休眠口座が新たなセーフティネットを創造する! [2012年04月11日(Wed)]
「休眠口座国民会議 創設記念シンポジウム」 ―休眠口座が新たなセーフティネットを創造する!− 笹川挨拶 2012年3月24日 於:日本財団 当日は土曜日にも関わらず、日本財団の大会議室は250人を超える参加者で満席。フローレンス代表の駒崎さんの手腕で会議は上々の成果でした。特にニコニコ動画には17,000人以上のアクセスがあり、ツイッターやフェイスブックでも大いに盛り上がったようです。 詳細は「休眠口座を考えるための情報サイトをご覧ください。 以下、挨拶です。 休日にもかかわらずたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。 「休眠口座国民会議」呼びかけ人の一人としてご挨拶させていただきます。 この休眠預金の問題は、田中康夫先生、そしてフローレンス代表の駒崎さんが最初に問題提起され、私はそれに賛同し、フォローするという役割を果たしたに過ぎません。 ただ、これは多くの国民に関わる重要な問題です。といいますのも、日本の人口は1億1,000万人ほどなのにもかかわらず、銀行の口座数は約12億もあります。勿論、多くの方が複数の口座をお持ちでしょうが、それにしても単純計算で1人当たり10口座近く持っていることになるのです。言わずもがなですが、休眠だろうが何だろうが預金は預金者の権利であるという大原則については全く変わりありません。10年経とうが20年経とうが、銀行に取りに行けば返していただけるものなのです。 ところが、預金を取りに行かずに一定年数が経過してしまうと、銀行がその預金を収益として利益に上げてしまうのです。どのくらいの金額になるかというと、ここ3年間だけで2,000億円以上のお金が銀行の利益になっています。3年間で2,000億円となると10年間ならいくらになるでしょうか? これから預金を解約しに来る人を差し引いたとしても、郵便貯金まで含めますとおよそ6,000億から1兆円を超えるお金が存在するわけです。このお金は、銀行のものではなく、あくまでも預金者皆さんのお金です。 ここに郵便貯金と銀行の通帳を2つ持ってきました。昨年87歳で亡くなった人の仮名の通帳です。以前は、実名でなくても口座開設ができ、預金通帳と口座登録した判子があれば誰でもお金を下ろすことができたのです。しかし、今は通帳の名前と身分証明書に書かれた名前が違うとお金は下せません。つまり、銀行側は休眠預金をお返ししますと言っておきながら、実質的には返してもらえない仕組みを作り上げてしまっているのです。 そういうお金が3年間で2,000億円も銀行の収益となっているのは大変由々しきことです。限られた時間ではありますが、本日お集まりの皆様と呼び掛けた人たちとでしっかりと議論を重ね、問題を共有し、ここで得た知識や認識を友人や知人に広めていっていただけたら幸いです。 これは私個人の考えですが、休眠預金は預金者のもの、ひいては国民のものですので、管理する民間の組織をきちんと立ち上げ、行政サービスの手の行き届かない分野に使っていくことが好ましいと思っています。また、たとえ国が管理をすることになったとしても、しっかりと国民のために活用し、説明責任を果たしていただければと思います。 改めて申し上げますが、休眠預金の活用については、皆様方個人の預金を国が無理やり取り上げようというものでは決してございません。ただし、銀行側がいくら通知を出しても転勤や引っ越し等で連絡が取れないケースもあれば、少額の預金のためにわざわざ手間と時間をかけるのは無駄だと考える人もいます。その他、実名でない口座を作ってしまいお金を下ろすことができない人がいるのも事実です。そのような諸々の事情があって12億もの口座があるということをまずは知っていただきたいと思います。 本日は闊達な議論を期待しております。ご清聴ありがとうございました。 (注)3月30日付朝日新聞によると、10年以上出し入れのないJAバンク・グループ(農協、漁協)だけで、何と、口座数は約1億口座もあり、年間約50万口座が休眠口座となり、毎年約20億円を利益として計上していると報じている。 |