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「令和6年能登半島地震」―日本財団の方法― [2024年01月24日(Wed)]

「令和6年能登半島地震」
―日本財団の方法―


能登半島地震、温かいシャワーで避難生活の疲れを流して:
救援物資を満載したトラックを船で運び、迅速に被災地へ


災害支援活動に豊富なノウハウを持つ日本財団が、能登半島地震の被災地への物資運搬に船の活用を開始した。シャワーキットや手洗いスタンドを珠洲市へ届けた1月14日の輸送の様子をリポート。温かいお湯をたっぷりと浴びて、避難者の顔がほころんだ。

最大震度7を観測し、石川県を中心に北陸地方に大きな被害をもたらした能登半島地震の発生から2週間が過ぎた。道路の復旧や住民の移送によって孤立集落は解消に向かっているが、学校や公民館などの避難所に身を寄せている人が1万6000人を超える。輪島、珠洲、七尾、能登、穴水、志賀6市町はほぼ全域が断水している上、地割れや陥没などで通行止めの道路が多く、復旧工事のめどが立たない。

震災発災直後からスタッフを現地に投入して支援活動を展開している日本財団(東京都港区)が、被災者、被災自治体のニーズを調査し、新たに採用したのが、一度に大量かつスピーディーに支援物資を送ることができる船舶での輸送だ。海洋分野で国内外に数多くのネットワークを持つ強みを生かし、貨物を積んだトラックやトレーラーを運搬可能なRORO船「フェリー粟国」(総トン数462トン)をチャーター。港湾施設も地震と津波被害に遭い、コンテナの積み下ろしや荷さばきなどの人手の確保も困難な中、この方法なら現地に到着次第、そのままトラックで避難所などに向かい、支援物資を迅速に届けることができる。

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日本財団の横断幕を掲げるフェリー粟国


金沢港から輪島市へ1月10日、灯油2000リットルと軽油1000リットル、発電機5台を運んだのを皮切りに、ほぼ毎日、被災地と金沢港をピストン輸送する予定。当初は20日までのチャーターだったが、海上輸送が必要な状況が長期化することが予想されるため、1月末までの延長を検討中という。

陣頭指揮を執る日本財団の海野光行常務は「継続的な支援を行うつもり。冬が終わるまでの長いスパンで考え、支援要望に合わせて予定を組み替えていく」と柔軟に対応する姿勢だ。

日本財団の海野常務とフェリー粟国.jpg
日本財団の海野常務とフェリー粟国


冬の日本海を乗り越え、地震の傷痕が残る港に着岸

まだ真っ暗な未明の金沢港で1月14日、フェリー粟国に10台のトラックが次々と乗り込んでいく。目的地は能登半島の先端に位置し、被害が甚大な上にアクセスが困難な珠洲市。主な積み荷は、水処理装置を開発するWOTA(東京都中央区)のシャワーキット10基と手洗いスタンド30台で、水をろ過して何度も再利用するため、断水状況下でもたっぷりと水が使用できるという。その他に今治タオル1000枚、2トンの給水タンクなども積み込んだ。

海野常務は「発災時から自治体との連携、現地での活動をする中で、避難生活の質の向上も支えねばならないと分かった。衛生管理上の問題が起きていることを踏まえ、WOTAさんの協力で全国から100台のシャワーキットを集めることができた。珠洲に30、輪島に30、七尾、能登、志賀、穴水に7台ずつ。残りの12台は、ニーズがあった医療施設へ設置していく」と説明した。

氷点下の金沢港で、支援物資を積んだトラックの乗り入れ作業が進む.jpg
氷点下の金沢港で、支援物資を積んだトラックの乗り入れ作業が進む


日の出前の午前6時45分頃に出港。この日は晴天で海も穏やかだったが、第1陣の輪島までの海路はひどい揺れだったらしい。荒れることで有名な冬の日本海。毎日のように支援物資を届ける乗組員と支援スタッフには頭が下がる。

金沢港から珠洲の飯田港までは片道約7時間で、この日は予定より少し早い午後1時30分に到着。港には至る所に地割れや陥没した場所があり、荷下ろしの必要がないRORO船のメリットを実感した。

シャワーキットの設置は、たった15分

シャワーキットは避難所となっている蛸島小学校、手洗いスタンドは珠洲市役所などに設置。300人近くが避難生活を送る蛸島小学校までは、飯田港から5〜6キロ。それでも通行止めを迂回(うかい)したり、応急工事で凸凹した道や信号が点灯していない交差点を徐行したりで、20分近くを要した。車窓からは倒壊した家が密集する地域と、被害の少ない地域が見られたが、蛸島町は前者である。

動力の給湯器を屋外に設置。続いて、シャワー室代わりの理科室にシャワーキットを搬入。テント式のため、大人2人で15分もあれば組み立てが完了する。

校舎裏でトラックからの荷降ろし作業。目の前にも倒壊した家屋が.jpg
校舎裏でトラックからの荷降ろし作業
目の前にも倒壊した家屋が


この避難所には自衛隊の風呂も設営されていたが、温まることはできても石けん類は使用禁止だった。シャワーキットの心臓部、ポータブル水再生システム「WOTA BOX」は、100リットルの“種水”があれば、98パーセント以上をその場で再生して循環利用することが可能。水量の制限なく、石けんやシャンプーを使ってたっぷりとしたお湯で体を洗うことができるのだ。

