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産経新聞【正論】百年後をにらみ海の再構築を [2017年07月24日(Mon)]
100年後をにらみ海の再構築を


産経新聞【正論】
2017年7月3日


 温暖化・酸性化、漁業資源の枯渇、プラスチックごみの増大−。海の危機が急速に拡大しており、6月初旬には初の国連海洋会議も開催された。

≪なお薄い国際社会の危機感≫
 しかし、米国のトランプ大統領が、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を目指すパリ協定からの離脱を表明するなど、陸や海の環境悪化に対する国際社会の危機感はなお薄い。

 海に関係する国際機関は国連食糧農業機関(FAO)、国際海事機関(IMO)、国連環境計画(UNEP)など9機関に上り、1993年の生物多様性条約など多くの条約、協定を定めているが強制力を欠き実効を上げるに至っていない。そんな危機意識から、海洋会議最終日の国連総会本会議で、筆者は世界の非政府組織(NGO)を代表して、国を超えて海の問題を話し合う政府間パネルの設置を提案した。

 わが国でも海を管轄する行政機関が9省庁11部局にまたがり、施行から10年を経た海洋基本法が十分機能しない現実がある。縦割りの各組織が横の連携を欠くのが一因で、政府間パネルでは各国が問題点や必要な対策を共有し、有機的な連携を強化したいと思う。日本はじめ各国が前向きに受け止めてくれるよう願っている。

 地球温暖化の原因となるCO2濃度は18世紀後半から19世紀にかけた産業革命以前に比べ40%増加、これに伴い平均気温も1度上昇し、パリ協定では気温上昇を産業革命以前に比べ2度未満に抑えるのを目標に、各国が独自のCO2削減目標を策定している。

 しかし現実には、各国がそれぞれの目標を達成しても地球温度はなお3度近く上昇するとされ、各地の海水温度も既に1度前後の上昇が見られる。

 この結果、種に適した水温の海域に魚が移動し、世界の魚の分布に大きな変化が出ているほか、大気中の過剰なCO2が海水に溶け込むことで酸性化が進み、豪州や沖縄では大規模なサンゴの白化現象も起きている。

≪深刻な乱獲やプラスチックごみ≫
 魚の乱獲も進んでいる。FAOは主要な魚種200種類のうち8割以上を「これ以上、獲(と)ってはいけないレベルにある」と警告しているが、依然、歯止めが掛かっていない。世界の人口70億人のうち30億人が水産物を動物性タンパク質の主要な供給源とし、健康志向の高まりもあって総消費量は、この40年間で2倍に増えている。

 日本財団がカナダなど世界の7大学・研究機関と2011年から取り組む国際海洋プログラム「海の未来の予測」によると、赤道周辺の商業種の漁獲可能性は50年までに40〜60%減少し日本産のすしネタが姿を消すといったショッキングな報告もなされている。

 プラスチックごみによる汚染も深刻だ。世界の生産量は12年、2億8800万トンに上り、米ジョージア大の調査によると、このうち1.6〜4.4%が海に流出。波間を漂ううち微小に砕け、海の生態系を壊し、海産物を通じて人間の健康に悪影響を与える恐れも指摘されている。中国やインドネシアなどリサイクルや廃棄処理が適切に行われていない地域からの流出が多く、UNEPは15年、プラスチックごみが生態系や漁業など海洋に与える経済損失を年間130億ドル(約1兆4500億円)に上ると報告している。

≪これ以上の負荷に耐えられない
 政府間パネルの設置と合わせ、国際協力による海底地形図の作成や国連の海事・海洋法課(UNDOALOS)と協力した海の人材育成も提案した。
 
 特に海底地形図は月や火星の表面がほぼ解明されている現在でも、領海や排他的経済水域(EEZ)を除いた公海の深海部を中心に85%が未解明の状態にある。当面、日本財団と大洋水深総図(GEBCO)指導委員会の共同作業として進め、各国に領海やEEZの未公表データや漁船、商船に装備されている測深機のデータの提供を求め、30年までに完成させたいと考える。

 成果をGEBCOの公式サイトで公開するほか、グーグルの検索サイトとも連携することで国際的な共有財産として台風や津波の進路予測、海底資源の発掘などにも活用できる。

 数年前まで海の危機は過剰操業に伴う漁業資源の枯渇が主たるテーマだった。しかし現在は海洋の温暖化や酸性化が深刻化し、元の状態に戻すのはもはや、不可能といった指摘さえ耳にする。

 人類は、17世紀のオランダの法学者グロチウスが唱えた「海は無限」「海洋の自由」そのままに、地球の3割を占める陸に比べ、7割の海を野放図に使ってきた。国連は地球の人口が半世紀後に100億人を突破すると予測しており、海はこれ以上の負荷に耐えられない。

 海の危機は「待ったなし」の状況にあり、“母なる海”が死ねば人類の生存は不可能になる。国際社会は100年、200年後をにらんで海の再構築に本格的に取り組まなければならない。
(ささかわ ようへい)




産経新聞【正論】「職親」の主役担うのは中小企業 [2017年07月05日(Wed)]
「職親」の主役担うのは中小企業

産経新聞【正論】
2017年6月5日

 企業が職を通じて親代わりとなり、刑務所出所者や少年院出院者の社会復帰を促す「職親(しょくしん)プロジェクト」がスタートして5年目。法務省など「官」との連携も進み、職親の言葉が犯罪白書にも載るようになった。

 5月上旬には新潟県上越市に地元企業11社が参加して全国5番目の拠点も立ち上がり、試行錯誤を重ねながら、着実な広がりに手応えを感じている。

 ≪出所後の手厚いケアが鍵に≫
 プロジェクトに関わって、不幸な生い立ちから愛情に飢えている出所者が多いのに驚く。彼らの立ち直りは、信用できる雇用主の存在があって初めて可能になる。大企業にこうした濃密な人間関係を求めるのは組織的にも難しく、職親には中小企業こそふさわしい、と実感する。

 中小企業はわが国の企業の99%、380万社に上る。職親が増えれば無事、社会復帰する出所者も確実に増える。情熱を持った企業の参加を強く求めたい。

 2016年版犯罪白書によると、出所者のうち過去最高の48%が再犯に走り、職のない出所者の再犯率は有職者に比べ3.4倍に上っている。出所後、新たな犯罪に手を染め刑務所に戻る率は2年以内が19%、5年以内が39%。

 職があっても昔の仲間の元に戻るケースや店の金に手をつけ姿を消す出所者も多く、入所中だけでなく、出所後のケアをどう手厚くするかが再犯を減らす鍵となる。

 これに対し政府は13年、「世界一安全な日本」創造戦略を閣議決定し、出所者の「仕事(職)」と「居場所」の確保に向け、東京五輪が開催される20年までに出所者を雇用する企業を3倍にする目標を打ち出した。昨年には刑務所や少年院の出所・出院予定者の年齢や資格、職歴などをデータベース化し、企業の問い合わせに応じる法務省矯正就労支援情報センター(コレワーク)をさいたま、大阪両市に設立した。

