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笹川陽平ブログ(日本財団会長)

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「社会貢献支援財団表彰式」 ―挨拶― [2018年08月15日(Wed)]
「社会貢献支援財団表彰式」


社会貢献支援財団は1971年に設立された団体で、47年間、日本の各地で長年にわたり「地の塩」として困難な生活者への支援や、自らを省みず人命救助をされた方々を表彰する団体で、安倍昭恵会長を中心に精力的に活動しています。
―挨拶―

2018年7月6日
於:帝国ホテル

ご紹介賜りました日本財団の笹川でございます。
まずは長年のご労苦が認められて表彰されました皆様方に、心からのお喜びと尊敬の気持ちをお伝えしたいと思います。

18.07.06 社会貢献支援財団表彰式.jpeg
祝賀会で挨拶


私自身、日本にいる限りこの会には毎回出席させて頂いておりますが、若い時から少々涙腺が緩い方でございまして、お一人おひとりの紹介を受けるたびにどうやって涙をこらえるかというのが私の修養になっております。そして、年に2度になりました社会貢献支援財団の表彰式典で皆様方のご活動を見るたびに、私自身も啓蒙を受け、まだまだ頑張らないといけないという気持ちでいっぱいでございます。

もうすぐ80歳になりますが、年に5か月は世界中の僻地を回って活動させて頂いております。とくにハンセン病の制圧、そして差別の撤廃のために活動していますが、これも今日表彰された方々のご努力が私自身の活動の精神的な糧になっているわけで、改めて感謝を申し上げたいと思います。

日本は今、安倍総理大臣の下で一億総活躍社会の高い理想を掲げて実現を目指して活動していますが、国だけで達成出来るわけではございません。むしろ国よりも今日表彰されたような皆様方が日本の社会の隅々を見渡し、どこに社会課題があるのかということに気づかれて活動して頂く過程の中で、一億総活躍時代にしなければいけないという高邁な政策が出てきたものだと思っています。

日本の報道では、悪いニュースが良いニュースですので、先ほど盲導犬を拝見しましたけれども、犬が人間を噛んでもニュースになりませんが、人間が犬を噛めば必ずニュースになるんです。そのように現在の報道では悪いニュースこそ良いニュース、良いニュースほど悪いニュースということで、なかなか良いニュースは報道されません。こんなことを言うと、私がバッジをつけていれば翌日には国会でいじめられるのですが、有難いことに民間人ですから無視され、批判を受ける立場でないのは大変ありがたいことす。

報道はされなくても、日本社会の長年にわたる伝統と申しますか、人を助ける、或いは困っている人がいたら手を差し伸べるという自然な無私の行為というものが、今日の健全な日本社会を作ってきたのではないかと思います。今日表彰された皆様のような方々のご活躍によって社会の基礎の部分が支えられているわけで、皆様方の活動と同時に、一人でも多くの方々にこういう活動に参加することが日本人としてごく当たり前になるように活動の輪を更に広げるようなお力添えを頂ければ、さらに素晴らしい日本になるのではないかと思います。

たびたび報道の話をしますが、新聞その他メディアは悲観的なことばかりを報道しますが、そうではありません。日本は歴史的に災害大国でございますが、災害のたびに復興して更に強い強靭な国になってきました。皆様方の活躍は未来を明るくするために、そしてこれからの日本の社会を背負う若い人たちのモデルになっているのです。若い人たちはちゃんと見ていますので、必ず皆様方の跡を継いでやってくださるものだと私は未来を信じていますし、これからの若い人たちに大きな期待を持っております。

少子高齢化で様々な問題がありますが、これまで困難を乗り越えてきた日本国ですから、皆様方こそがこれからの明るい希望に満ちた日本をつくる重要なお役目をしていらっしゃるわけです。これに続く若者たちもたくさん出てきています。私が務めている日本財団でもそういう若者たちを勇気づけて、彼らに明るい未来の日本をつくるために、そして世界のために貢献する若者をつくろうと努力をしているところです。

今回、社会貢献支援財団は50回ということで、特に海外10か国から表彰をされた方々が来日してくださいました。安倍昭恵会長ともお話したのですが、アジアの中で、グラスルーツで社会の底辺の人を支え、勇気づけ、彼らに夢と希望を持たせるために活動している人たちをアジアの中からも選んで表彰する制度をさらに拡大したらどうでしょうかと申し上げていたところですが、グローバリゼーションの時代ですから、日本だけではなく、アジアの皆様方と連帯して頂いて、持っているノウハウ、長年のご苦労、専門的知見というものをアジアの方々にも共有していくということで、更に社会貢献支援財団が発展していただきたいと思っております。

安倍会長は単に名前だけの会長ではありません。先ほどご紹介がありましたように、先頭を切って表彰された方々のところにお邪魔し、どのような活動をされているかをつぶさにご覧になり、それを更に財団の活動の中に活かしていきたいとご活躍くださっています。また、選考委員そして理事の皆様方も、心を込めて日本の社会を良くする、アジアを良くする、世界を良くするということにお力をいただいております。これは政治だけで出来るものではありません。私たちは権利の主張も大事ですが、人間として権利の裏には義務がある。もう少し深く突っ込めば、一人ひとりの人生をいかに心豊かに過ごしていくかということを考えれば、皆様のような活動をすることが心豊かな恵まれた人生を歩む最大の方法ではないかと思います。皆様方の活動が特別なものではなく、ごく当たり前の、日本人としてやらなければいけない、そういう義務もあるのだというような社会になるようにお力添えを頂いて、明るい未来の、社会全ての人が幸せに生活できる日本国にしなけれませんし、そのモデルをアジアに、そして世界に広めて頂き、日本人の誇りを、皆様方を中心にして更に広めていければいいと思っております。

どうぞこれからも力強いご活躍をお願い申し上げ、涙があふれるばかりの皆様方のご活動を思いますと、心から感謝を申し上げたいと思います。皆様の活動が社会にどれほど大きな影響と勇気を与えているかということについては心の中で誇りをもっていただき、今後ますます活動を活発にされることをお願い申し上げます。長い間、本当にご苦労様でございました。そして、今日を機会に、新たな一歩としてさらなるご活躍を祈念申し上げます。

「平成30年7月豪雨」―記者会見― [2018年07月17日(Tue)]
「平成30年7月豪雨」
―記者会見―

西日本の豪雨災害について、7月9日に日本財団の緊急支援を記者発表しました。残念ながら、10日付の各紙及びテレビは、被害状況の記事満載で、財団の報道が限られたのは残念でした。

ここに記者会見の内容をアップします。特に支援金と義援金の違いについて、読者の皆様にSNSで広く発信のご協力をお願いします。

以下、記者会見での発言です。

**************

「平成30年7月豪雨」という正式名称が気象庁から発表されました。日本財団では1995年阪神淡路大震災以降、全国各地で発生した災害に対し合計58回にわたる支援活動を行ってまいりました。災害対応における日本財団の基本方針は、災害が発生したら一刻も早く、そして的確に行動することを信条としております。

今回の災害につきましてもいち早く先遣隊を派遣し、災害現地での情報収集や調査、自治体やNPOとの連携体制の構築を既に始めております。その結果を踏まえて第一弾の支援を決定し、実行することを発表します。

毎年各地で水害が発生する我が国でも、これだけの広域で同時多発的に発生するのは非常事態です。本災害に対応するには、政府、自治体による公的な取り組みは当然としても、このような広域災害時こそ民の力が必要不可欠です。日本財団は過去の災害復興支援のノウハウをいかした支援活動を展開してまいります。

ことに我々の過去の経験上の推定から、最低でも延べ50万人のボランティアを出動させないと対応ができないと思われます。これは国民レベルでの支援活動を必要としています。