説明を聞いた70代の男性は「これまでは顔を洗うのも、なるべく我慢していた。シャワーを思う存分浴びられるのは助かる」と胸をなでおろす。

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「WOTA BOX」の内部。シャワーの排水を6つのフィルターを通すことで
口や目に入っても問題ないレベルまでろ過できる


「お湯が熱いくらいだった」と言いながらシャワー室から出て来た60代の女性は、「身体が冷え切っているので、毎日、眠りが浅い。今日は、熱いシャワーで体が温まって、よく眠れそう」と顔をほころばせていた。

シャワー室の管理をする50代男性が見せてくれた予約表には、15分刻みで名前がびっしり。避難者にとって待望のシャワーだったことがうかがえる。「自衛隊の風呂もありがたいが、特に女性は(プライバシーのない)大きなお風呂は苦手という話も聞いていたので、個室のシャワーで少しでも安らいでほしい。さっぱりして、笑顔で出てくる人を見ると自分もうれしいよ」と話してくれた。

避難生活の質を向上させる適切な支援を

蛸島小学校には、教室に入りきらない救援物資が廊下に積み上げられていた。トラックでやって来た支援団体に、「それは足りているので、他の場所に運んであげてください」と断るケースも出始めているようだ。

孫をあやしていた女性は「おむつや粉ミルクもたくさんあるので助かっている」と感謝しつつ、「教室に寝泊まりしている私は大丈夫だが、体育館の人は寒さがこたえるらしい。温かいシャワーで、少しでも体をほぐしてくれれば」と、他の人を思いやっていた。

地震発生から2週間がたち、被災地のニーズは少しずつ変化し、避難所内で抱える問題も各人で違いが大きくなっている。これからは被災地の状況やニーズを細やかに把握した上で、海野常務が言うように「避難生活の質を向上させる」適切な支援が重要になってくるだろう。

日本財団ではRORO船での海上運搬を活用し、今後は大型の浄水プラントを各地に設置していく予定だという。

※上記、ニッポンドットコム・土師野幸徳氏のレポートを拝借しました。

「中国の貧富の差拡大」―富裕層激増― [2024年01月22日(Mon)]

「中国の貧富の差拡大」
―富裕層激増―


ケ小平の改革・開放経済の更なる発展の為に、昨秋亡くなられた牛尾治朗氏等と上海でセミナーを開催し、「国営企業の民営化こそ中国経済発展の鍵である」と説得したことを、今、懐かしく思い出す。

その折、「政府は国有企業の民営化には賛成だが人事権は政府が固持したい」と譲る気配はなく、商業都市の上海の参加者は我々の説明に同調し、「政府の人事権の放棄こそ民営化の主目的ではないか。北京の役人は頭が固い」と、コーヒーブレイクでコソコソ話し合ったものである。

その後は読者ご高承の通り、IT企業を中心に民間企業が続出し、中国経済は飛躍的に成長した。しかしこの間、我々の招待した中国の財政を司る代表団に「このまま経済成長を続けると猛烈な貧富の格差が生じて共産主義ではなくなり社会不安の一因になるので、世界一と言われる日本の徴税システムを勉強されては如何」と申し上げたが、無しのつぶてであった。

近年習近平政権になり、これら急成長した民間企業にも共産党員が派遣されるようになり、経営者のチャレンジ精神は急速に減速。現下の不動産不況と共に近い将来、深刻な本格的不況到来が予測される。

しかし、この民間企業の成長の中で多くの富裕層が現出したことも事実である。
以下、中国国際放送局が発表した記事です。

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中国の純金融資産2億円家庭は211万世帯
広東省が北京と上海を超える


 最新発表された「2023中国富裕層世帯キャッシュフロー管理報告」によると、広東省の富裕層世帯数は既に30万7000世帯に達し、北京(30万6000世帯)と上海(27万1000世帯)を上回っていることがわかりました。広東省はこれまで中国の経済発展が最も活発な地域の一つとして、強い経済力を持ち、豊かな世帯が多いことから、富裕層世帯が集中する場所となりました。富裕層世帯とは、世帯の純金融資産(預貯金、株式、債券、投資信託など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたもの)が1000万元(約2億円)を超える家庭のことです。 

 報告書によると、中国では世帯純金融資産が600万元(約1億2000万円)の「富裕世帯」が518万世帯、1000万元(約2億円)の「富裕世帯」が211万世帯、1億元(約20億円)の「超富裕世帯」が13万8000世帯に達しています。

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中国では官僚の汚職は文化であるともいわれているが、軍や国営企業の幹部の汚職金額は日本の比ではなく、正に天文学的な金額である。中国人民解放軍の精鋭部隊であるロケット部隊においても大規模な汚職があり、なんと、ロケット燃料の代わりに水が入っていたとの報道もあり、たまりかねた習近平は厳しい汚職追放運動に乗り出したようだ。

かつて、清廉な政治家といわれた温家宝首相のアメリカにおける財産が3,800億円と報道されたこともある。報道以上に深刻化している中国の不況到来、いや、大不況の到来により、この国の人民の極端な貧富の格差は将来の中国の在り方に深刻な問題となることは間違いないであろう。