 ≪雇用主の強い決意が自覚促す≫
 国の契約雇用主制度には現在、大手企業を中心に約1万6000社が登録、経済界の支援で実質的な受け皿となる全国就労支援事業者機構も整備されている。だが、実際に雇用された出所者は約1400人にとどまり十分機能しているとは言い難い。

 これに対し職親プロジェクトでは、先行した大阪、東京、福岡、和歌山の計67社で79人が就労を体験、36人が半年間の研修を終了し、16人(20.2%)が現在も雇用を継続している。

 同種データはほかになく意見は分かれると思うが、20%の出所者が研修終了後も職場にとどまっている意味は大きい。プロジェクトでは、雇用主は出所者を雇っている事実を、出所者は前歴を明らかにするのを原則としている。それが企業と本人の責任と自覚を高め、社会の理解につながるとの判断だ。

 こうした対応は、オーナーが強い決意を持つ組織において初めて可能になる。プロジェクトの中核的存在である、お好み焼き「千房」(本社・大阪市)の場合は、中井政嗣社長の強い決意で職親の先駆者となった。

 現に67社の大半はオーナー経営の中小企業で占められ、新たにスタートした上越市のように、過疎が進む中山間地を舞台に地域ぐるみで再犯防止と地方創生を目指すプロジェクトもある。

 プロジェクトでは法務省や厚生労働省、職親企業やNPOなどが参加する連絡会議も発足し、問題点や取り組みを協議している。

 法務省の矯正行政は入所中の改善・更生を柱にしており、出所後に目配りした対応には限界がある。それでも、われわれが強く求めたモデル刑務所の設置が、全国8つの矯正管区のうち3カ所で実現することになった。社会の幅広い理解に向け、先駆的な試みが検討されることになる。

 ≪新たな官民協力の形に発展も≫
 今後は、入所直後から出所時を想定して社会復帰に向けた基礎学力から社会常識、さらに必要な技術を身に付けさせる方法や、入所者の特性や希望と、採用を考える企業側の条件を早い段階で付き合わせ、内定すれば入所中から職種に合わせた訓練を行うような工夫も必要になろう。

 官民が協力することで、これまでは不可能だった試みも可能になる。他地区でも職親プロジェクト設立の検討が進められているほか、新たに上場企業が参加する動きもある。

 出所者が安定して職に就けば本人の生活は安定し国の社会負担も減る。中小企業の慢性的な人不足も緩和され、近江商人の格言ではないが「三方よし」となる。出所者の就労が定着し、社会の理解が進めば、CSR(企業の社会的責任)を意識して前向きの姿勢に転ずる大手企業も出よう。

 極めて難しいテーマだが、新しい官民協力の形も見えつつあり、再犯防止推進法に基づく各省庁の具体策も年内にはまとまる見通しだ。成功モデルとして発展させることが、山積する社会課題の新たな解決策にもつながる。
(ささかわ ようへい)


産経新聞【正論】豊洲と福島の「安心」を醸成せよ [2017年05月17日(Wed)]
豊洲と福島の「安心」を醸成せよ

産経新聞【正論】
2017年5月1日

 東京・築地市場の豊洲新市場への移転をめぐり「安全・安心」の議論が盛んである。東京電力福島第1原発事故でも1ミリシーベルトの除染基準をめぐる同様の議論が、発生から6年を経た現在も続いている。

 「安全であれば安心」。それが本来の姿である。ところが豊洲新市場では安全に問題がないと思われるのに不安ばかりが先行し、福島の除染では、どの基準が安全なのか分からないまま被災者の不安が膨らんでいる。

 ≪築地市場の老朽化こそ問題だ≫
 豊洲新市場問題では、地下水から環境基準の79倍のベンゼンが検出されたことなどから昨年11月に予定されていた移転が見送られ、今後の展開は今も見えていない。

 問題となった地下水の環境基準は2リットルの地下水を毎日、一生飲み続ける場合を仮定して設定されており、現実に有り得ないケースを基にした数字で健康への影響を論じても意味はない。

 それ以前に豊洲新市場では、地下水の飲用水利用を予定しておらず、地下水の基準値オーバーをそのまま市場の安全性に結び付けるのは筋違いである。

 しかも、こうした土壌汚染は東京ガスの跡地である豊洲を移転先に選んだ時点で織り込み済みだったはずで、今、問題にすべきは、開場から80年以上経て老朽化が目立つ築地市場の安全性との比較であろう。

 万一、災害が発生すれば、発がん物質であるアスベストの飛散なども懸念されている。将来にわたり安全かつ安定的に食材を提供する市場をどう確保するかが、移転問題の本質である。

 豊洲移転はそうした点を総合的に判断して決定されたはずだ。石原慎太郎・元東京都知事ら関係者には、その経過を自信を持って説明してほしいと思う。メディアに対しても、地下水の環境基準の性格や飲用水としての利用が予定されていない点を分かりやすく報道するよう望みたい。

 移転問題は築地市場の老朽化に加え、既に6千億円もの資金が投入された経過もある。現在の状況が続けば不安ばかりが高まる。都としての結論が早急に示されなければならない。

 一部で指摘されるような都議選を視野においた政治的思惑があるとすれば、都民にとって迷惑な話でしかなく、政治に対する信頼が一層、揺らぐことにもなる。

 ≪被災地に募る住民の戸惑い≫
 一方、東電原発事故に伴う除染問題の経過も混乱を極めた。当時の民主党政権は当初、国際放射線防護委員会(ICRP)が2008年に打ち出した原子力災害時の年間被曝(ひばく)線量基準「1〜20ミリシーベルト」を基に、年間5ミリシーベルトを目標にしたが、より厳しい数値を求める被災地の声を受け、最終的に1ミリシーベルト以下を採用した。

 この数字に関しては、当のICRPの学者や国際原子力機関(IAEA)などからも異論や疑問が出され、環境省の除染情報サイトも「『これ以上被ばくすると健康に影響が生じる』という限度を示すものではありません」「『安全』と『危険』の境界線を意味するものでもありません」と記している。

 一方で避難指示解除の目安は「年間20ミリシーベルト以下」に設定され、世界平均で年間2.4ミリシーベルトに上る自然の放射線と事故で放出される放射性物質と放射線との関係や甲状腺がんとの因果関係など、難解なテーマがあまりに多い。

 避難指示が解除された地区の帰還率は大半が20%以下にとどまり、日本財団がICRPや福島県立医科大などと協力して被災地で開催している住民対話でも、「安全と思うが不安だ」といった戸惑いが多く聞かれる。

 除染作業の全体的な遅れと、安全を実感できる基準値の不在が、被災者の不安といらだちを高め、福島に対する偏見がなくならない一因もここにある。

 ≪早急に除染基準の見直しを≫
 除染は国の作業が一部の帰還困難区域を除きほぼ終了した。しかし国の予算で市町村が行う除染実施区域はまだ多く残され、推定2200万立方メートル(東京ドーム18個分)にも上る廃棄物の中間貯蔵施設の整備は緒に就いたばかりで、用地確保は依然、難航している。