東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨など、これまでの大規模災害を経験したた自治体は多くの専門的な知見や経験をもっており、今回被災した自治体は経験が乏しいため、政府による積極的な調整のもと、被災を経験した、特に東日本大震災を経験した自治体からの人員の派遣・ご指導を賜ることで即時対応が可能になります。ですから、経験されて専門的知見を持った方の派遣をお願いすることが、行政が即刻に対応するために必要不可欠です。

続きまして私どもの支援策ですが、避難所、在宅被災者への支援として、特に東日本でもそうでしたが、避難所支援、食糧支援その他はもう各企業や団体が経験済みで、この点についてはあまり心配しておりません。しかし、避難所における災害関連死が多く発生します。最大の問題は何かと申すと、これは東日本でも熊本でもそうでしたが、限られた環境下でのトイレの問題です。緊急に配備されたトイレは建設用のもので、私も経験しましたが、三段の階段を上るのに手すりがない、中に入っても持つ場所がない。これでは不安定なご老人達はほとんど利用でませんので、どうしても我慢してしまうというケースが多々生じます。そうすると運動不足でもあり足に血栓が出来ますので、健康管理上、非常に深刻な場合も起こります。そのため我々としては簡易トイレを配備したます。

(トイレを見せながら)
このように階段がなくて座れるトイレが絶対必要です。しかもこれは瞬時に殺菌をして1人ずつ終わったら封ができるようになっている最新のものです。熊本の経験から、これが必要だということを私達は考えております。

このトイレを1台30万円ですが、1,000台を各地域に1時間でも早く現場に到着させたいと、既に発送してます。「簡易トイレ」という名前ですが、衛生的にも非常に精密なトイレです。

医療・福祉関係のボランティアも緊急に必要です。また、関連死のなかには、体育館は床が硬いため、各行政が既に持っている段ボールベッドと言うものを集中的に避難所に緊急輸送させることで、ご老人が十二分に安心して睡眠を取れるようにします。

なお、先ほど申しましたように、避難所での運動不足の上にトイレも我慢しますと足に血栓が出てきます。血栓防止のタイツや靴下のようなものも必要です。我々が熊本で経験してこれが必要だということで、血栓防止のソックスも配布します。

一番大事なのは、災害が起こってから時間の経過とともに、被災者のニーズや要望がどんどん変わってきます。東日本では2ヶ月たってもまだ即席ラーメンが大量に届き、とても全て食べられませんでした。私たちは、東日本で余ったものを和歌山豪雨の時に運んだということもありました。そのように、日々変わる状況を調べるために私たちは「震災が繋ぐ全国ネットワーク」という20の専門的な組織と共に活動しています。彼らと一緒に避難所における状況調査とともにそれに適応した対応をとるべく、既に動き出しています。

例えば東日本の時には、推定して人口から割り出してどのくらいの妊婦が存在するのかということを推定すると、現地で出産できる施設の数が不足していましたので、東京まで運んで東京助産婦会の協力で無事出産させたさせたという例もあります。そういう専門家を派遣させて、ニーズ調査を徹底的にやります。

毎度のことで悲しいことですけれども、亡くなられた方には即刻100,000円の弔意金を支給させていただきます。

先ほど申し上げました推定延べ50万人必要とされるボランティアにつきましては、NPOボランティア団体への支援を今まで通り500,000円から3,000,000円提供しますが、今回は大変広域ですし、ボランティアの受け入れ運営は、各地にある社会福祉協議会が行うことになっています。しかし経験のない社会福祉協議会が多々ありますので、この点について、我々が持つ専門的な知見で指導・協力する活動も開始しています。

今回の水害では、これから暑くなって参りますので、水が引けた後、汚水その他が混じった土の処理に一般ボランティアの活動が大変重要になり、特に専門的な知見のあるボランティアが必要です。

過去の例では、医療福祉系や一部損壊した家屋を直すために重機を使えるボランティアが必要で、重機の免許は4日でとれますので、ぜひとも重機をボランティアの必要性を報道して下さい。

日本財団は、重機メーカーと連携がとれていますので即対応できます。また、重機とまでいかないまでもチェーンソーなどが使える人たちもいないと家屋の整理ができませんので、そういった方々の参加についても皆様方のご協力をいただきたい。

また、我々民間団体として、下記二点を政府に要望します。

被災経験のない自治体においては、東日本大震災、大規模災害の経験を有する自治体から職員の派遣が出来るように政府としてご助力いただきたい。
ボランティア活動される方々には高速道路の通行料を無料にしていただきたい。

今回のこの広域災害をどう見るかですが、既に皆様方が度々報道されている通り、南海トラフの災害が予測されている中で、今回は地震津波は入っていませんが、今回の広域災害をきちっと政府、行政、民間で協力して50万人を動員し、秩序正しく早急に処理ができるというノウハウを今回身につけておきませんと、その何倍何十倍となる南海トラフが発生しますと、全く対応ができないという事態も十分に考えられますので、今回のこの広域の災害を日本財団としては大変重く捉えております。

度々申し上げますが政府、行政、民、三者揃って早急に対応していくということが肝心ではないかと思っております。

日本財団としては、今回の災害支援には100億円程度必要と考えており、多くの浄財が必要です。義援金や救援金と支援金の違いは、東日本大震災の時にからずっと申し上げております。義援金や救援金は6ヶ月、10ヶ月、場合によっては1年経ってから被災者に配られるものですが、日本財団の支援金は即対応するために必要なお金で、広く国民からの浄財の寄付を日本財団にいただけるようご協力いただきたいと思います。

※支援金窓口
電話:0120-533-236
メールアドレス:kifu@ps.nippon-foundation.or.jp
「日本財団在宅看護センター」―自宅での看取り、看護師の力こそ― [2018年07月06日(Fri)]
「日本財団在宅看護センター」
―自宅での看取り、看護師の力こそ―


日本財団では地域に根差した医療・看護を目指し、その拠点となる在宅看護センターの起業家育成事業に取り組んでいる。笹川記念保健協力財団(喜多悦子会長)と共に取り組むこの事業は、2014年のスタート以来4年間に計50人が受講し、うち39人が既に北海道から九州まで45カ所に訪問看護ステーションや「看多機」と通称される看護小規模多機能型居宅介護事業所を立ち上げている。

事業では、地域医療強化の志を持つ看護師が8カ月間にわたり、保健専門職として地域社会における将来の看護の在り方から事業所運営に欠かせない財務・税務・労務まで幅広く学び、在宅看護センターの起業を目指す。

多くが病院で最期を迎える中、高齢者の90%が自宅での人生の締めくくりを望んでおり、終末医療を充実させるためにもCURE(病意を治す)とCARE(気にかける)双方に気配りできる看護師さんの力が今後、一層、必要となる。

6月1日、第5期生の開講式が日本財団ビルで行われ、17人に参加いただいた。大学病院や訪問看護ステーションで看護師長や所長を務めた人も含め経験豊かな受講者が多く、受講式の挨拶で崇高な志に感謝し、日本財団として可能な限りの支援をさせていただくことを約束した。

以下は当日の挨拶要旨です。

***************

日本財団は、障害者や子どもの貧困問題、望まない妊娠で生まれた子どもたちの養育問題など、幅広い社会課題に取り組んでいます。児童福祉法も30数年ぶりに改正され、子どもの養護は施設から家庭中心に舵が切られ、特別養子縁組に関しても理解が広がっています。

犯罪被害者対策、刑期が満了した犯罪者の社会での居場所づくり、あるいは貧困家庭の子どもたちの居場所確保も積極的に進めています。成熟した社会には様々な社会課題が存在し、見えにくい部分もたくさんあります。これを一つひとつきちっと是正していくことが、これからの社会に望まれることと考えています。

特に高齢者問題は、在宅ケアを人生の終わりとし、「終わり良ければすべて良し」でありまして、大部分の方々が自宅で人生を締めくくりたいと望んでいるのはご承知の通りです。ですから、どうサポートしていくかが大変重要なテーマなのです。