「令和6年能登半島地震」―メルカリ「かんたん寄付設定」― [2024年01月18日(Thu)]

「令和6年能登半島地震」
―メルカリ「かんたん寄付設定」―


※以下、1月16日配信のYahoo!ニュースです。

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 メルカリは1月15日に、「メルカリ寄付 かんたん寄付設定」機能の寄付先に、能登半島地震による被災地の支援を追加した。「メルカリ」への出品時に、寄付先として「日本財団(災害復興支援特別基金)」を選ぶことで、取引完了時に販売利益から事前に指定した割合の金額を寄付できる。

累計約7万件の寄付、約9000万円の寄付金

 同社は、日本財団への寄付を通じて被災地においてライフラインを絶たれたり、避難を余儀なくされたりといった、被災者への支援を行ってきた。

 1月2日からは能登半島地震への寄付を募り、これまでに累計約7万件の寄付が実施され、約9000万円の寄付金を集めている。利用者からは、不要品を売った売上金や残高で簡単に寄付することが可能だったという声も寄せられており、利用者の約9割が不要品を売却して得た売上金を活用して、能登半島地震の被災地への寄付を行ったという。

 「メルカリ寄付 かんたん寄付設定」でも2023年12月の提供開始以来、すでに約4万人が利用しており、今回能登半島地震への寄付に対応したことで、より売上金を通じた社会貢献を広げていくとしている。

「LOVE POCKET FUND」―ポータブル水循環型手洗機30台― [2024年01月16日(Tue)]

「LOVE POCKET FUND」
―ポータブル水循環型手洗機30台―

このたび、能登半島地震への支援の一環として、新しい地図と日本財団が共同で運営する「LOVE POCKET FUND」がポータブル水循環型手洗機30台を珠洲市に支援することを決定いたしました。

以下、TBS NEWS DIGの記事の抜粋です。

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稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草g剛さん (新しい地図)

稲垣吾郎さん、草g剛さん、香取慎吾さんが参加する「新しい地図」と日本財団が共同で運営する「LOVE POCKET FUND」が立ち上げた「令和6年能登半島地震支援プロジェクト」。

「現在被災地では水の利用等が制限され、さらに寒さも厳しくなるため、感染症や持病の悪化などで災害関連死も報告されています。避難所での生活を、より衛生的に保つことが課題となっているのが現状です。」と被災地の状況を鑑みて、「上下水道が機能していなくても使用できる、WOTA社のポータブル水循環型手洗機『WOSH』30台 合計49,500,000円の支援を決定」しました。

今回支援する手洗機について「使った水をその場で複数の活性炭・RO膜でろ過」・「塩素系消毒剤の投入、紫外線の照射を行うことで細菌・ウイルスを除去」と性能を挙げ、そのシステムにより「使用排水の98%を再利用することができ、20ℓで500回分の手洗いが可能」・「石鹸も利用可能なため、感染症予防にも繋がります。」と説明しています。

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ポータブル水循環型手洗機

産経新聞【正論】政治家諸君「日本病」を阻止せよ [2024年01月15日(Mon)]

―政治家諸君「日本病」を阻止せよ―

産経新聞【正論】
2024年1月5日

 平成初頭のバブル崩壊で始まり、今も続く「失われた30年」を前に、1960年代から70年代にかけイギリスで起きた「英国病」を思い出している。

 ≪サッチャー首相の嘆き≫
 近年の日本は、第二次世界大戦の戦勝国でありながら、多くの機能が停滞し容易に打開策を見いだせない苦境に置かれた当時のイギリスと共通点が多く、「日本病」と呼ぶしかない深刻な状況にあると考えるからだ。

 筆者は1984年6月、イギリスのサッチャー首相(当時)の招待で、亡父、良一とともにロンドンの中心地、ダウニング街10番地の首相官邸で夕食をいただいたことがある。アルゼンチンとのフォークランド紛争勝利から2年、バブル景気を目前に好景気に沸く日本とは逆に炭鉱ストなど英国病の後遺症に悩んでいた。

笹川良一会長と3人で記念撮影.png
笹川良一会長と3人で記念撮影


 懇談の途中、サッチャー首相は世界の経済に触れ、日本の独り勝ちに強い不満を漏らされた。筆者は「栄枯盛衰は世の常。日本の繁栄も長く続くとは思えません」とその場を取り繕ったが、約40年を経た現在、わが国のあまりの落ち込みに驚きを禁じ得ない。

 故渡部昇一・上智大名誉教授は昨年11月に出版された「正義と腐敗と文科の時代」(青志社)で英国病は「イギリス議会が税金を倹約する機関から一転して、税金をばらまく機関に変質したこと」が原因と指摘している。

 ≪“ばらまき”でなく税金節約≫
 イギリス議会には13世紀にイングランド王国で制定されたマグナ・カルタ(大憲章)以来の伝統として、「納税者の権利を護(まも)る」「税金をコントロールし節約する」のを至上義務とする精神があった。それを失ったのが一番の原因だというのだ。

 与野党を問わず世論受けを狙って“ばらまき”を競い合う日本の政治にも節約の精神の希薄さを感じる。国会の予算審議などを見るにつけ、日本病に対する危機感を一層、強くする。