 1ミリシーベルトの除染基準について、当時の民主党政権の責任を問う声もあるようだが、ここは政権党が野党の協力も得て早急に見直すよう求めたい。それが被災地復興を加速させることにもなる。

 世界は何が起きてもおかしくない激動の時代を迎え、混迷の度を深めている。社会の不安は大きく、少しでも安心を醸成するには、科学者ら専門家の的確で分かりやすい分析、冷静でバランスが取れたメディアの報道、政治家の責任感と覚悟が欠かせない。

 しかるに双方の経過を見ると、安心を醸成する上で政治がその役割を果たしているとは、とても思えない。政治に対する信頼なくして社会の安心は育たない。そのためにも政治家には、ポピュリズムに流されることなく、党利党略を排し、自信を持って自らの信念を語る勇気を持ってほしく思う。

(ささかわ ようへい)


月刊新聞「MORGEN」―インタビュー記事― [2017年05月08日(Mon)]
月刊新聞「MORGEN」
―インタビュー記事―


2017年4月7日


 公益財団法人日本財団会長の笹川陽平さん(78)。昭和の巨星といわれた亡父・笹川良一の意を継ぎ、日本財団のトップとして幅広い活動の先頭に立つ。再犯防止、地方創生、自殺防止、障害者福祉、特別養子縁組など様々な国内課題、ライフワークである国際的なハンセン病制圧活動、母なる海の環境保全、70年にわたり内戦が続くミャンマーの民族和解に向けた日本政府代表としての活動など対象は驚くほど広い。山積する社会課題の解決には行政や企業、民間団体が協同して社会改革を引き起こしていくことが不可欠。そのためにも大きな目線で社会を見る人材が必要との考えに立ち、職員にも「年間30冊以上の読書」を求める。日本を代表する“巨人”の一人、笹川氏に若者に託すホットな思いを聞いた。

*    *

 読書との関わりは―
 若い頃は、机に座って本を開くよりも、どちらかといえば体験主義でした。読むのは専らビジネス書が中心で、小説の割合は小さかった。それが50歳をすぎたあたりで、急に読書に興味が湧いてきて・・・・・、だから今が最盛期じゃないかな。とにかく出来るだけ沢山の良書を読んでおきたいという気持ちで一杯なんです。

 財団内の読書啓発をはじめられたきっかけは―
 インターネットが普及する現代社会は、携帯電話の画面上で少し指を滑らせれば、情報がすぐにとれる。そしてそれで、みんな満足してしまう。でも、ネットで得た情報というのは、単なる知識であって、教養にはつながらないんですよ。昨今は、「反知性主義」(知的エリート主義に異を唱える思想)などが盛んに叫ばれ、教養は、まるでいらないかのように言われる事もありますが、本来、教養とは、自己顕示のためのものではなくて、自分自身の心の栄養であり、人生を豊かにするものです。そして、物質的に満たされたいまの日本で、足りないのが、まさにこの心の充足なんです。いまの若い人たちは、本当に本を読まない、心に栄養が足りていない。「健全な精神は健全な肉体に宿る」の格言を待つまでもなく、健全な精神の養成に読書は不可欠の思いから、この取り組みを出発した。

 教養不足のデメリットは―
 あまりにも、自分の国のことを知らなさすぎることですね。まず日本の歴史を知らないし、日本の偉人、先人を知らない。これで、どうやって、日本人としてのアイデンティティを持って生きていこうというのか・・・・・、そう思わずにはいられません。この取り組みをするなかで、何度も、こういった話をしてきましたが、ようやく最近、古事記や新古今和歌集を手に取った、という職員が出てきました。

 本をこころの栄養にするために大事なことは―
 まずは活字に親しむこと、そうして、読む楽しみを発見してほしいものです。また、あたかも教科書にでも向かうように、読む前から、本から何かを得よう、と考えるのは、間違いです。そうではなくて、ただただ、まっすぐ読む。その集積が教養となり、人格となって顕われる。そういうものが蓄積されると、頭の中で化学反応を起こし、ひとつの知恵として、表に出せる能力を持つにいたるのです。

 おすすめの読書は―
 やっぱり、歴史の風雪に耐えた名著と呼ばれるものを読むことだと思います。ひとそれぞれ好き嫌いはあると思いますが、そこに答えはあるんじゃないかと・・・・・・。私の場合はどちらかというと、戦前までの本が多いですね。

 こころに残った作品は―
 永井荷風や夏目漱石は好きですね。いま凝っている小説は、藤沢周平です。とくにその風景描写は絶妙で、国木田独歩の「武蔵野」も素晴らしいですが、藤沢周平は本当に見事ですね。本を開くと、途端に、その時代の空気がそのまま流れ込んでくる。読んでいてホレぼれします。

 今の若者に求める読書は―
 昨年3名だった食事会の参加者が今年は16名に増えました。秋頃、社内に送った催促のメールが功を奏したようです(笑い)。そして本はちゃんと本屋に行って自分で買えと言います。自分で足を運んで、目で選んで、お金を払って、そういうことがやはり、大事なことなんです。

 人生を豊かに 読書の復権を目指す
 本も冬の時代、日本財団ではブックフェスタを―

 先進国でブック・フェスティバルが盛んじゃないのは日本だけなんです。そんなこともあって、日本財団では、過去に、2年続けてブック・フェスティバルをやったことがあります。早稲田を走る都電のなかで読書をしたり、早稲田大学や東京大学、紀伊国屋書店の協力をもらい、読書会や詩の朗読会を開きました。残念ながらこの試みは、結局、出版社との連携を得られず、終わってしまいましたが、本や、読書の有意性、楽しさを伝える活動はもっと必要だと思います。

 現在の読書との付き合いかたはどのように―
 1年の3分の1を海外で過ごし、基本的に、朝7時半から夜7時までは仕事なので、普段は本に親しむ時間はありませんが、日本と海外を結ぶ、空の道中や、近年、増え続ける休日には、のんびりと本を楽しんでいます。
 人生で一番の楽しみを聞かれれば、「仕事」と答えますが、それ以外の時間も、読書という楽しみを持つ今は、まさに人生、第2の青春期ですね。

 若者に伝えたい事を一言―
 いや、本当に活字は楽しいですよ。生きとし生けるものの中で、活字が読めるのは人間だけなんですから、せっかくのその特徴を生かして、こころを豊かにしなくちゃいけない。テレビやスマホで得る幸福感は、瞬間的な豊かさであって、本当の豊かさではないんです、それでは心は鍛えられない。もっと精神的に強くならなければいけないし、知恵を出さなければ、生きてはゆけない。それには沢山の本を読んでおかないと、やはり知恵は出てこないんですよ。ですから、ぜひ、知識で終わらせず、知恵を身につけてもらいたい。
 衰退する読書習慣ですが、実は日本には、絵本は良いものがたくさんある。そこから先が途切れてしまっているんです。その先をどうにかするのが、いまの課題なのではないか、と感じています。

