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「ポ−ランド・ヤゲロニア大学」 ―笹川良一ヤングリーダー奨学基金20周年記念― [2012年09月24日(Mon)]
「ポ−ランド・ヤゲロニア大学」
―笹川良一ヤングリーダー奨学基金20周年記念―


1400年建築の大学博物館内にある講義室にて20周年記念講演を行う。左はマニア副学長.JPG
1400年建築の大学博物館内にある講義室で20周年記念講演


笹川良一ヤングリーダー奨学金制度(Sylff)は、世界の著名な大学(69大学、44ヶ国)の修士・博士課程の優秀な学生に、それぞれの大学の判断で奨学金が授与されるもので、このたびポーランドの名門ヤゲロニア大学で20周年の記念式典が開催された。

この大学の創設は1364年と古く、日本では室町時代で、1338年に足利尊氏が室町幕府を開いている。卒業生にはコペルニクス(天文学者)、シンボルスカ(ノーベル文学賞詩人)やヨハネ・パウロU世がおられる。

ペルニクスの部屋、意外に小さく慎ましい1.JPG
コペルニクスの部屋、意外に小さく慎ましい

コペルニクスの部屋にあった太陽系のモデル.JPG
コペルニクスの部屋にあった太陽系のモデル


式典はヴォイチェク・ノヴァック学長をはじめ大学幹部の出席のもと、由緒あるCollegium Maiusホールで開催された。

以下は私のスピーチ要旨です。

*****************


Sylff20周年記念式典
日本財団 笹川陽平会長 スピーチ


2012年9月7日
於:ヤゲロニア大学・Collegium Maiusホール



近年、社会のグローバル化が急速に進んだことで、世界各地で、民族・宗教紛争の勃発、自然環境の悪化、不平等の拡大をはじめとする、多種多様な問題が次々と顕在化しています。Sylffは、設立当初からこうした複雑化する地球規模の問題に対して、国籍・言語・民族・宗教・政治体制といった差異を越えて、人類共通の利益のために貢献することを理念として掲げ、より良い社会の創造のために行動し、具体的な解決策を提示できるリーダーを育成することを目指してきました。国際社会は、今まさに、こうした問題に立ち向かい、臆することなく迅速に行動できるリーダーを求めており、それに応えることこそがSylffフェローの皆様に課せられた使命であると私は考えております。

1987年に始まったSylffも、今や世界44カ国69大学を繋ぐ大きなネットワークに成長しました。本事業は、Sylffプログラム全体の管理を行う東京財団、財政的支援を行う日本財団、そして実際に奨学金の運営を行う大学の3者が共同で実施しています。各校のたゆまぬ努力により、これまでに13,000人以上のフェローが世に送り出されました。
ここ、ポーランドでも約220人の優秀なフェローが誕生しており、関係者の皆様のご尽力に心より敬意を表します。

皆さんの先輩であるSylffフェローの中には、すでに多くの方が社会をより良くするための様々な活動を実践していらっしゃいます。たとえば、ここヤゲロニア大学でも、Sylff フェローが中心となってJUSFA(Jagiellonian University Sylff Fellows Association)という奨学生組織を立ち上げ、途上国における人権問題や国際社会が抱える様々な問題を扱うセミナーやワークショップを開催し、NGOと連携しながら社会課題の解決に向けた活動を実施していると伺っています。さらにJUSFAの皆さんは、Sylffの価値や理念を世界に向けて積極的に発信してくださり、大変感銘を受けています。このようにフェローの皆さんがSylffの理念に共感し、自らリーダーシップを発揮して問題を解決するために立ち上がっていらっしゃる姿を拝見し、心より嬉しく思います。

私はこれまで、政府や国際機関で要職に就いて活躍されているSylffフェローをはじめ、その他にも社会に影響を与える立場にある数多くの優れたリーダーにお会いする機会に恵まれました。そこで、本日は、私自身も心から共感した、彼らの「リーダーとしての姿勢や心構え」について、ぜひとも皆さんの心に留めておいていただきたいと思い、お話しいたします。

冒頭でもお話ししました通り、世界は自然環境の悪化、不平等の拡大、民族・宗教紛争の勃発など、地球規模の問題を多数抱えています。さらに、グローバル化が進み、問題が顕在化したことで、その類似性や共通性も浮き彫りになりました。こうして、分野や地域における共通性が明らかになったことで、それらの問題を同種のものとして扱ってしまいがちになり、似通った問題に対しては、今までの成功例を当てはめようとする試みが至る所でみられるようになりました。ある成功例を安易に適用しようとしたが故に失敗を引き起こしてしまうことはよくあることで、残念ながら、私は世界各地でそのような失敗例を目の当たりにしてきました。

しかし、一見すると表面的には同じように見える問題であっても、実際には一つ一つ異なります。ある成功例が単純に別分野・別地域の解決策として安易に当てはめられるわけではないのです。前例は参考にすべきではありますが、それが、取り組んでいる個々の問題に即しているのかを常に思慮深く考察する必要があるのです。

皆さんはSylffのフェローとして、それぞれの分野における専門知識を習得してきてくださいました。そして、将来、様々な社会問題に取り組んでいくために、これからも一層勉学に励み、専門性を深めていかれることでしょう。ただ、それだけで物事を判断しようとすると実態に即しておらず、結果的に自分の考えや常識の範囲内でしか考えないことになってしまうことになるかもしれません。

ですから、ぜひ皆さんには、問題が起こっている国や地域の歴史や習慣、宗教等を研究して異文化に対する造詣を深め、当事者の声に耳を傾け、状況を的確に把握するための努力をしていただきたいと思います。
その上で、何が最適な解決方法となるのかを総合的な観点から判断することが非常に重要になります。

私がこれまでに見てきた優れたリーダーは、問題を多面的・重層的に捉え、その国・地域に適した解決策とは何か、とことん突き詰めるという姿勢をもって取り組んでいらっしゃいました。ぜひ皆さんにもそのようなリーダーになっていただきたいと私は考えています。

また、問題解決にあたっては、様々なステークホルダーと協力することが不可欠です。しかし、政府、国際機関、民間企業、NGOなど複数のステークホルダーが集まれば、立場が異なるだけではなく、それぞれの利害関係や対立する構造が明確になることも少なくありません。それによって、議論が難航し、混沌とした状況に陥ることもあるでしょう。自分の意見が思うように受け入れられず、批判を受けることもあるかもしれません。しかし、そのような時でも、決して投げやりにならず、相手の意見をよく聞き、粘り強く対話を続けていく姿勢を忘れないでください。むしろ、批判というものは、それを前向きに捉えることで、自身の選択した方法を省みたり、新たな気づきを与えられることもあるからです。社会に貢献したいという志は皆同じです。どうか、こうしたステークホルダーらと、とことん議論を尽くし、問題解決に向けて、最善の策を追及していっていただきたいと思います。

ヤゲロニア大学役員とSylff・OBとの食事会.JPG
ヤゲロニア大学役員とSylff・OBとの食事会


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