 渡部氏も日本政治について税金を使う側の政府とコントロールするはずの議会が「予算のぶんどり合戦をやっている」と指摘した上で、「納税者を護る歯止めのなくなった国家は必ずひどい目にあう」と警告している。

 財務省によると、国債と借入金などを合わせた「国の借金」は昨年3月末現在で1270兆円、国内総生産(GDP)の2倍を超す。岸田内閣が打ち出した少子化対策や防衛費強化の財源をどう確保するか、いまだに見えていない。

 一年の世相を表す漢字の1位に昨年は「税」が選ばれた。所得税の定額減税など目先の軽減策が打ち出される一方、安定財源の確保を巡る議論が先送りされている現状に対する国民の懸念が強く反映された結果だと思う。

 「失われた30年」の中で、日本人の平均給与は平成8年の472万円をピークに下がり始め、同30年には433万円まで減った。国の経済規模を表すGDPも、平成9年当時の世界2位、米国の約半分から、令和4年には世界3位、米国の約6分の1と伸び悩み、国際通貨基金(IMF)の予測では近くドイツに抜かれる。

 世界は大きな転換点を迎え、国の内外に重要課題が山積する。国際社会における、わが国の落ち込みを「外交の問題」と指摘する向きもあるが、一番の原因は国力の低下そのものにある。

 各省庁が中長期的な事業を行うために基金を積み立てている186事業の残高が、昨年3月末時点で16兆6000億円に上ると報じられている。有事に備え無駄を排するためにも議会の責任は重い。

 ≪国民の信頼があってこそ≫
 折しも政治資金パーティーの裏金疑惑をめぐり政治は混乱の極みにある。戦後の日本は何度も「政治とカネ」の問題が表面化し、その都度、政治に空白を生んできた。これも日本病である。

 国民の間には「これだけ頑張っているのになぜ、日本は駄目なのか」と納得できない気持ちが広がっている。国民の信頼がなければ政治は前に進まない。日本病の克服は岸田文雄首相だけでなく国会議員すべてが取り組まなければならない喫緊の課題だ。

 渡部氏は、明治政府の初代内閣総理大臣を務めた維新の元勲・伊藤博文が、日露戦争の開戦を2年後に控えた明治35年、第1次桂太郎内閣が帝国議会に提案した増税による海軍拡張案に議会の先頭に立って反対、「国費の膨張と無駄遣いを徹底的に抑えよ」と主張した事実も紹介している。

 昭和31年末に総理大臣に就任した石橋湛山元首相は病のため在職日数65日で辞職した。しかし、没後50年を迎えた昨年、与野党の国会議員が超党派の研究会を発足させるなど今も存在感を持つ。

 首相を含め政治家に対する評価は、在職日数の長さではなく何を為(な)したかで決まる。首相、国会議員すべてが勇断をもって日本病阻止に立ち上がられるよう望んでやまない。
(ささかわ ようへい)


「ちょっといい話」その216―笹川平和財団とは― [2023年12月25日(Mon)]

「ちょっといい話」その216
―笹川平和財団とは―


最近、笹川平和財団の研究員がしばしばメディアに登場する。
特に安全保障:ロシア、中国に関する問題についてである。

朝日新聞編集委員の藤田真央氏の質問に角南篤理事長が答えている記事が11月14日の朝日新聞・夕刊に掲載されたので、ご興味のある方に一読をお薦めしたい。

以下、対談の全文です。

取材に応じる角南篤理事長.png
取材に応じる角南篤理事長


(いま聞く)角南篤さん 笹川平和財団理事長
 今こそ、シンクタンクの役割は


■世界の現場に赴き課題を発掘、発信 国家超えた対話で共存の道筋示す
 世界を揺るがす出来事が相次ぎ、日本政府も身構える中、笹川平和財団が活発に動いている。日本有数の民間シンクタンクは、この混迷の時代にどう変わろうとしているのか。理事長就任から3年になる角南篤氏に聞く。(編集委員・藤田直央)
 ■学者に託した心意気
 笹川平和財団の強みは、約1600億円にのぼる資産だ。運用益で平和構築や安全保障などの事業を展開する。1986年の設立の際に元手を提供したのは、国内外で慈善活動をする日本財団と競艇関連団体。日本財団は前身の日本船舶振興会の頃から競艇の売上金の一部を受け取る。

 戦後に競艇を認めた立法を政界に働きかけたのが笹川良一氏だった。戦前に株取引などで財をなし、右翼活動を展開。敗戦後の東京裁判でA級戦犯容疑者として3年間拘束されるが釈放され、日本船舶振興会の初代会長となり、95年に世を去った。いまは日本財団の会長と笹川平和財団の名誉会長を三男の陽平氏が務めている。

 その笹川平和財団の理事長に、なぜ学者の角南氏が就いたのか。

 長い米国留学を経て「政策研究をライフワーク」としていた。「政治学や経済学を研究するだけでなく、政策をどう作るか」。学問と政治をつなぐシンクタンク(think tank=頭脳集団)の本場ワシントンで経験を積み、日本に戻ると97年創立の政策研究大学院大学に務めた。