 最後に私の好きな言葉を紹介します。
「私が人生を知ったのは、人に接したからではなく、本に接したからである」
               アナトール・フランス(ノーベル文学賞受賞者)
「春の定例記者会見」―挨拶― [2017年04月21日(Fri)]
「春の定例記者会見」
―挨拶―


新年度開始の恒例の記者会見には、69社89名、約10台のカメラが入り、盛会でした。

DSC_5359.jpg


以下は冒頭挨拶です。

******************


2017年4月3日(月)
於:日本財団ビル2階大会議室


日本財団の笹川でございます。今日はお忙しい中お集まりを頂きまして恐縮でございます。 

我々日本財団は、事業の透明性と説明責任をきちんと果たしていくということを大きな柱として仕事をしております。今日は新年度でございますので、予算その他の説明もあろうかと思いますが、まずは私から簡単にご挨拶させて頂きます。

今や国家は1千100兆円を超える財政赤字を抱えており、国民一人ひとりが約870万円ともいわれる借財を背負った形になっているわけです。そのため日本のように成熟した社会の中でも様々な社会課題が顕在化しており、その解決は国家、行政、あるいはNPOだけでは解決ができない時代に入ったと私は認識をしております。

日本財団では職員がそのような社会課題を発掘し、行政、政治家、学者、皆様方のようなメディアの代表の方、市民社会からもご参加頂き、時には当該大臣にもお出ましいただき、その問題について議論し、ある程度の方向性が出たら即、日本財団が実行し、モデルケースを作ることによって全国に波及させていきたいと、それを私は「日本財団という方法」という言葉で表現させて頂いております。

ご高承のとおり、既に特別養子縁組に対しても何度も議論を重ね、「日本財団という方法」で行動に移し、その結果「養子縁組斡旋法」が成立しました。また、非常に困難を極めました「児童福祉法」の改正にもお役に立てたのではないかと思います。

また、私が新聞紙上で何度も論陣を張ってきました「休眠預金」も、時間はかかりましたが、成立することが出来ました。これは、皆様の1万円以下の小額預金や10年間出し入れのない資金というものが実は膨大なものがございまして、10年間出し入れがないと自動的に銀行協会の、驚いたことに「内規」で、全てを雑収入として計上してきたという歴史があります。恐らく数千億円を超えると予測されています。リーマンショック以降は国家資金が導入されたにもかかわらず、庶民の浄財が雑収入として計上されていることに気が付き、国民のお金を国民にお返し願いたいということで、3年かけて休眠預金法という法律を制定されました。年間約1千億円程と発表されているこのお金がどのように活用されるのか、注目したいところです。

実は、国民一人当たり12冊の預金通帳があります。なぜ人口1億2千万人の日本に12億口座もあるのでしょうか。これは以前、預金獲得運動ということで口座獲得が行われた成果です。これらのほとんどは仮名で、中には犬や猫の名前がついたものもあったようです。従いまして、そういうお金、あるいは既にお亡くなりになった方のものは、相続のきちんとした書類がなければ返せないわけで、「申請があればすぐに国民に返す」といいながら、ほとんど銀行の雑収入として計上されてきたわけです。

今後は年間約1千億円といわれているうちの5百億円が地方の様々な活動資金、小額で担保の取れないような方々、あるいはNPOに利用されるのではないかと期待しておりますが、どういう形になるかは私共の知るところではなく行政の内部で検討されていることですが、来年度にはこれがスタートするわけで、期待を持って見つめていきたいと思っております。

また最近では、犯罪者の再犯率が非常に上がっているという報道が頻繁になされています。第一次安倍内閣の時にはあった「再チャレンジ」という言葉が今の政権では無くなってしまいましたが、罪を犯した人が再チャレンジできる社会にしていくことも課題の一つとして取り組んでおります。

再犯をいかにして防止していくかということを「日本財団という方法」で取り組んでおります。その間法務大臣は3人替りましたが、そのたびに説明させて頂き、これは早急に取り組む必要があるということで「再犯防止推進法」という法律を制定するに至り、行政、あるいは法律の改善にも多少お役に立ってきたのではないかと思っております。

一方で今私たちは、特に障がい者就労支援に力を入れております。障がい者の施設での賃金は1ヶ月間に1万円ちょっとでございます。障がいの度合いにもよりますが、これでは生活は困難です。これに対して、その人たちを預かっている社会福祉法人等では14〜18万円のお金が入ります。皆様、この話を聞いて少しおかしいと思われないでしょうか。障がい者たちがきちんとした仕事に就ければ、国の保護から、いわゆる社会に税金を納める立派な社会人になりうる可能性すらがあります。活動する能力があるにもかかわらず、社会福祉法人等では14〜18万円の収入を得ながら、働く障がい者が1万円ちょっとの収入しか得ないというのはおかしな話でございます。

日本財団はこのように障がいを持ちながら就労する方たちに3倍の給料を払えるようにしようということで、盛んに努力を致しております。文京区には全く耳の聞こえない人たちのレストランが出来ました。また、こういう方たちは大変集中力がありますので、才能を発揮してチョコレートを製造し、デパートを含め既に7ヶ所に販売網を広めて大変好評を博しており、製造が追いつかず、追加の支援を考えているところです。さらに近々は、花屋をオープンする予定もございます。

日本財団はこれまで2,000〜3,000件の社会福祉法人等の障がい者就労支援に助成してきました。印刷所、クリーニング店、パン屋を営んでいる事業所等、私も全国を歩き回りましたが、正直に申し上げると、社会福祉法人等の経営者は障がいを持つ就労者をどううまく使うかということについてはあまり熱心ではなかったように思えました。仕事を与えていますということで満足し、皆様懸命に働いていらっしゃるのですが、賃金はそのままで、もっと稼いでこの人たちに1円でも多く給料を払おうという姿勢は残念ながら見られませんでした。

このような長きに亘る我々の失敗、反省を踏まえ、これからは起業家マインドを持って運営して下さる福祉事業者を選び、日本財団も共に考え、共に汗を流して障がい者の賃金3倍増を実現したいと思います。当財団にはカリスマ指導者・竹村利道がおりますので、後ほど彼の話を聞いて頂ければと思います。

昨年10月にはソーシャルイノベーションフォーラムを開催致しました。ご高承の通り、今一流大学を出て一流企業に就職した人の約3割は3年以内に退職しています。これは生き方が変わってきたのでしょうか。人生に対する考え方が変わってきたのでしょうか。大きな企業の中で、果たして自分はどういう存在なのだろうかということを意識した時、もう少し社会と密着したところで、自分のかいた汗が見えるようなところで仕事したいという人が各地に沢山現れてきております。そういう意味で、私は日本の未来は明るいと思うと同時に、こういう青年たちをどのようにして激励と支援をしていくのかを考えることが大切だと思っております。