もう40年も前になりますが、日野原重明先生と共にこれからは予防的・教育的医療をやらないといけない。病気になってから病院に来たのでは遅いということで、戦略的な取り組みを始めました。当時は予防医学という言葉もなく、血圧を測るのも聴診器を使うのも医者以外は禁止でした。

そういう時代に、予防医学に必要な健康管理はどうあるべきかという予防医学の重要性を訴える傍ら、人生の締めくくりに当たる終末医療、特にガンに関してはまだ日本にペインクリニックの考え方すらなかった時期ですから、ピースハウスという末期がん患者の施設を作り、これを一つのモデルケースとして全国に広げていこうということで日本看護師協会にもご努力、ご協力をいただき、ホスピスナースの養成に取り組みました。

最初の16人は、1人を除き全員、病院を退職して参加されました。そんなものを勉強して何になる。この忙しい中、東京まで行って6カ月間勉強するというのなら我が病院には必要ないという時代でした。以来、看護師さんより医師の方が時代遅れだということを痛切に感じています。

医療が専門化、細分化され、胃のことは分かるけども肝臓は分からない。終末医療についてはほとんど関心がないといった風潮の中で、その人の家庭環境や生活を理解しながらトータルに健康管理することが不可欠になっています。養成した4,000人のホスピスナースの人たちは、本当によく頑張ってくださいました。

意欲のある看護師さんが、日野原先生が実践されたチーム医療の中心的な役割を果たし、民家というか、自宅を終末医療の場所に提供してくださる方々もたくさん出てまいりました。そこを日本財団が改装その他の支援をし、簡易ケアハウスというものも全国展開してきました。

さらに喜多悦子先生から、究極の在り方として、在宅看護という大きな仕事をやりたいと口説かれ、私もこれが人生の最後を締めくくる究極の医療の在り方だと理解し進んできたわけで、今後も全国に在宅看護センターの起業家を育てていきたいと思います。

皆さんはこれから企業経営者になるわけです。人を使っていかなくちゃいけない。使われる立場と使う立場は全く違います。人を使う上では様々な難問にぶつかると思います。必要なのは目配り、気配り、心配りです。この3つを常に意識しながら対処することが人間的な信頼関係を作る基本です。働いていただいているという感謝の気持ちを持って起業することが大変重要です。社員10万人の企業だろうが、5人、10人でやっている企業であろうが、原則は一緒です。

今年も心ある方が17人も集まってくださり、研修を受け事業を起こしていただき、そして多くの皆さんの看取りをやっていただくという大変崇高な仕事をやっていただくわけで、日本財団としても皆さんを全面的に支援していきます。

私どもは海外からの留学生その他2万人以上の修士・博士課程の人の奨学金制度を進めてきました。普通は奨学金が終わるとお仕舞いです。日本財団は奨学金が終わってからの付き合い、そういう人たちとのネットワークを構築してそれぞれの分野の人たちと連携し、さらに新たな社会課題に挑戦していく仕組みつくり、仕事をさせていただいています。

これはむしろ卒業式に言う話ですが、終わった後の日本財団との連携が大変重要です。日本財団は皆さんと生涯お付き合いをさせていただき、社会を隅々から変えていきます。物事は中央から政策を出して解決していくやり方と、日本財団のように末端の草の根から問題提起して解決し、これを社会課題の解決策として中央政府に持っていく手法があります。

在宅看護の起業家としての皆さんの志を心から尊敬しています。皆さんは人類愛に基づく崇高な精神をお持ちになっているわけで、日本財団は皆さんの相談相手になります。お金も知恵も出します。

皆さんの先輩は既にあちこちで起業されており、私もいくつか見せてもらいました。国ではできないようなことを、目を輝かせ、志高くやっていただいている姿を見て感動しております。皆さんのこれからの活躍を心から期待しています。

第5期生のみなさんとの集合写真.JPG
第5期生のみなさんと

「仏マクロン大統領へ遺憾の書簡」―ハンセン病に対する差別発言― [2018年06月29日(Fri)]
「仏マクロン大統領へ遺憾の書簡」
―ハンセン病に対する差別発言―


私は、仏マクロン大統領および伊サルビーニ大臣の発言に対し、世界保健機関(WHO)のハンセン病制圧大使、日本政府ハンセン病人権啓発大使を務める立場上、マクロン大統領によるナショナリズムをハンセン病になぞらえた発言およびサルビーニ大臣のハンセン病比喩表現を用いた反論に遺憾の書簡を送付しました。

報道によると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6月21日、「最も重い表現を使って言わせてもらう。欧州を憎悪する人は大勢いるが、それは今に始まったことではない。われわれは今、彼ら(ナショナリスト)の台頭を目撃している。ハンセン病のように、欧州の至る所で、二度と現れることはないだろうと思っていた国々でもだ」と発言しました。

また、それに対してイタリアのマッテオ・サルビーニ内務大臣は、「われわれはハンセン病のポピュリスト(大衆主義者)かもしれないが」という表現を用いつつ反論しました。

私は、このような表現はハンセン病に対する誤解を助長し、否定的な固定観念を深く根付かせ、ハンセン病の患者、回復者、そしてその家族に対する差別を助長する恐れがあることを指摘しました。

「国を代表するリーダーの言葉は影響力が大きく、言葉の選択には注意を払っていただきたい。」
完治する病であるにもかかわらず、世界の一部の地域では今なお、ハンセン病患者、回復者とその家族がスティグマ(社会的烙印)と差別に苦しんでいます。

患者、回復者の人権を守るため、2010年12月には、国連総会が、ハンセン病患者、回復者とその家族に対する差別撤廃の原則とガイドラインを承認する決議を、フランスおよびイタリアを含めた全会一致で採択しました。

私は、「今回の発言を契機に、マクロン大統領およびサルビーニ内務大臣には、ハンセン病患者、回復者がおかれている状況を理解し、この国連決議の意義を広めるためにご協力を要請したい」と述べました。

以下は、マクロン大統領及びイタリアのサルビーニ内務大臣へ送付した書簡の日本語訳です。

*************


閣下

日本からご挨拶申し上げます。世界保健機関(WHO)のハンセン病制圧大使、日本政府ハンセン病人権啓発大使としてこのお手紙を記しています。

閣下がナショナリズムの台頭をハンセン病と結びつけてお話しされたことを最近の報道で知りました。これは、ハンセン病に対する誤解を助長し、否定的な固定観念を深く根付かせ、ハンセン病の患者、回復者、そしてその家族に対する差別を助長するだけであり、最も嘆かわしい比喩であります。

この病気に対するスティグマを強めたり、ハンセン病回復者に苦痛を与えたりすることが閣下の意図でないことは、疑う余地はありません。しかし、今回の場合、結果的にそうなってしまったと言わざるを得ません。閣下のお言葉は広く多くの方に伝わり、影響力がありますゆえ、言葉の選択において細心の注意を払っていただくよう、強くお願い申し上げます。

完治する病であるにもかかわらず、世界の一部の地域では今なお、ハンセン病患者、回復者とその家族がスティグマ(社会的烙印)と差別に苦しんでいます。患者、回復者の人権を守るため、2010 年 12 月には、国連総会が、ハンセン病患者、回復者とその家族に対する差別撤廃の原則とガイドラインを承認する決議を、フランス(イタリア)を含めた全会一致で採択しました。

今回のことを契機に、閣下には、ハンセン病患者、回復者がおかれている状況をご理解いただき、この国連決議の意義を広めるためにご協力を賜りたく存じます。

敬具

「海洋研究所設立」―スウェーデン・マルメ市― [2018年05月28日(Mon)]
「海洋研究所設立」
―スウェーデン・マルメ市―


デンマーク空港から長い橋を渡って約40分でスウェーデンの港町マルメに到着する。

このマルメ市には、国際海事機関(IMO)が設立した主に途上国の海事関係者を養成する世界海事大学(WMU)が設立されて35年になる。キャンパスはマルメ市の協力で運営されているが、海事大学の主要学科や学生の2割は日本財団の協力で運営されている。

