと、多少批判的にこのドタバタを見ていた。
高級ワイン「シャトー・ラツール」
「すごいなあ、正月とはいえシャトー・ラツールか。いったいいくらだろう」とワイン・リストを見ると、何と、1本1200ドルとある。「1200ドルのワインと枝豆で40分か。これは怒るなあ」と、妙に納得。
息子の一人がトイレから戻るなり「さっきのグループすごいよ。金を払わずに出て行った」とのこと。この店の支配人、1200ドルの帳簿処理をどうするんだろうか。無銭飲食にするのか、ボトル破損にするのかと、余計なことを心配してしまった。
それにしても食事が出てこない。簡単な定食なのに4時間もかかった。 内心イライラしながらも、「こういうこともある。人生には忍耐が必要だ」と偉そうなことを言ってしまった。
ホウホウの体でホテルに帰ると妻からの一撃を浴びた。 「私がレストランを予約していたら、貴男は怒って帰ったでしょうね」 「その通り」 「嫁が予約してくれたので遠慮して怒らなかったのでしょう」 「その通り」 「調子良く人生は忍耐だなんておっしゃってたわね」 「その通り」
そこでサラリーマン川柳大賞の一句 「耐えてきた、そう言うお前に耐えてきた」
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