カンボジアのハンセン病コロニー訪問 [2005年03月25日(Fri)]
首都プノンペンから車で2時間ほど北東に行くとトォロングという名の村があります。私はその村のハンセン病のコロニーを訪問しました。
プノンペンからトォロング村までは、アスファルトで舗装された立派な国道が通っており、緑豊かな草原の中にコロニーはありました。この村の人口は1,107人で、そのうちハンセン病の患者数は7人、回復者は95人と世界保健機関(WHO)の担当者が説明してくれました。 私たちが到着すると、回復者達約50人と地域の住民50人程(子供達が20人ぐらい)が、笑顔で迎えてくれました。 さっそく病棟の中に入るとベッドが8つありました。私が患者さんと握手をしながら話をしていると、そばのベッドに母親と子どもが座っておりました。子どもはまだ2、3歳ぐらいで、驚いたことに手の小指が溶けたように無くなっていました。幼い子どもの身体がここまで悪化していることは、治療薬が行き届くようになった現在で非常にまれなことです。 ハンセン病が制圧されているカンボジアで、これほどひどい病症を見ることは、驚きであると同時に心が痛みました。担当者からの説明では、今でも地域によってはハンセン病であることを隠す習慣があり、なかなか患者を発見できないケースが多いそうです。 医師が村を回って患者さんを見つけるには、お金がかかり、それが無いため患者さんが病院に直接出向いてくるのをひたすら待つしかないのです。 今でもハンセン病は神からの天罰であると信じられており、治療は無料で治ることを知らずないため、病気が悪化し身体に障害が起こるまで隠す人が多いそうです。これは、とても残念なことであり早急に改善しなければなりません。 このような残念なケースの一方で、きちんと治療を受け病気が完治し、新たに養豚を始めた夫婦と出会うこともできました。養豚事業が上手くいき、飼育した豚を売ってオートバイを購入できるほどにまでになったことを、私に話してくれました。 オートバイがあれば、さらに物資の運搬が効率的にでき、事業はさらに伸びることが期待できます。 このような成功例を社会に知らせることで、ハンセン病に対する偏見を無くすことができると私は思っております。 この夫婦に、あなた方の成功は二人だけの成功にとどまらず、ハンセン病で苦しむ多くの人々の成功につながると説明し、堅い握手をして村を出ました。 これから、プノンペン国際空港へ向かい、バンコク経由で日本に帰国いたします。 |