今やグローバリゼーション時代の中、人類生存の鍵を握るのは、人口爆発と急速な産業の近代化によって静かにしかも急速に悪化している海洋環境であり、このまま推移すると、海洋は人類の生活の負荷に何時まで耐えられるのかが心配である。

筆者は海洋環境の良好な保全には千年、1万年単位で対策を必要とする人類共通のテーマと考え、この度、世界海事大学の付属として「笹川海洋研究所」を設立した。

EGlobal Ocean Instituteの建物.JPG
Global Ocean Instituteの建物


以下はその折のスピーチです。

***************

WMU-Sasakawa Global Ocean Institute 開所式典

本日は、大いに期待をされてきたWMU-Sasakawa Global Ocean Instituteの開所式でご挨拶をさせて頂けることを、とてもうれしく思います。本インスティチュートは、これから持続可能な海を次世代に継承できるよう、人類の道標を担っていくわけですが、今後の話をする前に、これまで歩んできた過去の道のりについてまずお話させて下さい。

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式典で挨拶


私たちが海洋分野のプロフェッショナルの育成を開始したのは1980年代ごろです。当時、グロティウスが唱えた「海洋の自由な利用」という考え方は既に終わりを告げ、国際社会は一丸となって、国連海洋法条約(The United Nations Convention on the Law of the Sea:UNCLOS)を採択致しました。

この条約により、各国の管轄権の及ばないエリアに存在する海洋資源の利用と管理については「人類の共同財産」であるという原則が適応され、人類は新たな海洋管理の道を歩みだしたのです。

この新しい海洋管理のレジームを支え、そして次世代の海洋専門家を育成するため、日本財団は数々の専門機関等とパートナーシップを結び、若手プロフェッショナル向けの奨学金事業を開始しました。その記念すべき第1号がWMUとのパートナーシップだったことは、いまでも私達の誇りです。

これまで海洋学、気候変動、そして水産資源管理から海洋ガバナンスの分野にいたるまで、140カ国、1,200名以上の海洋専門家を育成してきました。

世界に目を向けると、この約30年で目まぐるしい変化を遂げました。世界人口は大きく増加し、世界経済も急激に成長しました。しかしながら、それは同時に地球環境、特に海洋環境に、今までにない負担をかけることとなったのです。

信じ難いことですが、この40年間で世界の海洋生物の個体数は50%も減少したと言われています。海洋生物資源の乱獲は、生態系のバランスを崩すだけでなく、沿岸で暮らし、漁で生計を立てている人々の生活を脅かしています。更に自体を悪化させているのは気候変動と地球温暖化です。これらは海の酸性化と海面上昇を引き起こし、それによって海の複雑な生態系は多大なダメージを与えています。

海洋管理の面では、新しく発見された海底資源の開発は、深刻な法的・政策的な問題を投げかけています。海全体の3分の2を占める公海の管理という課題も未だに解決策は見いだせない状態です。各国が権利を主張し合い、利害が衝突するなか、一つの共同財産であったはずの海は分割され、もはや一つではなくなってしまいました。

みなさま、私達が直面する海の課題は日に日に深刻化しています。私たち自身も、未来に引き継ぐべき海の資源を奪うことに無意識に加担していることを自覚しなくてはなりません。このまま有効的な対策をとらなければ、人類は経済活動を維持していくどころか、存在すら危ぶまれるのです。

IMOや海事産業および他の関係者たちは、海洋への悪影響を軽減する様々な努力を試みてきました。しかし、断片的に個々の国々や、枠組みが取り組んでいる今日では、残念ながら持続的な解決策を見出すことはできません。

無論、1982年の国連海洋法条約はグローバルな海洋管理の基盤であり、これを成し遂げたことは人類にとって大きな成果であることは間違いありません。しかしこの条約にもはっきりと、統合的な海洋管理の重要性を指摘しています。残念ながら、この条約の草案者たちは、海洋空間に起因する全ての問題が総合的に扱われるための友好的なメカニズムを導入しませんでした。

専門家が寄稿した報告書、”Ocean Governance: Security, Stability, Safety and Sustainability” でも、現状の断片的なアプローチの限界を指摘しています。当報告書はIMO IMLIのディレクターを勤めるアタード教授が総監修しました。

海洋問題が総合的に取り扱われるためには、新たな海洋管理のレジームを設立する必要があります。そしてそこには、Seventh Generation of Stewardshipの原理がなくてはならないと考えています。これは、かつて北米の先住民たちが生み出した原理であり、コミュニティで発生するあらゆる課題(個人的、政治的、社会的)に対して、7世代先の子孫への影響を考慮し、対処することを定めています。この原理を国際社会が有言実行することができれば、海の未来、そして人類の未来は確実によい方向に向かうでしょう。

この構想を具現化するためには、やはり、海と人類の1000年先のビジョンを描き、そこに辿り着くために達成すべきマイルストーンと、それらをサポートする分野横断的かつ科学的根拠が必要です。本インスティチュートがその役割を果たせると私は信じています。

これまでの人材育成事業の長年のパートナーであり、海事から海洋へと視野を拡大してきたWMUと、本事業を共にできることを私達は幸運に思っています。ともに、この研究所を国際的な産官学をつなぐハブに育て上げ、そして7世代のスチューアドシップの原理にならって、本インスティチュートの先導のもと、人類は持続可能な海を達成することができるでしょう。

この航海の舵取りを担うことになるインスティチュートのディレクター、ローナン・ロング教授には、あなたのリーダーシップの元、インスティチュートのミッションを達成できると大いに期待しています。

我々が力を合わせれば海が沈黙の苦しみから開放されるときは必ず来ると信じています。その実現に向けて、そして愛する海と、次世代のために、私達一人ひとりが役目を果たしていきましょう。

ありがとうございました。
「ちょっといい話」その94―パラオ共和国― [2018年05月11日(Fri)]
「ちょっといい話」その94
―パラオ共和国―


4月12日から、一泊三日でパラオを訪れた。

太平洋の島嶼国の一つであるパラオ共和国は、戦前、日本の南洋庁があった所で親日家が多く、多数の日本語が残っており、氏名に日本名の方も多い。

6代目の大統領は姓がナカムラで、現在の駐日大使はマツタロウが姓となっている。

太平洋戦争の激戦地であるペリリュー島では、先年、天皇・皇后両陛下が慰霊に訪問されたことを記念し、以来、ペリリュー島では4月9日が休日となっている。

パラオと日本財団の交流は、かつて笹川良一に、「本島であるコロール島とペリリュー島との間の運搬船が破損して往来が不可能になって困惑している。支援していただけないか」と当時の大統領より陳上があり、新造した船『日本丸』を支援したが、これも数年前に台風で破損。二代目『日本丸』を支援した。また、海域の不法操業や犯罪防止のための巡視船や小型警備艇とその施設も支援した。

パラオと日本財団の長い交流の歴史から、恥ずかしながら、財団を代表して上下両院で同国三人目の名誉国民に推挙された。

以下、その時のスピーチです。

C国会には各大臣らも出席.JPG
国会には各大臣らも出席

***************


パラオの名誉国民というこの上ない誇りある栄誉をいただいたことに加えて、本日ここに歴史かつ由緒あるパラオ国民議会でお話をさせていただく機会を得たことは、私の人生の中でも忘れがたい名誉であります。

ご存知の通り、私たちの海は、本当に危機的な状況に瀕しているにも関わらず、国際社会は今も海洋権益を巡る国家間による争い、そして募る核の脅威などにより、身動きが取れない情況にあります。

そんな中、気候変動に伴う海洋環境の変化、水産資源の枯渇やプラスチックをはじめとする海洋ゴミの問題は、国土の面積よりもはるかに広大な美しい海を抱える島嶼国のみなさんにとっては、本当に切実な問題かと思います。

パラオは、2015年にMarine Sanctuary構想をこの議会で決議し、2020年からの実施に向けて精力的な活動を続けるほか、2020年にはOur Ocean Conferenceの主催についても表明するなど、海洋保全(Ocean Conservation)のための先駆的な取組みをリードしています。

