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日本財団会長 笹川陽平ブログ

写真:ハンセン病の現場から「アフリカ・ピグミー族」

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【国際開発ジャーナル】海洋国家の気概を示そう [2017年03月06日(Mon)]
海洋国家の気概を示そう


国際開発ジャーナル
2017年1月号


静かに迫る危機
――日本財団は「海洋」を事業の柱の一つに掲げ、海洋研究や海洋専門家などの人材育成に取り組んでいます。また、(公財)笹川平和財団も昨年、(一財)海洋政策研究財団と合併し、組織内に世界一の海洋シンクタンクが誕生しました。笹川会長が海洋に力を入れている理由は。
【笹川】海には今、静かな危機が迫っている。例えば、昨年11月にモロッコで開催された国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)では温暖化による海の酸性化が議論されたが、日本財団はその2年前から、「酸性化によって日本近海の甲殻類は死滅し、30年後には寿司ネタが食べられなくなる」と訴えてきた。
こうした海洋の危機は、すでに人類の生存を脅かす段階にまできているが、人々の危機感は希薄で、いまだに海洋を統一的に扱う国際組織すらつくられていない。だからこそ日本財団が率先して取り組んでいる。11年からは、世界の大学・研究機関と連携して共同研究や人材育成を行う「ネレウスプログラム」を実施している。

多様な課題に対応する基本情報
――それら取り組みの一環として始まった今回の事業ですが、なぜ今、海底に注目するのですか。
【笹川】海は地球表面の7割を占めているが、人類が形状を把握している海底は全体の15%程度にとどまっている。特に、インド洋と大西洋の赤道以南、そして国の管轄権が及ばない公海では船舶の航行も少なく、測量データは極めて少ない。こうした中、現代海洋学の父でもあるモナコの故・アルベールT世大公殿下は20世紀初頭、海底地形図の必要性を提唱した。現在は、国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC-UNESCO)の協力の下、GEBCO指導委員会が公的な海底地図を作成しているが、日本財団も2004年から同委員会と共に海底地形図の専門家の育成に取り組んできた。これまでに33カ国で70人超の人材が育っている。
 新規事業では、こうした既存の専門家に加え、多様な分野の知見や経験を結集させて海底地形図の完成を促進したいと考えている。具体的には、各国政府に未公表データを提供するよう呼び掛けるほか、船舶会社や水産会社に航行海域の深度を観測するよう協力を求める。さらに、世界中の漁船に設置されているソナーから情報を収集・分析する方法も検討中だ。

――海底地形図が完成すると、何が可能になるのでしょうか。例えば、海底を流れる深層海流の動きを明らかにすることもできますか。
【笹川】可能性はある。そうなれば、東日本大震災時に海に流出した大量のゴミが突然消えてしまった謎を解き明かすことができるかもしれない。また、14年に消息を絶ったマレーシア航空370便も、海底地形図があれば容易に捜索することができただろう。
もちろん、これ以外にも、自然災害や気候変動の予測、資源分布の把握、海水温度の上昇により変化する魚介類の生息分布の推測など、活用できる場面は多岐にわたる。つまり海底地形図は、われわれが海洋の危機的状況に対応する際の基本情報となるのだ。

国益にも貢献
――海底地形図は、インド洋を中東・アフリカへの戦略的なシーレーンとして重視している日本にとっても重要な意味を持つと思います。
日本財団は、これまでもマラッカ・シンガポール(以下、マ・シ)海峡の安全確保への支援をはじめ、日本の国益につながる取り組みを実施していますね。
【笹川】日本が輸入する石油の約8割が通過するマ・シ海峡は、日本の生命線だ。日本財団は1969年以降、同海峡の安全確保を訴え、沿岸国のインドネシアやマレーシア、シンガポールに水路測量や海賊対策などの支援を行ってきた。
だが、持続的に管理していくためには、沿岸国による協力メカニズムの構築が必要だった。そこで、われわれは08年に「マ・シ海峡航行援助施設基金」の設置を支援し、同海峡を利用する国・国際機関・企業などが自主的に資金を拠出していく仕組みづくりを先導した。今や、マ・シ海峡の管理は沿岸国だけで行われるようになっている。

――こうした日本財団の功績は、北極海でも見られますね。実際、日本財団は日本政府が15年10月に北極海航路の開発を含めた初の「北極政策」を策定したのに先駆け、北極海航路の可能性に着目していました。
【笹川】私自身、1993年から10年近く、海洋政策研究財団がロシアおよびノルウェーと実施した「国際北極海航路開発計画」の委員長を務めた。99年にはオスロで開かれた国際フォーラムで「北極の通行は可能」とする報告書を発表し、高い評価を得た。北極海航路の開通により影響を受けると思われるスエズ運河の関係者が大勢聴きに来ていたのを覚えている。
温暖化の影響で、北極海の航行が可能になる時代は予想を上回る速さで近付きつつある。こうした中、韓国や中国は前述のわれわれの研究資料を基に調査を進めているが、日本は現時点で北極観測船すら持っていないのが現状だ。

「守られる」から「守る」へ
【笹川】海洋において日本が遅れを取っている例はこれだけではない。太平洋の島嶼国においても、日本の存在感は急速に失われつつある。これらの国々は、日本の排他的経済水域(EEZ)と接しているほか、日本が過去に委任統治していた歴史から親日家が多い。その一方で、温暖化や違法漁船によって、資源の乱獲などの深刻な問題に直面しているため、笹川平和財団は89年、「笹川島嶼国基金」(99年以降は「笹川太平洋島嶼国基金」)を立ち上げ、支援に取り組んできた。さらに、日本政府と島嶼国が97年から開催している太平洋・島サミットの立ち上げにも尽力した。
ところが、最近は中国も同様の島サミットを開催しているほか、大規模な援助を通じて影響力を急拡大させている。このような状況を踏まえ、日本はこれらの国に対して海洋管理に関する協力を強化し、新たな信頼関係の構築に向けて積極的な島嶼国外交を行っていくべきだ。その一環として、日本財団が行っている小型パトロール艇の供与や人材育成など海上保安能力の強化を目指す支援に日本政府の参画を促しているところだ。
日本は2007年に海洋基本法を制定し、海洋国家としての道を歩み始めた。その気概を示すためにも、今こそ「海に守られてきた日本」から「海を守る日本」となり、海洋の健全化に向け主導的役割を果たしていくべきだ。そのためにも、海底地形図の作成をはじめ、われわれが築いてきた知見や人脈を今後、日本の外交に役立てていけるよう整備していきたい。
(聞き手:本誌主幹・荒木 光弥)




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財団のミクロネシア海上保安事業がきっかけで、水産庁の取締船(100m)が年数ヶ月パラオEEZを監視する事になりました。ブログに書かせていただきました。
http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/1866
Posted by: 早川理恵子  at 2017年03月10日(Fri) 07:57