今年もこのフォーラムの開催を予定しております。全国の過疎地や中山間地域の人口が減少したところ、あるいは日本全国の小さな市や町で活躍している志の高い若者たちが東京に参集します。お互いの情報を交換し、ネットワークを組んで新しい日本を作っていこうじゃないかと、意欲に燃えている方ばかりです。私たちはそのモデルケースとして、優勝賞金1億円、最大3年間で3億円の資金を提供することによって、成功例をいくつか作っていくべく、今、ソーシャルイノベーターを募集しております。最大3年間で3億円ということですが、3年間で使う必要はございません。10年かけてやった方がもっと効果的なこともあろうかと思います。それは日本財団と相談してやって頂ければ結構です。ソーシャルイノベーターの募集に是非、ご協力を頂きたいと思います。昨年度の3人は既に大変意欲的に仕事を始めており、いずれご報告の機会があろうかと思います。

話題は変わりますが、1つは日本財団の話、もう1つは公的な話でございます。

日本財団は40年の長きに亘って世界のハンセン病の制圧に尽力して参りました。そして、これは大成功をおさめました。日本財団が世界に薬を5年間無償配布した結果、500〜700万人が病気から解放されたました。WHOが制圧の基準とする「人口1万人当たり患者1人未満」達成まで、あとブラジル1カ国のみというところまで参りました。しかし、私はよくモーターバイクに例えてこの病気を説明するのですが、前輪は病気を治すこと、後輪は社会的な差別から解放すること。病気が治っても社会の側に差別や偏見が消えたわけではございません。この差別、偏見に対する取組みにあたっては、日本政府の協力を得て、国連総会で193カ国全てが賛成をして、驚かれるかもしれませんが、日本の人権問題では常に中国やキューバが反対するのですが、私たちの提案には中国もキューバも日本の共同提案国になって下さいました。今、病気の最終段階であると同時に差別の法律もきちんと国連で原則とガイドラインが作成され、実行について具体的な検討に入っているところでございます。

もう1つは、ミャンマーにおける活動についてです。私はミャンマーの少数民族武装勢力とミャンマー政府との停戦和平、ミャンマー統一のための紛争解決の日本政府代表を務めさせて頂いております。3年間で51回現地に入りました。懸命な努力を続けておりまして、ついに一昨年8組織との停戦合意するに至り、その地域には世界で日本財団だけに復興支援活動が許可されました。現在1,250戸の住宅建設に着手しております。ヤンゴンから車に乗って10時間、そしてバイクに乗って2時間、その先は道がありませんから象に乗って2時間、象が木材や建設資材を運んでくるという困難な場所もございますが、ご興味のある方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。ご案内させていただきます。これは日本政府の資金ですが、現在のところ世界でも日本財団だけにしか和平が実現した少数民族武装勢力地域での復興支援の許可がおりていませんので、私共のみが活動しているという状況でございます。いずれ我々の成果が評価されればJICA等、他の組織が入るようになり、復興支援の中で日本が大きな役割を果たせるのではないかと思っております。
産経新聞【正論】養子縁組を社会的擁護の柱に [2017年04月07日(Fri)]
養子縁組を社会的擁護の柱に


産経新聞【正論】
2017年3月21日


 欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。

 ≪まずは施設から里親委託へ≫
 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。

 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で民間の養子縁組あっせん団体も届け出制から許可制に変わった。

 里親委託を増やす一方、民間あっせん団体の透明性を高め、官民一体で特別養子縁組を増やす狙いと理解する。ただし養子縁組は双方のマッチングなど難問も多く、短期間の大幅増は難しい。

 当面は乳児院、児童養護施設から里親への移行が政策目標となる。現に年間4500件の特別養子縁組が成立する英国、同5万件の米国も現時点では社会的養護の71〜77%を里親に頼っている。

 しかし両国とも最終的な目標はあくまで特別養子縁組だ。里親委託は恒久的な家族が見つかるまでの経過措置と位置付けている。

 それでは、わが国で養子縁組を普及させるには何が必要か。ポイントの一つは、子供の措置(委託)先を決める権限を持つ児童相談所の機能強化である。現在、全国の都道府県、政令指定市に計207カ所設置され全体の職員数は1万人を超える。

 しかし里親・特別養子縁組に対応する常勤専任職員を配置しているのは86カ所、14年に児童相談所の関与で特別養子縁組に進んだ件数も82件にとどまる。

 ≪児童相談所機能の分割強化を≫
 一方で同年に児童相談所が相談対応した児童虐待や非行は15年前の7.6倍に当たる約8万9千件、対応能力は限界に来ている。虐待・非行も里親・養子縁組も避けて通れぬ重要テーマである。

 人事異動の多い一般行政職ではなく、約3千人の児童福祉司や社会福祉士、臨床心理士など専門職員を増やすと同時に双方の機能を分け、総合力をアップする必要がある。

 施設や里親のもとで暮らす子供たちと養子縁組希望者の情報を全国的に集約し、双方のマッチングを広く調べることを可能にするネットワークの整備も欠かせない。情報が増えればその分、養子縁組が成り立つ可能性も上昇する。

 厚生労働省の資料によると、不妊治療を受ける夫婦は全国で40万組を超え、一方で年間の人工妊娠中絶件数は新生児数の約20%に相当する18万6千件(13年度)に上っている。養子縁組を希望する夫婦は多く、妊娠中絶の中にも子供の将来を確実に託せる養親希望者が早い段階で確保できれば助かる命も多いはずだ。

 もう一点、養子縁組を困難にしているのが養子縁組を望まない保護者の意向だ。わが国では伝統的な家制度の影響か、親権に対するこだわりが強い。厚労省調査では養子縁組に同意しない保護者が多く、その分、養子縁組が進まない一因となっている。

 ≪優先されるべきは子供の幸せ≫
 一方で乳児院の子供3千人のうち610人は親の面会が一切なく、親の責任が放棄された状態にある。こうしたケースに関しては親権を制約できるような法的枠組みも必要と考える。何よりも子供の幸せが優先されるべきは言うまでもない。

 仮に施設から里親、さらに特別養子縁組への移行が進み、全国136カ所の乳児院や603カ所の児童養護施設で働く約2万人の職員に余力が出れば、子供の反発や問題行動に悩む里親家庭に対する支援組織や「子育て世代包括支援センター」といった総合的な相談組織の整備も前進しよう。

 日本の家族関係社会支出を国内総生産(GDP)比で見ると、年金など高齢者関連の社会支出が10.4%と経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均7.4%を大きく上回るのに対し、子供関係は1.35%と各国の半分以下となっている。世界のトップを切って高齢化が進む日本の現状を反映しているともいえるが、次世代を担う子供の育成の重要性を考えるとバランスを欠く気もする。

 要する費用は半端ではないが、数字の上では施設より里親委託、養子縁組の方がコストは低い。子供が健全に育てば次の時代を支える宝にもなる。

 必要なのは社会全体の覚悟と決意である。4月4日の養子の日を前に改めて思いを強くする。
(ささかわ ようへい)