しかし、人類が向かっている軌道を真に変えるためには、さらなる協調と連携が必要です。隣国でもあり、歴史的にも深い関わりを持つ私たち日本とパラオは、世界の海の問題の解決することができる理想的なパートナーシップが築けると信じてきました。

日本財団は、パラオの海、そして私たちの海を守るためにパラオに対する支援や連携を今後もおしみなく継続していきます。そしてこのパートナーシップは、世界の海を守るための国際社会の取組をリードすることができると信じてきました。そして、私達が実施した多様なステークホルダーを巻き込んだイノベーティブな事業は、まさに、各国が協力することによって何が達成できるのかを国際社会に示すことができた、よい事例と言えるでしょう。

この事業では、パラオ、日本、アメリカ、オーストラリアが手を結び、ミクロネシア3国の海上保安能力強化に取り組みました。ミクロネシア3国の中でも供与された小型艇を効果的に活用するなど、プロジェクトに精力的に取組んでいるパラオ政府との間では、2015年にパラオと日本の海洋アライアンス構想に関する覚書を締結しました(21st Century Palau Japan Ocean Alliance)。

これは、日本財団のパラオに対する期待の表れの一部でもありますが、この構想に基づく具体的な支援策の一つでもある、40m型巡視艇「KEDAM」とDMLE (Division of Marine Law Enforcement)の新庁舎の引渡しを先の2月に無事終えることができました。

覚書に基づく支援策は、海上保安能力の強化のみならず、パラオにおけるにエコツーリズムの普及を中心とした、パラオの海を持続可能な形で発展させるための包括的な内容となっています。また、海の問題のみならず、パラオが抱える社会的なその他の課題についても、レメンゲサウ大統領とは個別にお話をさせていただいています。

島嶼国が抱える社会的な課題に対して、日本財団として何ができるのか、また、日本政府と共にできることがないのかなど、今後も引き続き大統領との対話を行っていければと思います。そして更にはパラオ国民の生活や意識の改善につながるような支援をしたいと考えています。

私は、常々、私たちの美しい海を次世代に引継いでいくためには、1000年先を見据えたビジョンや取組みが必要ではないかと訴え続けています。

2017年6月にNYで開催された国連世界海洋会議(UN Ocean Conference)では、国際的な海洋管理を統括する政府間パネルを新たに創設することが必要ではないかとの提案もさせていただきました。いくつかの国からは、この提案に賛同する意見も既にいただいています。

人類がこれからも永遠に海と共に生きていくためには、海に寄り添い、海のことを本当に憂い、想う人々がまずは手を取り合い、つながっていくことがなくてはなりません。我が二カ国の国民たちで実現できると信じています。そして国際社会に対し、手を取り合うことによって生まれる力を示してけるでしょう。

忘れないで下さい。私たち日本とパラオの人々は、共に海の人(Chad ra Daob:アーダラ ダォブ)であることを。
「私は切腹覚悟」―新年度挨拶― [2018年05月02日(Wed)]
「私は切腹覚悟」
―新年度挨拶―

2018年4月2日
2階大会議室

 新年度で優秀な新人の方も入られましたので、総括的に話します。
世界中には多くの財団がありますが、日本財団のような組織は世界に一つしかありません。

 日本財団は、ボートレースを実施している地方自治体よりお金をいただいて運営しています。一時期は売上が8,500億円まで落ち込みましたが、昨年は11%も増え、1兆2,300億円を超えることができました。

 こういったお金が毎年自動的に入ってきており、今年の日本財団の予算は約500億円です。ここに集まっている皆様で500億円を使っていることになり、1人当たり5億円を扱う大変大きな責任を負っている組織です。今は金利が良くても2%くらいですので、500億円を得るのには2兆5,000億円が必要になります。2兆5,000億円の元金がなければ機能しないといった大きな組織が日本財団です。

 30年ほど前、日本財団は様々な財団をつくりました。そのことに対しては世の中から若干の批判もありました。当時はまだ民が社会のために働く組織というものが存在しなかったからです。しかし、存在しないものを待つばかりでは世の中は変化しないため、私たち自ら財団を作りました。

 例えば、30年前は競技スポーツ一点張りでした。しかし人々の健康を考えますと、子どもも大人も、生涯を通じてスポーツを行うことが健康を管理する上で大変重要なことで、それが社会福祉の費用の削減にもつながります。そのために競技スポーツではなく、国民の健康を考えるための生涯スポーツの組織として笹川スポーツ財団を、又、日本ゲートボール連合を設立しました。以前愛媛県で調査を行った結果、ゲートボールをやっている人は福祉の費用が県内で10%少ないというデータも出ています。

 また、当時の日本は県庁所在地に立派な競技場を作るのですが、使用されるのは年に数回で、ほとんど使用されていないというような状況でした。そうではなく、必要なのは財政難の貧しい町や村々に子どもたちが集える施設をつくることだと考えました。ヨーロッパではスポーツは全てクラブ組織で、日本のような学校スポーツ、企業スポーツは存在しません。日本でも町や村にスポーツ施設つくり、コミュニティを活性化していくことが重要だということで、B&G財団の名のもとに全国に600ヶ所近い施設を作りました。現在、それらの施設は単に子どもたちだけではなく、老人の健康管理といった過疎地におけるコミュニティのセンターになっています。当時から知育偏重で、現在は多少の体育がありますが、徳育教育は全くありません。教育というのは知育、体育、徳育の3つが揃って初めて健全な子どもたちが養成されます。B&G財団の施設は、今やそういう総合的な施設になり、特に施設の地域の教育長の皆様が全国のB&G財団のために熱意をもって集まり、未来を背負う子どもたちのために活動してくれております。

 現在、健康年齢と寿命との間に約10年の開きがあります。この10年の間に約4兆円のお金が使われており、この10年の開きを2年縮めるだけでも大変な効果があります。日本の財政赤字は現在約1,100兆円ですから、一人当たり900万ぐらいの借金を背負っていることになるわけです。戦後72年間、国民としての義務は果たさず権利ばかりを主張し、今や約1,100兆円もの借金をつくって次世代の子どもたちに託そうとしているのです。

 少子高齢化と言われていますが、こんな状況を次の世代に任せるなんて残酷極まりない話です。それにも関わらず、老人たちは近所に託児所ができると、時代錯誤的な考えでうるさくてしようがないと文句を言います。どこへ行っても子どもが元気に騒いでいる、泣いているということが健康な社会のあり方であるにも関わらず、逆に老人たちがこのような利己的な考えになっているということを、これから正していかなければいけません。

 日本財団は助成財団といいまして、アメリカのロックフェラー財団やフォード財団が始めたのですが、お金を必要とする人たちに支援金、補助金、助成金ということで資金を提供するのが仕事でした。しかし私は、助成だけで本当にいいのか、もっと世の中には必要なものがあるのではないかと考えました。財団は単に支援要請者に支援するだけでなく、社会課題をみつけて自ら活動することの大切さに気づいたのです。今、世界的にこの方法が大変優れていると言われ始めています。多くの財団が年間、何百何千と支援活動はしているけれども、具体的な成果がなかなか見えない。ましてや、政府まで動かすような活動というのはどこの財団もできておらず、そういう点でも、大変ユニークです。

 評価ということは昔からよく言われておりますが、日本財団では財団の中に監査部を設け、そこにファイアーウォール、障壁を設けて監査部が自分たちの意思によって調査できるようにしています。最近では、自己で勉強し、ある程度の事業の評価までできるようになってきました。どこを調査するかということは、会長も理事長も知りません。監査部独自で行い、やりたいことに対して我々はノーと言ったことはありません。

