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「四川大地震異聞」 [2009年02月25日(Wed)]

被災地の子どもたちが集められ授業が行われている


「四川大地震異聞」


昨年5月の大地震から9ヶ月が経過した。

中国政府は各省に被災地域を割り当て復興支援の協力をさせるなど、懸命の努力を続けている。しかし、不幸にも犠牲者を出した家族の悲しみは深く、心の傷は癒えそうもない。一人っ子政策の中で子供を失った親の悲嘆の心情は如何ばかりか・・・察するにもあまりあるものがある。

学校がオカラ工事(手抜き工事)で倒壊し、多くの児童が犠牲となった親達の必死の抗議活動は今も続いている。これを押さえ込もうとする当局との戦いは熾烈を極めているが、厳しい言論規制の中、抗議の公開書簡がネット上に公表されている例もある。

以下は、幸いにも校舎の倒壊を免れ、全員無事であった学校の一教師の主張である。

====================================================


この話の主役は、四川大地震の被災地・都江堰市にある『光亜学校』のエリート教師、北京大学出身の範美忠先生である。

実はこの範先生、地震発生時、「逃げろ」の一言も生徒に告げず、真っ先に一人で校庭に避難した。範先生の生徒たちは地震が落ち着いてからやっと教室を脱出し、校庭に集まった。

範先生の真骨頂はここから始まる。

「なぜもっと早く逃げてこなかったの?」と生徒たちに問い掛けた。

「恐怖のあまり机の下に隠れ、揺れが収まってからやっと外に出ることが出来た。先生!! なぜ私たちを連れ出してくれなかったの?」と生徒。

範先生はさらに「私は決して勇敢な人間ではない。自分の命だけが大事なのだよ」と生徒を失望させ、「私は自由と公正を追求する人間だが、勇敢に自分を犠牲にする人間ではない。

このような生死を分ける瞬間においては、私の娘のためなら自己犠牲を考えるかもしれないが、母親なら放って置いただろう。危険が目の前にある時には、自力で逃げられた者だけが助かるのだ。もし本当に危険だとして、私が君たちと一緒に死んでも意味が無い。これは私の言い逃れかもしれないが、少なくとも、私には道徳上の罪悪感は全く無い」と言い切った。

その後、範先生は何を思ったのか、中国で最も影響力のあるウェブサイトで同様の意見を発表。激怒したネット・ユーザーから「最も恥知らずな教師」として猛烈な批判を受けるも全く屈せず、さらに『長江商報』のインタビューに「中国の教育法は、地震発生後の生徒の救出義務について書いていない。

私は自分の命が一番尊いと思う。確かに『逃げろ』と生徒に叫ばなかったのは私の過ちだ。しかし、私は故意に過ちは犯していないし、地震も私が引き起こしたものではないから罪悪感はない。私の事を批判するのは結構だが、校舎の耐震性や避難訓練の不備など、技術的な問題点を忘れてはいけない」などと述べた。



ネット上の多くの意見は
「教師として最低である。範先生の発言は、人の感情を傷つけた」と批判的だが、
「自分の命を守ろうとするのは本能である」
「範先生は自分の命が一番大切であるという事を、直接的な表現で伝えたのであり、勇気の要ることである」
「範先生は物事を正直に話す人で評価できる」

と、少数ながら肯定的な意見も出始めた。

更に範先生、香港テレビの人気討論会番組に出演し、教育関係者や評論家と激論を展開。

「恥知らず!!」と激しい批判も浴びたが、
「範先生も被災者の一人であり、この地震を経験していない人々に彼を批判する権利は無い」
「問題ではあるが範先生は誠実である」など、範先生にある程度の理解を示す意見の方が多数であったという。

『範美忠事件』は現在も収まる気配はないが、当初は大多数が「反対」だったのに対し、現在では半数近くが「支持」や「ある程度支持」となっているそうである。

校長は「彼の授業はとても熱心で、生徒からも慕われている。多数の生徒が、範先生をクビにしないでと申し出ている」と述べ、現在のところ免職させる考えはないと表明している。