【国際開発ジャーナル】海洋国家の気概を示そう [2017年03月06日(Mon)]
海洋国家の気概を示そう


国際開発ジャーナル
2017年1月号


静かに迫る危機
――日本財団は「海洋」を事業の柱の一つに掲げ、海洋研究や海洋専門家などの人材育成に取り組んでいます。また、(公財)笹川平和財団も昨年、(一財)海洋政策研究財団と合併し、組織内に世界一の海洋シンクタンクが誕生しました。笹川会長が海洋に力を入れている理由は。
【笹川】海には今、静かな危機が迫っている。例えば、昨年11月にモロッコで開催された国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)では温暖化による海の酸性化が議論されたが、日本財団はその2年前から、「酸性化によって日本近海の甲殻類は死滅し、30年後には寿司ネタが食べられなくなる」と訴えてきた。
こうした海洋の危機は、すでに人類の生存を脅かす段階にまできているが、人々の危機感は希薄で、いまだに海洋を統一的に扱う国際組織すらつくられていない。だからこそ日本財団が率先して取り組んでいる。11年からは、世界の大学・研究機関と連携して共同研究や人材育成を行う「ネレウスプログラム」を実施している。

多様な課題に対応する基本情報
――それら取り組みの一環として始まった今回の事業ですが、なぜ今、海底に注目するのですか。
【笹川】海は地球表面の7割を占めているが、人類が形状を把握している海底は全体の15%程度にとどまっている。特に、インド洋と大西洋の赤道以南、そして国の管轄権が及ばない公海では船舶の航行も少なく、測量データは極めて少ない。こうした中、現代海洋学の父でもあるモナコの故・アルベールT世大公殿下は20世紀初頭、海底地形図の必要性を提唱した。現在は、国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC-UNESCO)の協力の下、GEBCO指導委員会が公的な海底地図を作成しているが、日本財団も2004年から同委員会と共に海底地形図の専門家の育成に取り組んできた。これまでに33カ国で70人超の人材が育っている。
 新規事業では、こうした既存の専門家に加え、多様な分野の知見や経験を結集させて海底地形図の完成を促進したいと考えている。具体的には、各国政府に未公表データを提供するよう呼び掛けるほか、船舶会社や水産会社に航行海域の深度を観測するよう協力を求める。さらに、世界中の漁船に設置されているソナーから情報を収集・分析する方法も検討中だ。

――海底地形図が完成すると、何が可能になるのでしょうか。例えば、海底を流れる深層海流の動きを明らかにすることもできますか。
【笹川】可能性はある。そうなれば、東日本大震災時に海に流出した大量のゴミが突然消えてしまった謎を解き明かすことができるかもしれない。また、14年に消息を絶ったマレーシア航空370便も、海底地形図があれば容易に捜索することができただろう。
もちろん、これ以外にも、自然災害や気候変動の予測、資源分布の把握、海水温度の上昇により変化する魚介類の生息分布の推測など、活用できる場面は多岐にわたる。つまり海底地形図は、われわれが海洋の危機的状況に対応する際の基本情報となるのだ。

国益にも貢献
――海底地形図は、インド洋を中東・アフリカへの戦略的なシーレーンとして重視している日本にとっても重要な意味を持つと思います。
日本財団は、これまでもマラッカ・シンガポール(以下、マ・シ)海峡の安全確保への支援をはじめ、日本の国益につながる取り組みを実施していますね。
【笹川】日本が輸入する石油の約8割が通過するマ・シ海峡は、日本の生命線だ。日本財団は1969年以降、同海峡の安全確保を訴え、沿岸国のインドネシアやマレーシア、シンガポールに水路測量や海賊対策などの支援を行ってきた。
だが、持続的に管理していくためには、沿岸国による協力メカニズムの構築が必要だった。そこで、われわれは08年に「マ・シ海峡航行援助施設基金」の設置を支援し、同海峡を利用する国・国際機関・企業などが自主的に資金を拠出していく仕組みづくりを先導した。今や、マ・シ海峡の管理は沿岸国だけで行われるようになっている。

――こうした日本財団の功績は、北極海でも見られますね。実際、日本財団は日本政府が15年10月に北極海航路の開発を含めた初の「北極政策」を策定したのに先駆け、北極海航路の可能性に着目していました。
【笹川】私自身、1993年から10年近く、海洋政策研究財団がロシアおよびノルウェーと実施した「国際北極海航路開発計画」の委員長を務めた。99年にはオスロで開かれた国際フォーラムで「北極の通行は可能」とする報告書を発表し、高い評価を得た。北極海航路の開通により影響を受けると思われるスエズ運河の関係者が大勢聴きに来ていたのを覚えている。
温暖化の影響で、北極海の航行が可能になる時代は予想を上回る速さで近付きつつある。こうした中、韓国や中国は前述のわれわれの研究資料を基に調査を進めているが、日本は現時点で北極観測船すら持っていないのが現状だ。

「守られる」から「守る」へ
【笹川】海洋において日本が遅れを取っている例はこれだけではない。太平洋の島嶼国においても、日本の存在感は急速に失われつつある。これらの国々は、日本の排他的経済水域(EEZ)と接しているほか、日本が過去に委任統治していた歴史から親日家が多い。その一方で、温暖化や違法漁船によって、資源の乱獲などの深刻な問題に直面しているため、笹川平和財団は89年、「笹川島嶼国基金」(99年以降は「笹川太平洋島嶼国基金」)を立ち上げ、支援に取り組んできた。さらに、日本政府と島嶼国が97年から開催している太平洋・島サミットの立ち上げにも尽力した。
ところが、最近は中国も同様の島サミットを開催しているほか、大規模な援助を通じて影響力を急拡大させている。このような状況を踏まえ、日本はこれらの国に対して海洋管理に関する協力を強化し、新たな信頼関係の構築に向けて積極的な島嶼国外交を行っていくべきだ。その一環として、日本財団が行っている小型パトロール艇の供与や人材育成など海上保安能力の強化を目指す支援に日本政府の参画を促しているところだ。
日本は2007年に海洋基本法を制定し、海洋国家としての道を歩み始めた。その気概を示すためにも、今こそ「海に守られてきた日本」から「海を守る日本」となり、海洋の健全化に向け主導的役割を果たしていくべきだ。そのためにも、海底地形図の作成をはじめ、われわれが築いてきた知見や人脈を今後、日本の外交に役立てていけるよう整備していきたい。
(聞き手:本誌主幹・荒木 光弥)




産経新聞【正論】遺言で新たな社会貢献の決意を [2017年02月17日(Fri)]
遺言で新たな社会貢献の決意を


産経新聞【正論】
2017年2月9日


 遺言書の作成は遺産相続に伴うトラブルを低減させるだけでなく、人生を見つめ直す格好の機会となる。しかし残念なことに、わが国では寄付と同様、遺言文化も低調である。

 ≪必要性を認める人は60%≫
 一方で人口の4人に1人を65歳以上が占め、さらに少子高齢化が進む現代は、1人でも多くの高齢者の社会参加が、次世代の負担を軽減するためにも欠かせない。

 高齢者の社会参加を促すきっかけとして本年から1月5日を「遺言の日」と決め、広く遺言の普及・拡大を呼び掛けたく考える。

 日本財団が昨年3月、全国の40歳以上の男女約2500人を対象に行った意識調査では、61%が遺言書を残す必要性を認めた。しかし実際に遺言書を作成していた人は3.2%にとどまった。

