再び問う 休眠口座問題 [2012年03月14日(Wed)]
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「再び問う 休眠口座問題」 この問題を2月6日の産経新聞「正論」欄で論じたところ大反響となり、各種メディアで連日の報道となった。 銀行協会の会長は「少額とはいえ国民から預かった金で預金者の権利であり、何年経過しても要求があれば引出しに応じる」と至極当たり前の答弁の上、「少額預金の管理には膨大な経費がかかっている」と発言している。しかし、平成20、21、22年の3年間で、全金融機関の休眠口座より、何と、2,097億円が雑収入で経常されているのである。 更に、1億2千万人弱の人口に口座数は10億を超えており、過去には金融機関がこぞって口座獲得運動に走り、特に老人の顧客に頼み込んで余分な口座を1000円単位で作らせ、印鑑や仮名を銀行員が協力した例も多くある。 この結果が10億口座にもなったわけで、金融機関はこの責任の反省もなく、少額預金の口座管理に費用がかかるとは驚くべき無責任さである。 以下は国民の活発な議論のために真実を公開すべきと指摘した、2月29日付の産経新聞「正論」である。 読者の賛否のご意見を賜りたい。 【正論】日本財団会長・笹川陽平 政府は休眠預金の実態公表せよ 2012年2月29日 産経新聞 東京朝刊 2月6日付本欄に掲載された拙稿「『休眠預金』を社会的に活用せよ」に大きな反響が寄せられ、政府の国家戦略会議も「成長ファイナンス推進会議」の初会合を開き休眠預金活用の検討に乗り出した。これに対し、銀行業界は「預金者の金を第三者が無断で使うことになりかねない」と反発し、国民の中にも、本人の同意なしに預金が使われるのではないか、と懸念する声があるようだ。 しかし、制度が変わっても預金者の権利が守られるべきは言うまでもなく、求めがあれば払い戻しに応じる現在の仕組みは当然、維持される。問題は、その上で休眠預金をどう活用するかであり、広く国民の合意を形成するためにも、政府が過去分も含めた休眠預金の全容を早急に明らかにするよう強く求める。 ≪預金者の権利保護は当然≫ 休眠預金の活用を模索する動きに、全国銀行協会など7団体は昨年5月、反対意見書を提出。永易(ながやす)克典・全国銀行協会会長も2月16日の記者会見で、「睡眠(休眠)預金であろうが、何だろうが、預金者のものなんですよ」と一連の動きを牽制(けんせい)した。預金が「預金者のもの」であるのは言うまでもない。となると、最終的に金融機関の収益となっている現状は整合性を欠くばかりか矛盾する。 情報が少ないこともあり、拙稿掲載後、知人から「7、8年前、万一に備え新たに銀行口座を設けた。幸い、これまで手付かずで済んでいる。このまま10年過ぎると休眠口座になって預金を使えなくなるのだろうか」と質問された。もちろん、そんなことはない。現在も10年経てば銀行から連絡があり、放っておいても印鑑や通帳があれば何時でも払い戻しを受けられる。制度が変わっても預金者の権利は当然、保護される。 問題は、住所移動や一時期までごく普通に認められていた仮名口座であるために連絡が取れず、そのまま残される預金を最終的にどう扱うかに絞られる。休眠口座は欧米各国でも、「Dormant Account(眠っている、活動休止中の口座)」と表現され、期間や形は違うが、一定期間出し入れがないと金融機関から切り離し、公的事業に活用する国もある。こうした動きが各国で広がってきた背景には、「金融機関の収益になるのはおかしい」とする世論の盛り上がりがある。 ≪全容はベールに包まれたまま≫ しかし、全容となると現在もベールに包まれたままだ。金融庁の内部資料などによると、主要銀行や地方銀行、信用金庫などで毎年、新たに発生する休眠預金は800〜900億円、うち4割近くが連絡を受けた本人の申し出により払い戻されているという。 わが国の金融機関には全体で12億に上る口座がある。赤子を含めても1人当たり10口座、人口が日本の約半分6200万人の英国の10倍近い異常な数字だ。金融業界が一時期、「口座が増えれば預金が増える」と口座開設を積極的に勧誘した結果だが、業界から反省の言葉を聞くことは少ない。 休眠口座も億単位に上り、関係者は、「税務当局の指導もあり、収益への繰り入れは10年よりもっと前からやっている」と説明する。それではこの間、どの程度の口座が休眠口座に移行し、収益処理された休眠預金が全体でいくらになるのか、国民が最も知りたいところだ。 現在も175兆円の預金残高を抱える郵便貯金は、これとは別に民営化以前の定額貯金を郵便貯金・簡易生命保険管理機構、定額以外の通常の郵便貯金をゆうちょ銀行が管理し、定額貯金は10年間放置されると「睡眠」状態に移行、さらに10年間、払い戻しがないと預金者の権利は失効する。これに基づき、2010年度は234億円が管理機構の収入となった後、国に納付された。 こうした実態を果たしてどれだけの国民が知っているだろうか。総額でいくらが国庫に入り、何に使われたのか、明らかにされる必要がある。加えて、来年は仮名口座の使用が禁止されてから10年に当たり、多くの仮名口座が「本人確認」をできないまま休眠口座に移行する可能性が大きい。 ≪政府、業界、民間で知恵を≫ 公的に活用するには、休眠口座を一元的に管理する基金などの受け皿、さらに払い戻し請求に対応するための照会システムのような機能も必要になろう。膨大な休眠口座を前に、金融業界からは費用対効果を疑う声も出ている。 しかし、休眠預金は表に出ているだけでも、郵便貯金関係を合わせ単年度で1000億、10年間で1兆円にも上る。政府、金融業界、民間が知恵を出し合い活用法を検討するにふさわしい国家的テーマであり、効率的な活用の受け皿ができれば、莫大(ばくだい)な口座管理コストも削減できる。 永易会長は会見で、「政府が検討するのであれば、協力できることは当然協力するのが基本スタンス」と語った。国を挙げた協力こそ国民の理解につながり、わが国の金融、ひいては国民の政治に対する信頼を取り戻す好機となる。(ささかわ ようへい) |