 そんな角南氏を、陽平氏は財団が力を入れる海洋政策研究所の所長として招き、3年後には理事長を任せた。理事長が指導力を発揮できるようにと、中央省庁OBの就任が続いた会長のポストは廃止された。学者の自分に全てを託した陽平氏に、世界に通用するシンクタンクにしたいという意気込みを、角南氏は感じた。

 ■実行し変革もたらす
 「これも縁かな」と角南氏は振り返る。剣道に打ち込んだ小学校の頃に全国大会に出ると、剣道の普及に努めた良一氏の姿があった。出身地の岡山県倉敷市には競艇場があり、地域を支える活動をしていた日本船舶振興会は身近な存在だった。

 では、角南氏は笹川平和財団をどう発展させようとしているのか。

 スローガンは「Think,Do,and Innovate-Tank」。シンクタンクとして政策を提言するだけでなく、実行して変革をもたらそうと、約150人の全職員で財団の使命を改めて議論。事業の中心を、外部からの提案への助成から、財団内で企画するものへと移し、現場を世界へと広げる流れを加速した。

 「新たな課題にスピード感をもって柔軟に取り組める組織にしたい。特に若い職員はここ(東京・虎ノ門のオフィス)に来なくていいから、世界を飛び回って課題を発掘し、うちにしかできない事業を形成してもらう。その現場主義をシニアの職員が世に発信してインパクトを与えていく」
 そんな躍動感は、特定省庁と関係が深い政府系シンクタンクには生まれにくい。資金豊かで政府に気兼ねのいらないこの財団ならではだが、独りよがりにならないか。

 「担当の地域や分野ごとの部門で縦割りにならないよう、新しい事業ごとに部門横断のチームを作る。事業の評価では外部の人に叱咤(しった)激励してもらいます」
 東京電力福島第一原発の処理水海洋放出を中国が批判し、日本産水産物の輸入を禁じた件への対応でもチームを作った。日中関係や海洋政策、原子力技術などを担当する職員らが参加。全国漁業組合連合会との間で、風評被害の補償を日本政府に求める際の被害額算定や、中国以外の販路開拓について協力しようとしている。

 中国国民の不安をいかに拭うかにもこだわる。「日本産は安全という発信が届くよう、中国の専門家やメディアとの対話を進める。公式、非公式のルート双方で取り組める蓄積が我々にはあります」
 ■「ササカワ」流で外交
 笹川平和財団のもう一つの強みが、そうした外交への関与だ。天安門事件が起きた89年に日中友好基金を設け、両政府の関係が停滞、時に緊張する中で交流を支えてきた。有識者同士だけでなく、自衛隊と人民解放軍の幹部らの相互訪問にまで及ぶ。

 「笹川流民間外交」と角南氏が呼ぶ取り組みは良一氏の頃からだ。ハンセン病制圧支援をアジア各地から世界へ広げた。ミャンマーでは内戦の和平交渉にまで関わり、クーデターで実権を握る国軍と一部の少数民族武装勢力の停戦を昨年に陽平氏が仲介。陽平氏は約30年前、北朝鮮核危機の回避に貢献した金日成主席とカーター元米大統領の会談実現にも関わったという。

 これらは主に日本財団の活動だが、「それでササカワの名が広く知られ、海外で日本の政府や企業が出て行きにくい所でも、笹川平和財団が事業を展開する時に信頼を得る基盤になっている」。そう話す角南氏も「笹川流民間外交」に携わる。

 笹川平和財団は米国にも拠点を設けるなど日米同盟を重視し、ロシアに侵攻されたウクライナを支援している。それでも角南氏は6月、プーチン大統領が出席したロシアでの国際会議に招かれ、政府系シンクタンクの研究者や政府高官らにも会った。

 海洋政策研究所長の頃に北極海航路について日ロの学者の共同研究を率いるなど、ロシアと縁はある。両政府の関係がウクライナ危機で険悪な中での今回の招待は、「ササカワは対話の窓口になるとロシアが考えるからでしょう」。政府高官らとの意見交換では中長期的な日ロ関係の話になり、角南氏は概要を日本政府側に伝えた。

 「外交は政府だけのものじゃない」と角南氏に言われ、はっとした。確かに国家を代表する政府の間では、今も各地で不信が募り、紛争が続き、外交どころではない。ただそうした言葉を、学者として政策の実現にこだわり続け、「ササカワ」の看板を背負って外交へと活動を広げる角南氏から聞くと、活路が示されるように響く。

 「国家はそれぞれに国民を守る使命を果たそうとして、弱肉強食の競争に陥りがちです。それを乗り越えて共存できるシステムを、国家間で作ることは難しい」
 「うちのように国際社会で仕事ができる民間の財団が果たす役割がとても大切になります。こんなシンクタンクは海外にもなかなかない。皆さんの財産として発展させていただきたい」
     *
 すなみ・あつし 1965年生まれ。15歳でカナダに留学し、88年に米ジョージタウン大学を卒業。野村総合研究所に勤めた後、2001年に米コロンビア大学で政治学博士号を取得。科学・産業技術政策論、公共政策論、科学技術外交などを研究し、15〜18年に内閣府参与となるなど政策提言にも携わる。国立政策研究大学院大学の副学長、笹川平和財団の海洋政策研究所長を経て、20年から現職。

