産経新聞「正論」 [2007年06月12日(火)]
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産経新聞「正論」に私が寄稿した『アジアの平和構築はアジアの目線で』が5月31日に掲載されましたので、お時間がある時にでもご高覧いただければ幸いです。
![]() ※ 内容は下記に掲載しております。 【正論】 アジアの平和構築はアジアの目線で 日本財団会長 笹川陽平 (2007年05月31日産経新聞朝刊) ■急がれる人材養成と環境整備 ≪平和大学分校を開設≫ 国際平和の実現に向けた国連決議を経て1981年、軍隊を持たない中米のコスタリカに平和大学が創設され、日本財団も支援した。しかし、学生の大半が欧米の学生に偏る難点があり、この4月、新たにフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学に分校を開設することになった。 本校と同様、引き続き支援することになり、入学式では「世界は平和を構築し、維持していく意思と資質、技術を有する人材を強く求めている」と新入生を激励した。全体で30人の小さな所帯だが、19カ月間の研修を経て国際平和学の修士号を取得し、各地の国連機関やNGO(非政府組織)で活躍してくれると期待している。 アジア地域では近年、スリランカやネパール、南タイ、東ティモールなどで深刻な紛争が増加し、北欧やニュージーランド、カナダなど欧米系職員を中心にした国連職員が紛争処理を進めている。 しかし欧米とアジアでは文化、習慣も思考方法も違う。この地域で紛争を治め、社会を安定させ、平和を確立するには、同じアジアの目線でこれに取り組む専門家こそ不可欠。国連の要請もあって、これまでも奨学制度を通じて交流のあったアテネオ大と協議の結果、初の分校を設立し、こうした人材養成を進めることになった。 ≪対話重視し高い評価≫ もちろん現在も多くの日本の若者がJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊員などとしてアジア各地で活躍する。しかし、わが国には欧米のように平和構築の専門家を養成する教育機関はない。欧米系職員のような博士や修士の資格はなく、ともすれば活動範囲も制約される。 さらに一口で平和構築といっても、現実には紛争地に生身で飛び込むわけで、時に身の危険にも直面する。博士や修士の資格とともに、言語や現地の事情から安全管理、自分の身の守り方まで幅広い専門知識が必要となる。 特に日本の場合は国連分担金の額からみても、最低300人以上の国連職員を出すよう期待されているが、言語の制約や退職後の職場の保証がないこともあって半数前後にとどまっている。平和構築と並ぶ国連の主要業務PKO(国連平和維持活動)となると、現在、世界でこれにかかわる約5000人の国連職員の大半はPKO先進国の欧米系職員。この分野でも日本の貢献は極めて低い。 アジア各国を訪問すると、欧米系職員には自分たちが作ったルールがどの地域、国に対しても適用されて当然という過信があり、こうした姿勢が地元との摩擦・軋轢(あつれき)を生むケースも多いと聞く。 これに対し、対話を重視し、同じ目線で汗を流す海外協力隊員など日本人に対する評価と期待は極めて大きい。同じアジア人として言葉以外で共感できる部分もある。日本国内では、海外での日本の評価を否定的に捕らえる傾向が強いが、現実には中国、韓国を除けば肯定的イメージの方がはるかに高い。現に一昨年、英国・BBCが27カ国2万8000人を対象に行った調査でも、日本はカナダと並んで「国際情勢に最も肯定的な影響を与えている国」のトップに位置している。 私自身、最近訪問したネパールやスリランカでは、それぞれの国のトップから「日本には優秀な人材も資金も豊富にある。一刻も早くたくさんの人材を派遣してほしい」と繰り返し要請を受けた。 ≪150人の国際人養成≫ マニラ分校にはアジア各国から130人の応募があり、最終的に11カ国30人が選ばれたが、日本に限らず平和構築、国際貢献に熱意を持つ若者はアジア各国に多数いる。半数が日本人、外国人学生も24歳のネパールの青年から68歳の韓国人女性まで多彩だ。卒業後には彼らが国籍を越えて手を取り合って、平和構築に汗を流す姿を期待している。 平和を実現するには、経済の安定だけでなく、行政や法律の実務を担う多彩な人材が必要となる。情報を収集し、価値観を異にする人々と信念を持って語れる勇気も必要だ。人材養成を進める一方、こうした人材が国際社会で力を発揮できるような環境を整備していくことが、日本に対するアジア各国の期待に応える道である。 平和大学分校では当面、5年間、計150人の国際人の養成を目指す計画だ。同様の人材養成計画は外務省でも「寺子屋」計画として準備を進めていると聞く。こうした地道な努力の積み重ねが、日本のプレゼンスを国際分野で確立することになると確信する。(ささかわ ようへい) |