 世界には何万という財団がありますが、このように多種多様な事業を手がけるユニークな組織というのは、実は世界中に日本財団だけです。そこで私が常に皆さん方にお願いしていることは、日本財団があって皆さん方があるのではありません。一人一人の皆さんの活動の総和が日本財団を作っているのです。日本財団の職員ってすばらしい。よく気がつくし親切に教えてくださると、具体的に皆さんの仕事が評価してもらえるようになってもらいたいのです。一人一人の個性を評価してもらうことで、日本財団はすばらしい組織だと人々に評価される団体になりましょう。

 又、職員には広報活動もして欲しいと思います。色々なところに投稿し、文書を発表している人たちにはちゃんと原稿料を払います。少し柔らかい話では、インスタグラムをやってほしいと皆さんにお願しましたら、今、6割ぐらいの人が参加してくれています。財団職員の皆さんは日本中、世界中、色々なところに行って活動しているしょう。そういうところでの活動の一環をインスタグラムで出していくことが、SNSの時代、皆さん方が思う以上の大きな波及的効果を発揮します。

 かつては日本財団はこんないいことをしていますよ。ぜひ取り上げてくださいと言って雑誌社を回り、新聞社を回ってお願いしても、メディアというのはバッド・ニュース・イズ・グッド・ニュースで、悪いニュースはニュースとして価値があるけれども、良いニュース、良い話というのはニュースにならないんです。ところが今や、我々自身が自ら情報を発信できる時代になったんですから、これを活用しない手はありませんね。コミュニケーション部があるから任せるのではなく、一人一人が小さなことではあるけれども、意識を持ってインスタグラムに投稿をすれば、その総体としてはかり知れない波及的効果が生まれます。日本財団の職員、こんなところに行っているんだということを5年10年と続けていけば、大きな信頼を勝ち得ると同時に、困っていることを日本財団に頼めばやってくれるかもしれないという信頼関係が生まれ、国民との間を結ぶきっかけにもなり得るかもしれません。私が皆さん方にインスタグラムをやれと言うと面倒くさいなと思われる方がいるかも知れませんが、皆さん方には発信に協力して欲しいでのす。

 この1年間に使われる500億円という巨大なお金はほとんどボートレースのお金ですが、寄附も沢山いただいています。最近も遺贈の広告を打ちましたら、沢山の方々から反応がありました。これは私たちが稼いだお金ではなく、お預かりをしているお金です。500億のお金をこれだけの人間で使うということになるとコスト意識に欠けがちですが、一銭たりとも無駄遣いするわけにはいきません。自分のお金はどうぞご自由に無駄遣いしてください。しかし、公に預かっているお金ですから、きちっとコスト意識を持って使っていくということは片時も忘れてはいけない忠実義務であり、一番大事なことだと思います。そういう意味におきまして、今回も新人にはまず総務に配属しました。日本にはNPOが10万、財団法人が10万、合計20万あり、日本財団はその中のトップです。公のお金の管理ということで多少自由度に欠ける点はありますが、そういう仕組みをまず覚えていただいたいと思います。

 皆さん、公のお金のために使い勝手が悪いと思われるかも知れません。しかし、書類、その他も整備しなければいけないというのは日本財団に限った話ではありません。どこの会社に勤めても稟議書というものもありますし、もっと複雑な過程での審議というものもあります。そういう点では、日本財団の今の仕事の決裁への道筋というのは非常に短くなっています。東京都なら最終決裁するためのハンコは確か27個も要ります。ちょっと面倒だと思われるかもしれませんが、ほかに比べれば簡略された組織であることは間違いありません。

 日本財団は、事業部の皆さん方が先端を切って色々な仕事をやっていますが、バックオフィスの総務、経理、そして監査というものがしっかりと機能することは最も大切なことです。大概の財団では、バックオフィスがきちっとしておりません。良い仕事をすればそれでいいだろうということになりますが、これだけ日本財団が注目を浴びてきますと、ちょっとした金銭的な不都合が起これば、バッド・ニュース・イズ・グッド・ニュースですから、世間の話題になる可能性が大きいということを、常に心に留めて行動して下さい。

 日本財団の組織の特徴は、常に皆さん方の仕事がしやすいように変化をしていくことです。今日は昨日の続きではありません。我々の年代になると、どうしても過去の延長線上になってしまいます。未来に向かって変わっていくには、ここにお集まりの若い人たちが未来志向を持ってやっていただかないと、いつも申し上げていますように、強い組織が生き残るわけでも優秀な頭脳を持った人の集団が生き残るわけでもありません。常に変化し、未来志向で変わっていく柔軟な組織が生き残り、発展をしていくんです。これはダーウィンの進化論を読めば分かります。

 オフィスを変える。決められた机も椅子もなくなりました。多少不便かもしれませんがたったこれだけの職員ですから、皆さん方の間でのコミュニケーションをより豊かなものにしていく、相互理解をする、情報交換をする、誰それはどういうことをやっているということをお互いにわかるようにするには垣根をとってしまうということが大事じゃないかということで、オフィスも変えたわけです。組織があって人があるわけではないんです。皆さん方が働きやすい職場にすることが私たちの役目ですから、都合が悪ければまた変えればいい話で、その辺は柔軟に対応したいと思います。

 私は皆さん方に「日本財団という方法」という言葉を常々話してきました。これからの日本財団は、日本が抱えている膨大な財政赤字解消のため、今まで主張し続けてきた権利意識一辺倒を変え、国民としての当然の義務も果たしていただくために、日本が抱えている社会課題の解決に注力を注いでいく必要があります。今や政府や行政だけでは仕事ができません。やはり民の力も借りなければいけないということについて、政府や行政もようやく気がつき、その先鞭をつけてきたのは日本財団です。

 ミャンマーの例をとってみましても、世界的にミャンマーには国際機関、多くの国々の在外公館等が入っているのに、何故日本財団だけがこれだけの活動できるのかと評価を受けています。これは外務省が日本財団の活動を評価して100億円の活用資金を提供してくれたからです。金融庁からも仕事の依頼があり、また、児童福祉法の改正については厚労省からも色々な相談事も受け、法務省とは再犯防止について、国土交通省からは造船事業や海についての啓蒙活動についても相談を受けています。しかし、私たちは私たちのやり方でやるのであって、決して国や行政に魂を売ることはいたしません。

 「日本財団という方法」は、例えば、犯罪者の再犯防止に関しては法務大臣をはじめ法務省の担当官、メディアや専門家企業人にも参加して議論してもらい、ある程度の方向性が出たところで即、日本財団はこれを実行し、モデルケースを実現してNPOや地方自治体の活動の参考にしてもらいます。それが私の言う「日本財団という方法」で、社会課題を解決し、社会的コストを下げていくという非常に大きな存在になっていかなければならず、皆さん方に課せられた仕事は大きいのです。

 最近言われなくなりましたが、かつては陽明学という学問が日本では大変盛んでした。これは、持っている知識と行動が一致することです。難しい言葉で知行合一と言うのですが、今は知識を持った人は単なる口舌の徒、テレビに出て口先で知識を披歴するだけで行動が伴わずでは何にもなりません。知識のある人は行動をとらなければいけません。知識がなければ学べばいい話です。どうぞ皆さん方、日々、何となくこの財団に来るのではなく、常に何が社会課題なのか、何が問題なのかという問題意識を持って財団に来て下さい。私たちは柔軟に、可能な限り、若い人の意見を吸収してやっていきたいと思っています。

 最後に申し上げますが、世界で誰も言ったことのない言葉を皆さんに披露します。
皆さん方の仕事の失敗は全て私が責任をとります。私が責任をとると言っているんだから自信を持って、大胆に上司と相談して実行をしていただきたい。溌剌とした皆さん方の活動が、これからの日本国にとって必要であると同時に、世界にとっても必要な日本財団になるように、皆さん方の活動の責任は全て私が負います。私が腹を切ればそれで終わる話ですから、心配することはありません。

 新年度を迎えて、新たな気持ちで共に協力しましょう。
 ありがとう。
「世界のハンセン病対策」―グロ−バル・アピール宣言― [2018年03月23日(Fri)]
「世界のハンセン病対策」
―グロ−バル・アピール宣言―