 「遺言は紳士のたしなみ」の言葉もある英国では、75歳以上人口の80%以上が遺言書を作成し遺言が文化として定着している。だからといって日本に遺言文化の下地がなかったわけではない。奈良時代の養老律令には遺言制度に関する記述があり、中世も庶民の間では遺言相続の慣行があった。しかし江戸時代の家父長的な家制度、さらに長男1人が戸主の地位や全財産を引き継ぐ明治以降の家督相続制度によって、遺言文化は下火になった。

 1947年の民法改正で家督相続は均分相続制度に変わったが、「老いた親の老後の面倒や家を継ぐのは長男」といった形で、今もその影響が残り、遺言文化が普及しない一因となっている。

 とはいえ公証人の助言を得て作成される公正証書遺言でみると2014年は約10万5千件(日本公証人連合会調べ)と10年間で1.5倍に伸びており、遺言に対する関心は徐々に高まりつつある。

 昨年末、実際に遺言書を作成した40歳以上の男女200人に、対象となった資産額を聞いたところ、5千万円超が61人、1千万〜5千万円が64人、1千万円未満が75人。遺言書の作成は金持ちや資産家だけでなく、ごく一般の家庭にも広がりつつある。

 ≪単なる財産分配ではない≫
 7割以上は遺言書の存在を家族に知らせ、「今後の生活や家族・親族間に相続争いが発生する不安が減った」と答え、希薄となった親子関係を再確認し、遺産相続をめぐる不要なトラブルを減らす効果も出ている。少子化の進行で法定相続人がいない人や遺産を公益性の高い団体などに譲渡し社会課題の解決に役立てる遺贈寄付も増え、受け皿となる組織も整備されつつある。われわれが昨春、開設した遺贈寄付サポートセンターにも69歳で亡くなられた女性から、「世界の恵まれない子どものために」と1億5千万円の遺贈寄付があり、全額、ミャンマーでの障害児支援施設の建設に活用された。

 以上が、わが国における遺言の現状であり、全体に望ましい方向に向かっていると思う。

 しかし本稿では、遺言書の作成に、単なる財産の分配ではなく、新たな社会貢献の決意という、より大きな役割を期待したい。死後に遺(のこ)す本人の思い(遺言)を書面にまとめる厳粛な作業を通じて過去を振り返り、残る時間を有意義に過ごす覚悟を固めれば、実りある終活にもつながる。

 わが国は20年後、3人に1人が65歳以上の超高齢化社会を迎える。大半が70歳前に現役を引退する現在の形で、次世代が高い社会負担に耐えられるとはとても思えない。高齢世代が戦後の日本の繁栄を担ったのは間違いないが、その一方で国債や借入金など「国の借金」も国内総生産(GDP)の2倍近い1050兆円に膨らんでいる。放置すれば次世代の負担はさらに膨張し世代間の対立も深まる。これを乗り切るには、高齢者が可能な限り社会活動に参加し、その一端を担うしかない。

 ≪次世代の負担を軽くする≫
 もちろん受け皿となる制度や仕組みの整備は欠かせない。しかし何よりも必要なのは、高齢者一人一人の自覚と覚悟である。高齢者による高齢者の介護や子供の貧困支援など社会貢献の場はいくらでもあり、そうした努力が次世代の負担を軽くする。

 本稿では遺言を題材に超高齢化社会における高齢者の生き方を論じている。違和感を覚える向きがあるかもしれないが、超高齢化社会に対する不安はそれほど深刻であり、よほどの決意がない限り乗り切れない。人類にとって未知の体験であり、それ故に国際社会も高齢化の最先端を走る日本が今後どういう社会を作るか、注目している。

 日本老年学会は先に「高齢者は体力、知的能力だけでなく身体能力も10年以上、若返った」として、現在65歳以上の高齢者の定義を75歳以上に見直すよう提言している。高齢者に対する社会参加の呼び掛けに他ならない。ひとりでも多くが、そうした決意を固める場として遺言書の作成に臨まれるよう、あらためて呼び掛ける。
(ささかわ ようへい)


産経新聞【正論】年頭にあたり 大いなる楽観が国の将来を開く [2017年01月11日(Wed)]
年頭にあたり 大いなる楽観が国の将来を開く


産経新聞【正論】
2017年1月6日


 ≪確実に増える未来志向の若者≫
 私はかねて、日本の現状や将来を悲観的に見る知識人の考えに疑問を持ってきた。多くの課題を抱えているとはいえ、日本は世界で最も豊かで安定した国であり、何よりも素晴らしい未来志向を持った若者が確実に増えてきているからだ。

 確かに現状では、将来を悲観的に見る若者の方が圧倒的に多い。内閣府が2013年、日本を含めた7カ国の13〜29歳の男女を対象に行った意識調査でも、自分の将来に「希望がある」と答えた日本の若者はわずかに12.2%。2番目に低かったフランスの半分、最も高かった米国の4分の1以下で、「どちらかといえば希望がある」を加えた数字も各国と20〜30ポイントの開きがあった。

 背景には少子高齢化や地方の過疎化、国債や借入金など国内総生産(GDP)の約2倍、1050兆円にも上る国の借金など不安要因の増加がある。毎年1兆円近い社会保障費の膨張が年金や医療制度の将来に不安を投げ掛けている点も見逃せない。

 世界の富の半分をわずか1%の富裕層が独占するとされる中、「平等社会」といわれた日本でも格差は拡大傾向にあり、われわれが行った調査では子供の6人に1人が貧困状態にあり、このまま放置した場合、生涯の社会的損失は42兆円に上ると推計されている。

 しかし事態は、先の見えない混乱が続く中東は別にしても、移民問題などで「極右」勢力が台頭する欧州連合(EU)や大統領選で世論が大きく割れた米国などの方がはるかに深刻である。

 ≪内向きと決めつけるのは早い≫
 だから日本の未来の方が明るいと言うのではない。私が、わが国の未来に希望を持つのは、近年の若者世代の新たな変化に期待してのことだ。厚生労働省の調査によると、大卒者の就労3年以内の離職率は3割にも上っている。

 仕事で全国各地を回り、ボランティア活動などに取り組む若者と話すと「普通に生活できるのであれば、社会に役立っていると実感できる仕事にかわりたい」と語る若者が驚くほど増えているのを実感する。「一流大学を出て一流会社に就職する」といった若者の価値観は確実に変化し始めている。

 昨年9月に都内で開催した「ソーシャルイノベーションフォーラム」にも全国から2千人を超す若者が詰め掛け、人口減少など、この国の将来について3日間にわたり熱い議論を行った。

 自民党青年局長を務めた小泉進次郎衆院議員も出席、「悲観的な考えしか持てない人口1億2千万人の国より、将来を楽観し自信に満ちた人口6千万人の国の方が、成功事例を生み出せるのではないか」と語り、会場から拍手が起きた。

