夕食会の失敗 [2006年04月12日(Wed)]
「夕食会の失敗」 3時間を越える夫人同伴の外国人との夕食会での話題には、結構気を使うものである。
堅苦しい話は勿論、下ネタも禁物である。しかしユーモアは必要である。当たり障りのない、つまりは万人受けする話を3時間も交わすのは楽ではない。
米日財団の理事会後の夕食会(4月2日)で失敗してしまった。 話は前日にさかのぼる。ベトナムのハイフォンにあるベトナム海事大学の50周年式典が終った直後、同行のカー・バントラン氏が目を輝かせて、オサマ・ビン・ラディンがパキスタン軍によって山岳地帯で拘束された、とCNNが報じたと言って握手を求めてきた。
写真左カー・バントラン氏
カー氏はベトナムのボート・ピープルでアメリカに渡り、今はレストランを5〜6店経営するビジネスマンで、数店を売却した資金でベトナムの障害者に義手義足を提供している。
日本財団は彼と協力し、既に25,000を超える義足を提供してきた。カー氏はきわめて真面目な人である。嘘をつくような人ではない。念のため東京に確認の電話を入たが、日曜日とあって事務所には誰もいない。ホテルのテレビでもCNNは報じていない。
信じてよいものかどうか迷っていたら、笹川平和財団の関理事長が“エイプリル・フール”であることに気がついた。カーさんも誰かに乗せられたのだと思うが、不思議なことに、その後、彼は私に一言も喋らなかった。
このエープリル・フールの件を米日財団の夕食会で披露した。そして話し終えた直後、ハタと気がついた。私の向かいの席は米日財団会長のトーマス・ジョンソン氏である。氏の一人息子は9月11日の事件の犠牲者であった。
賑やいだ席で楽しい話題を提供しようとして失敗してしまった。氏の心の傷を思うと内心やりきれない気持ちであった。
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