毎年、1月の最後の日曜日は「世界ハンセン病の日」である。

私は今も世界各地を回り、ハンセン病の制圧活動に従事している。しかし世界は広く、私の力量のなさを考えて、毎年、世界の指導者や多くの国際的な組織・団体の協力を得て、世界ハンセン病の日に「グローバル・アピール宣言」を発表している。

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約250人が参加


今年は国際組織である障害者インターナショナルの協力を得て開催された。インドのラーム・ナート・コーヴィンド大統領は、世界各国から参加したハンセン病回復者を壮大な官邸にお招きくださり、親しく労わりの言葉を掛けてくださった。

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大統領にグローバルアピール2018宣言文を贈呈


以下は私の挨拶文です。

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「グローバル・アピール2018宣言式典」挨拶

皆さま、第13回目のグローバル・アピール宣言式典にようこそお越しくださいました。2006年にインドで最初の宣言を発信しました。インドでは今回で4回目のグローバル・アピール宣言式典の開催となります。この意義深い機会をご参加の皆さまと世界の皆さまに共有するために、今年、再びこの地で開催できることを嬉しく思います。

私は、ハンセン病に対する社会の意識に変革をもたらすことを目指してグローバル・アピールをはじめました。この12年間、私は世界の法曹界、医療、看護の専門家、経済界など様々な分野のパートナーと共に活動してきました。私たちの目的は、ハンセン病患者、回復者に対するスティグマ(社会的烙印)や差別を撤廃することでした。

本日、障害者インターナショナル(Disabled Peoples’ International:DPI)と共にグローバル・アピールを発信することになりました。私たち、DPIと日本財団は、全ての人の権利が尊重され、社会参画できるインクルーシブな社会を目指すという共通のゴールに向けて一緒に活動することを約束しました。

ハンセン病は長い間、誤解されてきた病気です。社会に根付いた病気への誤解のため、多くのハンセン病患者、回復者、家族の方々は、今なお、差別にさらされています。

今なお、多くのハンセン病患者、回復者が、ハンセン病は業病であると信じ、希望を失いかけています。彼らは差別を受け入れ、差別に耐えながら生きることに慣れてしまっています。中には、誰もが持つ人間としての権利すら知らない人もいます。彼らは人間性も否定されているのです。

ある時、ハンセン病を患ったことで、住んでいた村から追い出され、一人離れて暮らしていた男性と話をしました。彼は孤独を当然のように受け入れていたようでした。私が彼にあなたは村から追い出されている状況を受け入れる理由はないのだということを話しても、彼は私の言っている意味がわからないという様子でした。この出来事はインドのある場所で私が実際に経験したことです。

私がDPIの代表を務めるアビディ氏にこのインドでの経験を話した時、彼は障害者運動の大部分において、ハンセン病に関することが見過ごされていたことに気付いた、と私に語ってくれました。さらに、障害者の権利を議論する際、彼らの懸念することが取り上げられてこなかったことについても認識されたようでした。そして彼は、私たちと共に活動すべきだと提案してくれました。

私は、アビディさんこそが障害者の権利を主唱する世界のリーダーだと思います。私は、よりインクルーシブな社会の実現に向けた彼の献身的な姿勢に感銘を受けています。さらに、彼がハンセン病のスティグマと差別の撤廃を共に目指そうと力強く表明してくれていることに勇気付けられています。

ハンセン病回復者たちも、スティグマの撤廃に向けた闘いにおいて、力強く主唱するようになってきています。本日は、このあとスピーチをするインド・回復者協会のナルサッパさんや世界各地で活動する回復者の方々に集まっていただいています。

冒頭で、私はハンセン病に対する社会の意識に変革をもたらすために、グローバル・アピールを始めたと申し上げました。これを機に、ハンセン病に対するスティグマと差別の撤廃に向けた私たちの責務を再確認しましょう。

最後に、このように双方にとって意義深い活動を共に取り組む機会をくださったDPIの皆さまに感謝を申し上げたいと思います。また、インド政府、世界保健機関、ササカワ・インド・ハンセン病財団、このグローバル・アピールにご協力くださった全ての皆さまに深く御礼申し上げます。
「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」 [2018年02月09日(Fri)]
「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」

一昨年に続き2回目となる「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」を昨年11月17日から3日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した。日本財団が目指す「みんながみんなを支える社会」の実現に向け、市民、企業、政府、国際機関など幅広いセクターに集まってもらい、社会に新たな変化を引き起こすようなアイデアを生み出してもらうのがフォーラムの狙い。今回は3日間で5000人を超す関係者に参加いただき、昨年以上の盛会となった。

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満員の会場


事務局によると、参加者の約57%は10代、20代の若者。少子高齢化の中で、ともすれば若者の内向き志向が指摘される中、これだけの若者の参加は予想外で、うれしい“誤算”でもあった。初日には成熟した国際都市の建設を目指し日本財団と包括連携協定を締結した東京・渋谷区の長谷部健区長、さらに昨年に続き自民党若手実力者の小泉進次郎衆院議員から基調講演をいただき、筆者も主催者として以下のような挨拶をした。

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小泉進次郎議員、長谷部健渋谷区長、筆者との対話


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2017年11月17日
於:東京国際フォーラム

皆さん、ようこそお越しくださいました。今日はたくさんの方々にご参加いただき、ありがとうございます。皆さんにお会いできて嬉しく思います。

今日、参加してくださった皆さんの動機はそれぞれ違うかもしれません。でも、「ここに来れば何かが起こる」「何か新しいことができる」そんな期待を持って、全国から集まってくださったのではないかと思います。

この会場には、いろいろな方々に来ていただいています。たとえば、学生の皆さん、災害支援ボランティア経験者の皆さん、NPOで日々活躍されている皆さん。あるいは企業の中で「本業と、社会課題の解決を両立させよう」と努力されている皆さん。また、行政の皆さんにもお越しいただいています。「何か社会のために関わってみたい」と、一歩を踏み出す思いで来てくださった方もいるでしょう。立場や所属が違っても、関心の分野が違っても、参加者の皆さんは、共通して、これからの日本をどうしたらいいかということを考えていらっしゃるに違いありません。

私たち日本財団は、このソーシャルイノベーションフォーラムで、そんな皆さんが集まり、多くの人と新たに出会い、にっぽんの将来について熱く議論をしてほしい。そんな強い想いをもってこのフォーラムを準備して参りました。

さて、少子化、高齢化、地域の過疎化。これらは、現代の日本社会を表す言葉です。皆さんも毎日のように耳にしていることでしょう。しかし、社会課題はこうした「型にはまった一言」で表せるかというと、もはや、そう単純なものではありません。

たとえば、高齢化がすすむ日本では、介護の問題が表面化しています。家族が介護をする場合、働き世代の子どもが仕事を辞めなきゃいけないとか、年老いた夫婦がどちらかを介護しなくてはならないなど、ひとつの問題はいろいろな問題に連鎖し、それらが絡み合っていきます。このように、問題が複雑になっているのは、皆さんもよくご存知のとおりです。

社会課題の状況は、一言で括ったり、個別に取り出して語ったりできません。また、決められた枠組みの中で、慣例に従って活動していては複雑化している社会課題に対して解決策を見出していくのは難しいと言えます。さらに、変化のスピードに対応して、既存の自分たちの組織の枠組みを変えていくのは、なかなか言うは易しでしょう。

今の状態を放置していては、にっぽんの将来がどのようになってしまうのか。私はずっと懸念していました。この状況を打開したい。組織や、年齢などの垣根をとっぱらったオープンな議論の場が必要だと考えました。分野は違っても、にっぽんの将来のために活動している方々が、全国各地に数多くいらっしゃいます。みんなで年に一度集まって、定型化された、筋書きどおりに考えるのではなく、新たな視点で課題を見つめなおす場所、それぞれのアイデアを持ち寄って議論しあい、従来には考えられなかった解決策を生み出し実践していく場所、にっぽんの将来をみんなでつくっていく場所をつくろうという思いに至りました。