「ちょっといい話」その215―エコボックス― [2023年12月21日(Thu)]

「ちょっといい話」その215
―エコボックス―


 日本財団と株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、衣替えや大掃除等により不要品を処分するニーズが高まる年末に向け、「メルカリエコボックス」15,300個とメルカリ取引時の発送に使える「梱包資材」45,900個を全国23の自治体の協力を得て、希望する住民に配布すると発表しました。

メルカリエコボックス.jpg
メルカリエコボックス


 「メルカリエコボックス」は、家の中に眠っているもう使わなくなったけれど捨てられないもの」を「見える化」し、一時的に保管しておくための箱で、今回は海洋ごみ問題を訴求するデザインを採用。

 海洋ごみの約8割が私たちの住む街から海へ流れ込んでいることを周知し、メルカリへの不用品出品なども含めた身近なリユース活動で海を守ることを訴えています。

 2023年4月には、愛媛県と岡山市向けに、瀬戸内海に面した瀬戸内4県(岡山県、広島県、香川県、愛媛県)と日本財団による「瀬戸内オーシャンズX」の取り組みをデザインに取り込んだエコボックス1万個と梱包資材2万個を配布する実証実験をしており、今回はさらに規模を拡大して23自治体への配布するものです。

 今回の発表を受けて、日本財団 経営企画広報部 広報チームの滝澤遙氏は以下のように述べています。

 「日本財団は長年の海に対する知見をもとに、様々な角度から海ごみを減らす事業を推進している。しかし、いくら清掃活動でゴミを減らしても、捨てる人・行為を減らさない限りは抜本的な問題解決には至らない。人の心に届く海ごみ問題の啓発のため、リユース市場での確固たる地位を持ち、循環型社会への豊富なノウハウを持っているメルカリの力をお借りし、今回、海洋ごみ問題を訴求するデザインのエコボックスを製造した。エコボックス配布のご協力をいただく23の自治体には、今回の配布を一つの契機に市民の皆様への海ごみ問題の周知啓発活動を加速していただきたい」

※以上の記事は、ウェブサイトメディア「政治山」の記事を拝借しました。

産経新聞【正論】「和風元号」決断させた正論寄稿 [2023年12月18日(Mon)]

―「和風元号」決断させた正論寄稿―

産経新聞【正論】
2023年12月12日

 「令和」に改元して4年半。安倍晋三首相(当時)が元号選定の総責任者として、「大化」以来1400年近く続いた漢籍を典拠とする元号に代え、初めて和風元号の採用に踏み切った決め手の一つが、改元に先立ち筆者が当欄に寄稿した一文だったことが関係者の証言で分かった。

 ≪202年ぶりの譲位≫
 改元をめぐっては平成28年8月、当時の天皇陛下(現上皇陛下)がビデオメッセージを通じ公務についてのお気持ちを示されて以降、新元号が決まるまで3年近く、国民の間でも幅広い議論が行われた。後世に記録を残す意味も含め経過を報告させていただきたく思う。

 元号は旧皇室典範が天皇の即位から崩御までを一つの元号とする「一世一元」を定め、昭和54年に制定された元号法もこれを継承。昭和から平成への改元も昭和天皇が崩御された日に新元号を公布し、翌日から施行された。

 今回は文化14年以来202年ぶりの譲位となった。政府は多くの議論の末、最終的に平成31年4月1日に新元号を定める政令を公布し、5月1日に施行する2段構えで対応することを決めた。

 寄稿文は「中国古典にとらわれず新元号を」の一文。その年の1月3日付産経新聞正論欄に掲載された。

 この中で筆者は、明治以降、約1千に上る和製漢語が日本で作られ、中国にも導入され、現在も広く使われている点などを指摘し、わが国独自の発想で和風元号を定めるよう提唱した。

 元号制定の経過は「秘中の秘」とされ、現在も明らかにされていないが、安倍元首相の政務秘書官として最終的に選定作業にも加わり、首相談話も作成した今井尚哉氏が4年近くを経て、ようやく当時の模様の一端を語ってくれた。

 これによると、寄稿が掲載された翌日、安倍氏は新年恒例の伊勢神宮参拝で伊勢に向かった。新幹線車中で今井氏が新聞各紙の正月紙面など主だった記事のコピーを見せると、安倍首相は正論のコピーを手に「やっぱり国書でなきゃだめだよな」と和風元号に対する決意を新たにした。

 この時点で残された時間は3カ月を切っていた。当時、候補案作りを委嘱した国書や東洋史の専門家から寄せられた元号案、さらにそれ以前から引き継がれた元号案を合わせ全部で70近くの候補名があり、中国の歴史書「史記」を典拠とする「万和」など5案が有力候補に挙がっていたが、安倍氏が満足する元号案はなかった。

 今井氏によると安倍氏は、「国民から支持される元号にしたい」、「国書を典拠とする元号にしたい」との2つの思いの中で揺れていた。そんな中で筆者の寄稿が「総理があらためてマインドセットする決定打になった」というのだ。

 ≪有力候補「佳桜」は見送り≫
 その後、今井氏の要請を受け、筆者も国学院大学の知人の協力で作成された3案を提出、そのうちの「佳桜(かおう)」に安倍氏、候補案を検討・整理し安倍氏に報告する立場にあった菅義偉内閣官房長官(当時)が強い関心を示し、有力な元号案となった。

