「ちょっといい話」その60 ―聴覚障害者の留学生― [2016年01月27日(Wed)]
「ちょっといい話」その60 ―聴覚障害者の留学生― 日本財団の活動の大きな柱に人作りがある。私は未来を担う若者に大きな可能性を期待しており、そのための奨学金制度は多種多様で、47種類にも及ぶ。 意欲のある若者に機会を与え、のびやかに勉学や研究の出来る自由度の高い奨学金制度の中で、立派な可能性のある若者を育てられることは無上の喜びでもある。 今回ご紹介するのは、アジアで最高峰の聴覚障害者の研究機関である香港中文大学で研鑽(けんさん)を積んで帰国した二人の若者である。 下谷奈津子さんは奈良県出身。アメリカ・ガードナーウェブ大学でアメリカ手話を勉強し香港中文大学で手話言語学修士を取得。卒業論文は最高位の評価を受け、帰国後はもっとも手話が普及している関西学院大学で講師として活動することになっている。 池田ますみさんは、5年間の留学中、手話辞書の作成、ろう文化、手話教授などの研究に没頭。手話言語学の高等ディプロマコースを修了。帰国後は有名な大阪の国立民族博物館に勤務する。 両名とも好奇心旺盛なさわやかな女性で、今後の活躍を心から願っている。 又、偶然、2名の聴覚障害者の若者がアメリカに旅立つ前に挨拶に来てくれた。 西 雄也さんは、大阪芸術大学卒業後、大阪市立聴覚特別支援学校の高校の先生、カリフォルニアでアメリカ手話を学んだ後、ワシントンにある世界最高の聴覚障害者の為の大学であるギャロデット大学大学院でろう教育とデフアートを研究。帰国後は、ろう教育関係の現場に関わることを考えている。 福島愛未(めぐみ)さんは、同じくカリフォルニアでアメリカ手話を学んだ後、ギャロデット大学大学院で聴覚障害者に優しい建築物や室内スペースのあり方についての建築を研究したいという。 彼らの帰国後の活躍を期待して送り出した。 これで聴覚障害者のアメリカの高等教育の卒業生と在校生は12年間に21人となった。 |