「駅中・駅近保育施設」―評価を受けるには時間が必要― [2014年09月08日(Mon)]
「駅中・駅近保育施設」 ―評価を受けるには時間が必要― 働く女性のための保育施設の不足が問題となって久しい。行政も待機児童ゼロを目指して懸命に努力しているようだ。 最近では、鉄道会社が沿線の魅力向上のために駅ビルや駅近くの土地を活用して運営事業者の誘致まで行っている。JR東日本では100ヶ所を目指しているという。また、イオングループでも店内に保育所を設置し、従業員の子どもは勿論、買い物客の子どもの一時預かりも計画しているという。世の中、変われば変わるものである。 というのも、今から20年ほど前、日本財団では朝の忙しい時間帯、働く女性が子どもを保育施設に預け、そこから反対方向の駅に向かうのでは非常に非効率で、駅中に保有所があれば通勤の往復で子を預け・引き取れるので便利であると考え、JRを中心に各鉄道会社にお願いしたが、低家賃では条件があわないといわれて計画倒れになりそうになった。しかし、社会福祉法人『桑の実会』の情熱あふれる説得に、JR国分寺駅が実験的に協力してくれることになった。 全国ではじめての駅近施設『国分寺Jキッズステーション』をモデルケースにしようと、1995年、事業総額68.051.000円全てを日本財団が負担して開業した。冒頭に書いたように、それ以来、時代は大きく変わった。先駆的な事業が評価され一般化するには、やはり20年程度の時間が必要なのであろう。 ホスピスナースの養成、日・中軍事交流、世界の海洋・海事の人材養成、世界69大学への奨学金制度、一人部屋の老人ホームの建設、名楽器ストラディバリウスの世界的演奏家への無料貸与事業等々、社会的な評価を受けるまでは10年以上の歳月が必要だった。 日本財団では社会的課題は何かを常に考え、大胆に実行することを良しとしている。若手職員のアイデアで開始された未来のエジソンを育てる『異才発掘プロジェクト』『再犯防止のための刑務所出所者の雇用プロジェクト』なども、社会的評価を受けるには10年の時間は必要であろう。 その間、日本財団の職員には、例え社会的批判を受けることがあっても、黙々として信念を曲げずに努力する強靭な精神力を身につけてもらいたいと願っている。 |