日本では起こりそうもない事件である。万一起こったとしても「バカな教師」の一言で、社会的に抹殺されたであろう。

中国は共産主義国家である。
だからと言って、中国人を画一的なイメージで見てはいけない。
実に懐の深い民族なのである。
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コメント
私は旧満州生まれなので、この国を悪く言うのは忸怩たるものがありますが、この国から来航する貨物船による岸壁トラブル対策に苦労しています。13億人もの人間が生息する物凄く広大なエリアが1つの国の名称を持つのが不合理なのであって、現実には物凄く多様な人種が多様な地域を形成していると考えた方が正解なのではないでしょうか?日本は外国から見れば物凄く単一化した文化習慣を持つ民族だそうですが、その中にもこの類の論理を展開して憚らない人がいます。これは思想と言う立派なものではなくて、自己弁護の天才であって、自分が悪かったと言えば死が待っている世界に住んで居れば当然の能力なのだと思います。
Posted by: 則包辰男  at 2009年02月26日(Thu) 13:28

笹川陽平さま。日本人には思いつかない中国人の考え方をご紹介いただき興味深く読みました。

対等の人間関係の相手なら彼の論理は成り立ちましょうが、教師として保護を委託された子供たちが相手です。

人間として、また、職業人として保護の責任を放棄した・果たさなかった、と考えます。従って彼の論は詭弁であると考えます。

技能ボランテイア海外派遣協会のボランティアの皆さんや支援者に貴ブログを紹介したところ、様々な意見を頂きました。

理屈はともかく日本人の心情において納得できないというご意見が太宗を占めました。小柳津
Posted by: 小柳津浩之  at 2009年02月26日(Thu) 12:20

大変面白い情報に触れ、一見愉快で、しかも考えさせられる深刻な話題と感じています。儒教や孔子を忘れた時代の社会を引きずる現代中国の一面を、特異なケースとして読ませていただいたように思います。司馬遷の史記列伝で繰り広げられる武将・民衆の相克記事にも、考え方、とらえ方でいかようにもスタンダードが変わる様子を二重写しにした感じです。懐が深いと見るか、人間性・人類愛をどう止揚した社会と見るか、面白い事象提供ありがとう御座いました。
Posted by: 角保恵喜  at 2009年02月25日(Wed) 17:15

考えさせられるテーマである。確かに逃げる際”逃げろ”と生徒たちに叫ぶことは出来たし、それをしなかったことを反省もしている。大体、地震が有った時、机の下に隠れろと言うのが普通で外に逃げるのは逃げる間にいろいろな物が倒れ掛かって来て却って危ない事も考えられる。結局、地震の様な突発事態では自己責任で自ら瞬時に判断し、活路を見出さねばならない。生徒たちに”自らの力で生きろ””他を頼りにするな”と言うことを言いたかったのではないかとも思う。「天は自ら助くるものを助く」と言うことだろうと思う。それにしても己を主張すると言う意味では中国の多くの人達は日本人より、遥かに欧米人に近いと思う。やはり狩猟民族と農耕民族のDNAの差なのだろうか?日本人は平時はお上を揶揄する癖に、いざとなるとお上に頼り過ぎ、お上に責任を擦り付け過ぎる。これがお上を不必要に強くしてしまう原因でも有ると思う。結果、お上=お役人=官僚は単なる行政権のみを有している筈なのに三権分立であるにも拘らず行政と立法の二権を独占してしまった訳である。立法権を司る国会議員が自分たちはLaw Makerであると言う自覚が全く無く、立法権を官僚に簒奪されて居るのに対し、何ら対策を持たないことが最大の問題だと愚考する。いくら官僚支配脱却を叫んでも、立法権を自らの手に取り戻さない限り、法案作成を官僚に任せている限り、官僚支配は良きにつけ、悪しきにつけ続くかざるを得ないのだと思います。
Posted by: 佐藤眞樹  at 2009年02月25日(Wed) 10:33

大変興味深いお話です。
中国も儒教の心が失われつつあるのだと感じます。
さて、日本にこのような教師がいたら「バカな教師だ」の一言で社会的に抹殺されたであろう、と会長はコメントされましたが、愚生はそれほど楽観できません。
範先生のような意見を持つ教師予備軍は日本に数多く潜在するような気がいたします。
日本の道徳律の基盤の一つでもある「武士道魂」の復活こそ、中国の轍を踏まないためにも必要なのではないでしょうか。
笹川平和財団で取り上げていただければなどと夢想しております。
Posted by: 怪事  at 2009年02月25日(Wed) 09:13