 しかし、典拠となった歌が、天武天皇が大海人皇子時代に兄・天智天皇と対立して逃れた吉野(奈良県)で詠(うた)われており、後に天智天皇の子息である大友皇子と争った壬申の乱の挙兵地にも当たることから、万一、今上陛下と秋篠宮殿下を誤って繋(つな)げて見られるような事態があってはならないとして見送られた。

 このため中西進・国際日本文化研究センター名誉教授ら2人にさらに元号案作りを依頼、最終的に中西氏作成の「令和」が248番目の元号に決まった。令和の元号案が届いたのは、新元号を決定する4月1日の閣議のわずか5日前、薄氷を踏む展開だった。

 この間の経過について安倍氏は、今年2月に発行された「安倍晋三回顧録」(中央公論新社)の中で、「事務レベルの検討で良い案が出てきて、淡々と決まっていくだろうと楽観視していました」、「(しかし、どの案も)ピンとこなかった」と述懐している。

 元号制度は紀元前の中国・前漢時代に始まり、朝鮮半島やベトナムでも使われたが、現在は日本だけに残る。公文書や健康保険証などにも使われ、「大正生まれ」、「昭和生まれ」といった形で日常生活の中にも定着している。日本独自の文化として、西暦表記と併用する現在の形が今後も維持されるのが好ましい。

 ≪高い元号に対する関心≫
 元号の制定経過が「秘」扱いされる理由の一つに、不採用となった元号案が、そのまま次代に引き継がれる点がある。

 今後、制定経過は可能な限り公開されるべきだと考える。それが元号文化に対する国民の親しみを増す結果にもなる。

 当の「正論」掲載後、筆者は賛否両論を含め多数の意見をいただいた。元号に対する関心の高さとともに、言論機関としての新聞が持つ影響力の大きさを、あらためて実感する機会にもなった。

(ささかわ ようへい)



産経新聞【正論】「若者の不安」世代越えて共有を [2023年12月04日(Mon)]

―「若者の不安」世代越えて共有を―

産経新聞【正論】
2023年11月29日

 無気力、消極的−。各種世論調査で日本の若者のこんな姿が浮き彫りにされている。

 少子高齢化に伴う社会の縮小、「失われた30年」からいまだに脱却できない経済の低迷など、深刻度を増す諸課題に何ら打開策がない現状に対する閉塞(へいそく)感、不安を反映した結果と思う。

 ≪低さ目立つ将来への希望≫
 それにしても国の将来に対する期待や自分に対する評価で、世界各国の若者に比べ、日本の若者の数字の低さが際立つ。あまりの結果に、「果たして日本の将来は大丈夫か」との不安を強くする。

 次代を担う若者が夢や希望を持てない社会の将来は暗い。若者の不安には理があり、世代を超えて現在の社会に共通する課題である。健全な社会の発展を期す上で、社会全体が事態の深刻さを共有する必要がある。

 内閣府が平成30年末に米、英、韓国など7カ国の13〜29歳各約1000人を対象に実施した調査で、「自分自身に満足している」、「自分には長所がある」と答えた日本の若者は、ともに10%台で最下位だった。

 日本財団が昨年1月に米、英、中国など6カ国の17〜19歳各1000人を対象に行った調査でも、自国の将来について、「良くなる」と答えた日本人は14%、「自分の行動で国や社会を変えられると思う」は27%とともに最下位、しかも各国と大差があった。

 ハンセン病制圧事業などで多くの国を訪問、大学での講演などを通じ、何度かその国の若者と接触してきた体験を踏まえると、日本の若者は総じておとなしく、時に気迫に欠けると感じる。

 国民性の違いもあるが、背景には世界の先端を進む少子高齢化に伴い、社会のひずみが各国より一足早くわが国で顕在化している、といった事情もあるだろう。

 ≪続く「失われた30年」後遺症≫
 まずは経済。回復基調にあるものの30年以上を経た現在も低迷から脱しきれていない。日本の国内総生産(GDP)は昭和30年から20年近く続いた高度成長期には世界2位になった。しかし、平成22年に中国に抜かれて3位となり、先月、国際通貨基金(IMF)が公表した予測では、近くドイツを下回り世界4位に転落する。

 30〜40年前、世界の主要国の中で2〜4位を誇った日本人の平均給与も、令和4年現在、458万円(国税庁「民間給与実態統計調査」)と30年前の472万円に比べ下がった。この結果、順位も経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中24位に落ちている。

 この間、財源を赤字国債に頼る傾向が強まり、国債と借入金などを合計した国の借金はGDPの2倍の1270兆円に膨れ、一方で企業の内部留保は令和3年度、516兆円(財務省「法人企業統計」)と過去最高を記録した。

 今後、高齢化に伴い年金、医療、介護など社会保障関係費は確実に増える。財源をどう確保していくのか、政府の基本方針はいまだ見えない。一方、本来、新規投資や従業員の給与改善に充てられるべき企業の利益がなぜ、巨額の内部留保となっているのか、分かりにくさが付きまとう。

