笹川アフリカ協会 [2010年08月16日(Mon)]
農業プロジェクトで飛び回る宮本常務(写真・右)と筆者 「エチオピア訪問」その4 ―笹川アフリカ協会― 笹川アフリカ協会は設立24年。会長は設立当初からノーベル平和賞受賞者のノーマン・ボーローグ博士であったが、昨年6月に逝去。その後は空席である。 協会の目的は、アフリカにおいて、近代的な農業技術や貯蔵技術、農産物加工技術等に関する指導を対象各国政府と協働し、小規模農業従事者に、より効果的な農業改良技術を普及することで、農家の生産・加工・流通の向上を支援することである。 設立以来、サブサハラ・アフリカを中心とした延べ14カ国において、食糧増産や新しい農業技術の普及、及び政府首脳から小規模農業従事者までの各レベルにおける農業に対する認識の改善まで、幅広い支援を展開してきた。 常務理事は宮本正顕とクリス・ダズウェル(アメリカ)を中心に、タンザニア、ドイツ、フィリピン、セネガル、チャド、ケニア、日本の農業科学者を中心とした多国籍メンバーである。 メンバーの出身国は歴史も文化も異なり、合意形成に困難を伴うこともあるが、ボーローグ博士の「Never Give Up 」の精神を基本に、農民支援を優先にした議論は多少の時間を要しても必ず収束すると、協会設立以来の同士・宮本正顕は自信を持って語る。 24年間にわたり試行錯誤を繰り返しながらアフリカでの貧農救済を続けてきた「ササカワ・グローバル2000」も、近年大いに評価が高まり、ビル・ゲイツ財団、JICA、国際農業開発基金、国連世界食糧計画、ナイジェリア政府などからも資金が流入。向こう4年間で最低でも1,205万ドルの資金獲得が確定しており、更にパフェット財団、モンサント社、デュポン、シンジェンタ財団からの支援資金も有望で、ビル・ゲイツ財団は580万ドルのトライアル資金の効果を判定して更に大幅な資金供与の可能性があると、嬉しい報告をしてくれた。 笹川アフリカ協会には、今年2名の日本人女性スタッフが参加した。2人は日本財団がコスタリカの平和大学と協力して設立した平和教育の修士課程の卒業生である。 横山陽子さんは、慶応大学から三菱商事を経て平和大学で修士課程修了。東京事務所で事務の全てを取り仕切る。 徳末明子さんは東京大学卒業。会社勤務を経て平和大学修士課程修了。エチオピアでの勤務となり、既に現地スタッフと共に、日夜農民と共に汗を流す生活を開始した。 年配者の多い農業科学者の中では娘のような存在で、職場は急に明るくなった雰囲気ではあるが、どこまでも実力の世界であることに変わりはない。健闘を祈りたい。 ところで、ジェントルマンの宮本正顕が、エチオピアでのノーマン・ボーローグ国際シンポジウムの最中、出席者の中に私の好きな名前の人がいたと、わざわざ紙切れを渡してくれた。 「ナーナ・アゲマン教授」 ガーナのケープコースト大学学長とある。 「男性でアゲマンは戴けないね」 「いや、女性のアゲマン教授です」と、宮本は真顔で答えた。 宮本は5月24日のブログ、「世界の珍名・地名」を読んでいたらしい。 (次回8月18日は、「エチオピアの海運事情」です) |