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宮澤先生 総理になられて [2007年07月09日(Mon)]

野村證券の社長、会長を歴任された田淵節也氏





「宮澤先生 総理になられて」


新聞の“首相の一日”を見ると、毎日、官僚か旧官僚ばかりの面談であり「少しは民間人の意見も聞かれては」と宮澤首相(当時)に申し上げ、野村證券相談役(当時)の田淵節也氏との会談となった。

時代を見る目の確かな田淵氏は、話を一点に絞り、「金融の国際化が迫る今日、大蔵省の金融機関への護送船団行政はいずれ破綻するので、そろそろ対策を考えられては」と進言した。

大蔵省(現財務省)の打ち出した悪名高い総量規制は、1990年3月、土田銀行局長通達として出された。

不動産向け融資の伸び率を総貸出しの伸び率以下に抑えることで、行き過ぎた不動産価格の高騰を沈静化させることを目的とする政策であったが、バブル崩壊の引き金となってしまった。

しかし、不動産向け融資は、住宅金融専門会社を対象とせず、また、農協系金融機関も対象外とされたため、農協系から『住専』、そして不動産投資へと資金が流れることになった。その結果『住専』の不良債権問題が発生した。

当日はその『住専問題』が一段落した日で、宮澤首相はことのほか上機嫌で田淵氏の話に聞き入っていたが、

「私は護送船団方式が最も有効な方法だと思う。」

「しかし、雑金融まで含めての護送船団はいくら大蔵省でも不可能でしょう」と田淵氏が反論すると、

「いや、必ずやらせます。裏から見れば、多少、問題のあるところもございますが、少なくとも表から見たときは町並みが揃っているようにしなければなりません。」

議論の余地はなかった。

宮澤首相の大蔵省可愛さは有名であるが、これではと、田淵氏は話題を変えられた。首相の自信がなせるわざなのか、度量が狭かったのか。

一応「研究してみましょう」という返事が、意見を申し上げた人への礼儀ではなかったかと思う。

その後の金融界が受けた荒波を考えると、宮澤首相の失政の一つのように思うのだが、これも、いずれ学者が検証することになるだろう。

謹んでご冥福をお祈りする。
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