 加えて65歳以上の高齢者1人を支える現役世代(15〜64歳)の数は半世紀前の9人から令和2年は2.1人、30年後は1.3人と急速に厳しさを増す。とりわけ賦課方式で必要な財源を現役世代からの保険料収入で賄う公的年金制度への影響は大きい。

 若者の不安の背後には、重くのし掛かる負担を自分の力だけではどうしようもない無力感、さらに先が見えない閉塞感がある。日本財団が10月、「社会保障」をテーマに17〜19歳の1000人に聞いたところ、3人に2人が老後(65歳以上)の生活に「不安がある」と答えている。

 頼みの年金制度の将来に関しても4人中3人が、「(高齢者になったときには)維持が困難になっている」、「破綻している」と悲観的な見通しを示し、「年金だけでおおむね生活できると思う」との回答はわずかに3.8%。3人に1人が老後の生活の糧のトップに貯金を挙げ、若者の消費が伸びない一面をうかがわせている。

 現在の形を維持していくのは難しく、調査では6割が現行の公的年金制度の「改革の必要性」を指摘し、政治に若者の声が反映されるよう求めている。

 ≪薄い政治への期待≫
 国の未来を決めるのは政治である。筆者に言わせれば、近年の日本の政治は大衆迎合主義(ポピュリズム)の傾向を強め、若者の不安に応える具体策を示し得ていない。10代、20代の投票率の低さは、期待の薄さの表れでもあろう。政治に関しては別の機会に、あらためて触れたい。

 繰り返しになるが、若者が不安を持つ課題はいずれも社会全体に共通する喫緊の課題である。「若者の問題」と対岸視すれば、事態は一層深刻化する。

 財源問題一つとっても、世代を超えて危機感が共有されて初めて幅広い国民の納得が得られ、事態を打開する糸口が見えてくる。
(ささかわ ようへい)


「母乳売ります」―絶対買わないで下さい― [2023年11月24日(Fri)]

「母乳売ります」
―絶対買わないで下さい―


日本財団母乳バンクでは、ドナーから提供された母乳を滅菌の上、衛生上完全な状態で母乳を必要とする未熟児に無料で提供しています。

大学病院の医師の中には、従来通り人工ミルクで充分と考えている方もおられるようです。しかし、母乳と人工ミルクでは成長に差があり、腸の発育には母乳の有用性が証明されていますが、衛生上の問題もありますので、絶対に買わないで下さい。

最近、SNSを中心にネット上で母乳の売買が行われているようです。そこでお母さんの母乳が得られない小さな命を助けるのを目的に設立されたのが「日本財団母乳バンク」です。しかし、私たちの努力が不足していることもあり、母乳バンクの認知度が進んでいないことも事実です。

お母さんや近い将来お母さんになる方々に母乳バンクを知ってもらい、万が一未熟児が誕生した場合、是非母乳バンクを利用したいと担当医師に伝えてもらいたいものです。多くのお母さんから善意の母乳を戴いており、安心してご利用下さい。

母乳売ります.jpg
「#母乳売ります」「50CC 2500円」


以下は11月15日付、日本経済新聞(夕刊)の記事を拝借しました。

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「母乳バンク」認知進まず
「内容理解」3割弱どまり
低体重児にドナーミルク提供


 寄付された母乳(ドナーミルク)を低体重で生まれた赤ちゃんに提供する「母乳バンク」について、名称も内容も知っているという母親は26.9%だったことが、子ども用品メーカー「ピジョン」(東京)の調査で分かった。調査は2020年から毎年実施し4回目。前年の29.7%から「ほぼ横ばい」(同社)で、認知度の向上が課題だ。

 国内でドナーミルクが必要な新生児は年間5千人と推計される。母乳は、低体重児がかかりやすい病気の罹患(りかん)率を抑える効果が国内外の研究で確認されている。

 今年の調査は6月、妊娠中か2歳以下の子どもがいる20〜40代の父母にウェブ上で実施。1032人から回答を得た。

 うち母親は516人が回答。母乳バンクに関し「聞いたことはあるが内容はよく知らない」206人(39.9%)、「聞いたこともなく内容も知らない」171人(33.1%)だった。

 名称も内容も知っている母親の方がドナーミルクの利用に抵抗感が少なかった。

 母乳バンクは1500グラム未満で生まれた赤ちゃんに母親が母乳をあげられない場合に利用。ドナー登録した別の女性の冷凍保存された母乳を医療機関の要請に応じて発送し、新生児集中治療室(NICU)で与える。

 低体重児にとって粉ミルクは消化する際に体に負担がかかりやすく、母乳が最適な栄養とされ、医学的にドナーミルクが必要かどうか医師が判断する。

 国内では日本母乳バンク協会と日本財団母乳バンクがそれぞれ運営し、22年度は計約800人に提供した。今年6月には藤田医科大病院(愛知県豊明市)に3カ所目が設置された。

 ピジョンはウェブ上で母乳バンクの紹介動画や、利用者の体験談などを載せた「ドナーミルクご利用家族向け・情報Book」を公開。担当者は「今後は特に産前の父母への啓発に力を入れたい」としている。

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日本財団母乳バンク連絡場所
住 所:東京都中央区日本橋小網町17番10号
    日本橋小網町スクエアビル1
連絡先:Email: info@milkbank.or.jp