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「名楽器受難の時代」 [2017年09月29日(Fri)]
「名楽器受難の時代」


日本財団では幅広い社会活動の中で、文化活動についてはあまり特徴的な活動は出来ていなかった。

バブル時代、多くの方々が海外から西洋名画を購入。1兆数千億円ともいわれる爆買が行われた。中には買い入れた名画を棺桶に入れてくれと発言して世界から批判を受けた人もいた。

私はクラシックの名曲をCDで聞く趣味はあるが、クラシックに造詣(ぞうけい)が深いわけではない。ただ、日本発の文化活動は歌舞伎、能、相撲、茶道、華道等々、多種多様ではあるがある程度限定的で、世界に普遍的に通用し愛される文化活動は何かを考えた時、名楽器の収集を思いついた。

特に1700年代、イタリアのクレモアで製作されたストラディバリやデル・ジェスは、科学進歩した現代でもこれよりすぐれた弦楽器は存在しない。そこで日本財団は「日本音楽財団」を設立し、塩見和子会長の手腕で現在、18挺のストラディヴァリウス(ヴァイオリン14挺、チェロ3挺、ヴィオラ1挺)、2挺のグァルネリ・デル・ジェス(ヴァイオリン)、そして世界に6組しか存在しないストラディバリウスのパガニーニ・クァルテットを所有している。

どの音楽家に無料貸与するかは、国際貸与委員会(委員長はロリン・マゼール氏から、現在は著名な指揮者サイモン・ラトル氏)の決定により、現在までに延べ66名に貸与され、世界のクラシックファンを楽しませてきた。

現在では事業に成功した新興成金や投資家の出現でヴィオラ一挺に45億円の値段がついたこともあるそうで、ジャストタイミングの楽器収集であったのではないだろうか。

前書きが長くなったが、ようやく本題に入る。

財団が楽器を貸与する演奏家は世界中を飛び廻って活動しているが、各国の税関では演奏用との説明を理解せず高額の税金が課せられるケースがある。EU加盟国には、「課税するか否かは担当税関員の裁量」という文面があるらしい。財団の楽器もドイツで押収され、ドイツの財務大臣の配慮で事なきを得たこともあった。

いつ税関員の裁量で押収されるか分からないため、財団の全ての楽器に有料のATA Carnet(アタ・カルネ:物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約に基づく国際的制度による通関用書類)を付与している。これは通関を円滑に行うためだが、そのため財団所有の楽器は一年に一度は日本に里帰りをしなければならない。さらに深刻な問題は、ワシント条約(絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引規制条約)に基づく追加規制がある。このため財団の全ての楽器は、指定楽器商によるワシントン条約で禁じている材料が使用されていないことを証明する「ワシントン条約適用除外証明書」も常に携行する義務がある。更に楽器の写真、楽器貸与契約書も必要で、出国時に入国時と違う楽器を持ち出す不法ビジネス防止のためだそうである。

難問はこれだけではない。ワシントン条約の違反の嫌疑を避けるため、300年以上も前に製作された楽器の装飾用の象牙も取り除くことになってしまった。世界的遺産といわれるこれらの楽器の手直しは実に心が痛む。更に弦楽器の糸巻(ペグ)の取っ手に使われる紫檀もワシントン条約の規制対象で、取り替える必要が出てきた。

弓にも問題がある。フェルナンブコはブラジル産の木材で弓に最高といわれている。既に使用されているフェルナンブコ製の弓は対象外ではあるが、アメリカの税関は全てのフェルナンブコ製の弓は折って破棄するとの警告を出しており、まさしく弦楽器受難の時代の到来である。特に年代物の世界的名弦楽器は、演奏家共々共、苦難の時代になってきた。

これら世界的遺産ともいわれる名楽器の活用と保存に、財団は新たな難題に直面しているのである。

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