そして、昨年、初めてソーシャルイノベーションフォーラムを企画し、開催致しました。多少の不安もありました。しかし、予想以上に多くの方に集まっていただくことができました。昨年参加された皆さんからは、「こんなに幅広いテーマを一度に扱ったイベントはめったにない」「新しい発想のヒントを得た」という、思いがけないポジティブなコメントをいただきました。

そして私たちも、皆さんの社会課題を自らの手で解決したいというやる気と行動力、大きなエネルギーを実感できました。新しい発想と大きなエネルギーを結集することが、明るいにっぽんの将来のために価値があると確信しました。

日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムは、全国各地で、日々、それぞれに活動している皆さんが、年に一度、ぎゅっと集まれる場所、たとえるなら「磁石」のような場所です。人と人が出会い、アイデアとアイデアが繋がって明るい未来へのイノベーションが生まれる場所になると信じています。磁石にはS極とN極、両極にある物同士が引かれあうという特徴があります。このフォーラムも、分野の異なる専門家の皆さんや企業の方が出会える場です。あまり関係ないかなと思っていた人と出会うことにより、なにか新しいヒントをつかめるかもしれません。

政府、行政、NPO、企業、ここには、そのような枠組みはありません。企業のトップ、学生、年齢差、そういうのも一切関係ありません。もうひとつ、磁石には別の特徴があります。それは反発しあうことです。反発からは大きなエネルギーが生まれます。反発して、時にぶつかったって構いません。関係ないと思っていた分野の人と数多く出会って、どんどん大きなエネルギーが生まれたら、こんなに素晴らしいことはありません。

今回、数多くの面白い分科会をたくさん用意しています。分科会を多く集めすぎて、あいにくプログラムの文字が小さいので読みにくいかもしれませんが、中身は濃いはずです!是非、この盛りだくさんの分科会に参加してください。

私たち日本財団も、イノベーションを起こすために、皆さんと話をしたいと思います。どの分科会にも必ず日本財団の職員が参加していますので、遠慮なくどんどん相談してください。今年は屋外のオープンスペースに自由に交流できる場所も用意しました。時間がなくて話し足りなかった人も、秋空の下で話すことができます。ぜひ活用してください。

私はこのイノベーションフォーラムを、皆さんのエネルギーもお借りしてより大きな磁石にしていきたい。フォーラムの磁力が大きくなれば、参加された皆さんもたくさんの磁力を帯びることができる。その磁力を活かして、もっともっと多くの人を仲間に巻き込んでください。そうすれば、皆さん自身の活動が広がるに違いありません。そうして、全国各地で皆さんが磁力の中心となって明るいにっぽんの将来をつくるイノベーションを起こしてほしいと私たちは願っています。今日から3日間、イノベーションの可能性を信じて、数多くの人との新しい出会いを通して、皆さん大いに盛り上がってください。新しい出会いは、可能性を広げてくれます。

にっぽんの将来は、私たち一人ひとりにかかっています。
日本財団は、皆さんと一緒にソーシャルイノベーションを起こして、明るいにっぽんの将来をつくっていきたいと思います。


「第49回社会貢献者表彰式典」 [2017年12月25日(Mon)]
「第49回社会貢献者表彰式典」


社会貢献支援財団は1971年に設立され、すでに12,190人以上の方々が表彰されています。

日本は世界一安全な国だといわれていますが、これは長年に亘り、日本各地で人知れず無私の奉仕をされてきた今回表彰されたような方々の力が大きいと思います。

2014年に安倍昭恵さんが会長に就任されてからは、表彰者発掘のために自ら海外を訪れることもあり、表彰者の範囲も海外で活動する方々にまで拡がりました。

以下は私の挨拶です。

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2017年11月27日
於:帝国ホテル

本日、長年のご労苦が評価され表彰を受けられた皆様方に、心からのお祝いと同時に日本国民の一人として感謝を表したいと思います。

皆様方の日々の地道な活動を通じて多くの人々が救われたことを考えますと、この世に同じ人間として生を受けながら、社会あるいは家庭が大きく変化する中で様々な問題に直面し、行き場所を失い、生きづらさを感じ、孤独になりがちな人々が多数存在することを忘れる訳にはいきません。

そうした中、日本人は互いに助け合う共存の精神で今日の日本を創ってきたわけであります。そういう強いDNAをお持ちの皆様方が存在し、現に活動されている事実が、これからの日本に何よりの力になると確信しております。

日本財団は、皆様方の活動を次の世代に引き継ぐにはどうしたらいいか、そんな考えに立ち先般、「日本財団ソーシャル・イノベーション・フォーラム2017」を開催しました。驚くべきことにフォーラムには、多くの学生そして若い人たちが、立見席が出るくらい集まって下さいました。

皆様方がご存知のような大企業に勤めましても、最近では入社後3年で30%から35%の人が辞めていきます。大きな組織の中で仕事をしても自分自身の活動が見えない、もっと社会の人と直接触れ合う仕事をしたい、という若い人たちが増えているのです。

学者や評論家が指摘する日本の将来の危惧とは違った新しい動きが、若い人たちの間に生まれてきているのだと思います。今日受賞された皆様方には、こうした志を持って次の世代を担う人材が沢山いることに意を強くして、さらなる活躍をしていただくよう期待しています。

社会のために働きたいと希望する若い人たちが、そのきっかけやアクセスを確保出来ないということもあると思います。日本財団では皆様方の仕事をさらに拡大し、志ある若者との繋がりを強化していくことが重要だと思っております。遠慮なく相談いただければ、若い方々と皆様方を引き合わせ、繋がりを拡げていくことが出来ると考えています。

もちろん政府も行政も社会課題解決のために懸命に尽力されていますし、わが国のように社会福祉政策予算が全体の40%を超える国は世界にそんなにありません。しかし社会課題の解決は行政だけで出来るわけではありません。やはり「草の根」からの拡がりが重要です。

相手に対する思いやりや皆様のような深い愛情を持った方々の情熱的な活動があって初めて、世界でも稀な安全で安心な日本社会が構築できたのは間違いありません。国民の75%が現在の生活に満足しているという国も日本だけです。これは決して経済的な面だけではないと思います。

皆様方のような人々によってセーフティーネットも確立されていますが、まだまだ十分ではありません。日本財団はそういう役割を果していく組織として、皆様と共にこれからも歩んで参りたいと思います。溢れる情熱、どんな困難にも立ち向かう強い心、そして成果が出るまで頑張り通す継続性こそ重要だと思います。本日、表彰された皆様は、まさにこの3点を実行されてきた方々だと思います。

私は全ての人が平等に生活でき、障がいがあろうとなかろうと日本国民として平等に生活できる社会にしていくことが2020年のオリンピック・パラリンピックのレガシーだと考えています。皆様とともに真剣に、明るい未来の日本をつくるため働かせていただきたいと願っております。

社会貢献支援財団におきましては、公私とみにご多忙の中、安倍昭恵会長を筆頭に理事の皆様方、そして内館牧子先生を中心とした選考委員会の皆様方の多大なご努力により年々、制度が充実しているのは関係者の一人として大変嬉しいことであります。同時に、世の中の知られないところで活躍されている方々は、まだまだ数多くいらっしゃると思います。ご参加の皆様方には、そういう方々を推薦賜りたく思います。

報道その他で様々な悲観論が論じられていますが、日本の将来はそんなに捨てたものではありません。日本人の心には2千年来、世界に冠たる国造りをしてきたDNAがあり、皆様方はそれをお持ちです。その心を顕在化して、次の世代を担う若い人たちに移していただきたいと思います。

今日を新たな第一歩として、さらにご活躍いただき、皆様方の善行が広く社会に浸透していくよう、お互い努力をしていこうではありませんか。

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