「財団活動における事業評価の問題点」 [2009年06月19日(金)]
![]() ファイアー・ウォール機能の確立を目指す監査グループ 「財団活動における事業評価の問題点」 公益活動を行っている財団や団体に対して、「行った事業についての結果を第三者に評価させろ」との議論が、有識者や監督官庁を中心に強くある。しごくごもっともな意見ではあるが、ことはそう簡単ではない。 財団活動において、透明性と情報公開では世界的にもトップレベルにあると自負する日本財団においても例外ではない。 日本では専門の評価会社や組織はごくわずかしかない。また、評価には多額の費用が必要である。他団体ではどのように事業評価の問題を処理されているのだろうか・・・。 日本財団の場合、昨年度の年間の事業支援件数は1088件に達し(福祉車両は含まず)、全件数を評価することは時間的にも費用的にも不可能である。昨年は約10件、2,800万円の費用を投じて外部評価を行っているが、これでは十分とはいえない。3年前より、財団の監査グループの諸君に事業評価の方法を研究してもらい、財団内でも実施できる体制にしたいと努力してきた。 しかし、日本財団の関係財団については、透明性を維持するためにも今まで通り外部評価会社に依頼せざるを得ない。 日本財団の支援団体への監査業務は、恐らく我が国の公益財団の監査としては質、量ともにトップであろう。財団内では、事業を行うチームと監査チームとの間にファイアー・ウォール(火の壁、即ち障壁)を設けており、どの事業を監査しているかについて、事業チームにはわからない仕組みになっている。 監査終了後は事業チームに結果を報告し、次年度以降の事業に反映させている。 また、監査チームの事業評価も同様の方法で行っている。 20年ほど前、アメリカの評価学会の会長を招聘して勉強会を行ったことがある。私はそこで、最後に意地悪い質問をした。 「評価会社は、財団その他の依頼主があってはじめて仕事になる。依頼案件の評価結果が悪く出た時、そのまま書類を提出すれば依頼主の責任問題となり、次回から注文がとれないことになる。その場合、どう対処するのか・・・」 しばらく沈黙の後 「次回の注文を期待して評価に手を加えることはないが・・・」 と言いながらも明言をさけた。 私にとって、これが勉強会の最大の収穫であった。評価には依頼者と、それを受託した評価会社とのアウンの呼吸が入る余地があることを理解した。 この経験を踏まえて日本財団では、評価会社には何の条件も付けず、一字の修正も行わない「生の報告書」の提出を確約させ、当方と評価を受けた事業者の双方に、評価に基づく改善点の説明を義務付けている。担当者や事業団体より、当然、評価に対する不満が出ることはあるが、反論はせずに改善点について率直に聞き入れるように指導している。 一般的に依頼主は、やめたい事業については厳しい評価を期待し、継続したい事業については良好な評価を期待する傾向があるという。しかし、これでは何のための評価かわからない。 少なくとも日本財団では、このようにならないよう厳格に行っており、監査チームの事業評価と合わせて、一件でも多くの事業評価を行い、限られた資金の有効活用はもとより、より良い事業活動への一助にしたいと考えている。 ==================================================== 日本財団・事業評価報告会 日本財団では、支援団体への会計監査と同様に、抽出した団体の事業評価も行っているが、多額の費用を必要とするところから、監査グループの諸君に勉強してもらい、独自での事業評価が実施可能となった。以下は私の報告会での講評である。 講評 2009年5月18日 日本財団ビル2階 今日発表の事例は4件でしたが、事業評価をきちんと日本財団ができるようになったことは、私たちにとって誇らしいことです。 世界中の財団の中で、自らが事業を評価できる組織は私たちだけです。よく評価という言葉が財団運営で話題になりますが、言葉だけが独り歩きしているように感じます。意識と行動を持って対応している組織はほとんどないわけです。 そのような意味で、私たちの監査グループが事業評価までできるようになったことは大きな進歩です。 事業を審査されている皆さまには、その団体の責任者の資質を見抜くことが必要であり、そこには眼力が重要となってきます。金融機関でも、最終的にはその責任者を見て融資を決定しています。決して書類だけで判断できるものではないのです。 申請の書類が上手く書けていることと、上手く仕事ができることは全く関係ありません。要するに、その組織の責任者の情熱や志というものを私たちがどの程度判断できるかという眼力にかかってくるのです。審査という入口で意思決定したことを、事業終了後の評価調査の結果を見て、反省するところは反省して次の審査のために役立ててほしいのです。 また単なる書面だけでなく、私は常々、数字からモノを見てもらいたいと申し上げてきました。事業計画書や決算報告書の数字は、それを見ることによって数字の裏側にある物事というものが見えてきます。そのようなことから、簿記三級の資格を職員全員に習得してもらうことにしたのです。 数字が全てを物語っているということではありませんが、数字の裏にあるものが何であるのか、それを景色として物事を理解できるようになってもらいたいのです。一つの事業を見るときに多面的に事柄を判断し、上からも、下からも、斜めからもモノを見て総合的に判断してください。 監査グループの事業評価結果を謙虚に受け止め、次の事業支援審査に活用していただき、より良い事業支援のためにアドバイスを行い、優れた事業が実施されるよう、更なる努力を皆さんにお願いします。 |