 わが国は戦後、一貫して行政主導で発展してきた。しかし社会が複雑多様化する中、国や自治体だけであらゆる課題に対応するのはもはや、不可能。行政の側にも若者を中心とした「民」との協力を模索する動きが強まっている。

 こうした新しい動きが若者の社会参加を促し、社会づくりに向けた若者の意欲・責任感も一層高まる。国の将来にとってこれに勝る力はない。海外への留学生の減少といった一事で「若者は内向き」と決め付けるのは早計である。

 ≪日本が変わる好機ととらえよ≫
 わが国には総額340兆円、連続25年間、世界一を記録する対外純資産もあり、国債残高もギリシャなどと違い90%以上を国内の投資家が保有する。失業率も3%台と各国に比べて低く、豊かな自然、治安の良さ、先端的な省エネ技術など新しい時代を切り開く知恵も豊富にある。

 加えて世界有数の災害多発国として育まれた安全意識や思いやり、協調性、親切心といった世界でも稀(まれ)な特性がある。地震や台風など大災害で助け合い、協力して復興を目指す日本人の姿こそ社会づくりの基本となる。

 近年、CSR(企業の社会的責任)に代わる企業の社会貢献策として注目されるCSV(共通価値の創造)も、江戸時代に近江商人が確立した経営哲学「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)が、その精神を先取りしている。株主の利益を第一とする外国企業と違い、日本企業の多くは300年を経た現在も定款で「社会貢献」をうたっており、CSVの受け皿は十分、整っている。

 「悲観論者はあらゆる好機の中に困難を見つけ、楽観論者はあらゆる困難の中に好機を見つける」(ウィンストン・チャーチル英元首相)という。新たな秩序確立に向け国際社会が激動する中、日本が大きく変わる好機である。

 恵まれたこの国の特性や、次代を担う若者の意識の高まりを前にすれば、日本の将来を悲観する必要は全くない。

 大いなる楽観こそ、この国の将来を切り開く、と確信する。高齢者も含め、皆が明るい希望を持って努力すべきときである。

(ささかわ ようへい)


産経新聞【正論】日本流国際支援に誇りと自信を [2016年12月19日(Mon)]
日本流国際支援に誇りと自信を


産経新聞【正論】
2016年12月2日


 国際社会が大きく揺れ、日本外交も難しい局面を迎えている。その中で1991年から10年間、世界1位の座にあった日本の政府開発援助(ODA)は現在、世界5位に後退している。

 しかし、覇権や反対給付を求めず相手国の目線に立って支援する日本の国際貢献に、途上国の評価、期待は逆に高まっている。

 1千兆円を超す借金を抱え、少子高齢化の進行で経済が停滞する中で、日本が国際社会で安定した地位を確保していくためにも、引き続き質の高い支援を継続・発展させる必要がある。

 ≪高いアフリカ諸国の期待感≫
 政府主催の第6回アフリカ開発会議(TICAD)が8月、ケニアの首都ナイロビで開催され、日本は民間投資も含め総額300億ドルの援助を打ち出した。

 中国が昨年の第6回中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)で打ち出した支援額の半分にとどまるが、産業や経済、公衆衛生分野などの人材育成を中心に「1千万人の人づくり」を柱に据え、インフラ重視の中国ODAとの差別化を図っている。

 会議には70社に上る日本企業の経営幹部も参加、国際協力機構(JICA)や各企業の出展ブースも用意され、2日間で1万人を超す人が会場を訪れた。

 TICADは93年以来、5年ごとに日本で開催されてきたが、アフリカ連合(AU、54カ国・地域)の強い要請で6回目の今回からアフリカと日本で3年ごとに開催することになった。大統領13人を含む各国の首脳も多数参加し、アフリカ諸国の対日期待感の高さをうかがわせた。

 今年は、笹川アフリカ協会(SAA)の設立30周年にも当たり、期間中、同じ会場で記念シンポジウムを開催した。SAAは84年、エチオピアを中心にアフリカを襲った大飢饉(ききん)に対する食料援助をきっかけに、ジミー・カーター米元大統領や緑の革命でノーベル平和賞を受賞した故ノーマン・ボーローグ博士の協力を得て発足した。

 食料支援は一時的に空腹を満たすことができるが、食料問題を解決するには農業増産こそ欠かせない。SAAでは「魚を与えるより釣り方を教えよ」の考えの下、計14カ国で約6千人の農業普及員を育成し、農業の普及に向け文字通り第一線で活躍している。

 ≪「最も信頼できる国」のトップ≫
 国の発展には道路や港湾などインフラの整備はもちろん欠かせない。しかし国の将来を切り開いていくのはやはり人である。われわれの取り組みに限らず、JICAの専門家研修や文部科学省の官費留学、青年海外協力隊など、日本が取り組む人材育成支援はアフリカでも高い評価を得ている。

 仕事で世界各国を回るうち、日本の人材育成制度で学んだ経験を持つ大臣や高級官僚に出会う機会が増えた。日本での研修に誇りを持つ彼らの姿を見るにつけ、こうした人材ネットワークが日本外交の大きな力になると実感する。

 成長著しい東南アジア諸国連合(ASEAN)各国のうち7カ国を対象に日本政府が2年前に行った世論調査では、90%の人が「日本政府の経済・技術協力が自国の発展に役立っている」と答え、これらの国に支援実績を持つ11カ国に対する評価でも、日本は「最も信頼できる国」のトップに挙げられている。

 BBCが2005年から行っている「世界の貢献度調査」でも日本は計3回、肯定的な評価を受ける国のトップに選ばれており、今年9月には青年海外協力隊がアジアのノーベル賞といわれるラモン・マグサイサイ賞をフィリピンの財団から授与された。

 ≪国民の強い支持が不可欠だ≫
 少数民族の和解に向け、筆者が日本政府代表を務めるミャンマーでも経済や教育、医療、農業などあらゆる分野の人材育成、技術供与に協力する日本への期待は極めて大きい。

 日本は貿易依存国であり、海外から資源や食料を安定的に確保するためにも、途上国との信頼関係は欠かせない。欧米先進国と違い、歴史的にも宗教的にも多くの途上国と中立の立場で付き合える強みもある。

 問題はそうした国際貢献を国民がどこまで支えるかにかかる。各種調査によると、肯定的に評価する声は30〜40%台にとどまり、あまりの数字の低さに戸惑いさえ覚える。

 かつて知日家の英国人陶芸家バーナード・リーチは「日本にはあらゆるものがあるが、日本がない。今、世界でもっとも反日なのは日本人だ」との言葉を残したと聞く。リーチの死後、30年以上たった現在も、この国は自己否定、自虐思想から抜け出せずにいることになる。国民の支持なしに外交は成り立たない。日本が引き続き国際社会に貢献していくためには国民の強い支持が不可欠だ。

 世界はドナルド・トランプ米次期大統領の登場で間違いなく流動性を増す。国民の誇りと自信を背景に日本流の支援を強化・発展させることが、国際社会での日本のプレゼンスを確立する。

(ささかわ ようへい)



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