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笹川陽平(ささかわようへい)の国内外における活動の記録。このブログを通じて、私の毎日を覗いてみてください。

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WHO(世界保健機関)・世界伝統医療会議 [2008年11月29日(土)]

会議では新たな仕組みを提案


「WHO(世界保健機関)・世界伝統医療会議」


初めての「世界伝統医療会議」が北京の郊外で開催され、70ヶ国の代表と多数の民間関係者が出席した。

伝統医療、特に伝統医薬品の普及は、私の懸案であった。

日本財団の海外活動は、医療、食糧増産、教育(人材育成)が三つの柱である。
ハンセン病の世界制圧のため世界中の発展途上国をかけ巡っているが、途上国の多くは、大都市から車で一時間も走れば電気、水道もない所が多く、山間部や辺鄙な地域からは、ちょっとした医療施設のある町に行くにも2〜3日もかかる地域が大半であるとっても過言ではない。

世界60億人の人口の内20億人は一日1ドル以下の生活といわれているが、もっとも悲惨ことは、この世に誕生しながら医者にアクセスすることも出来ず、一度も西洋医薬品を飲むこともなく死んでゆく人々が如何に多いか・・・体験上思い知らされている。

そこで、西洋医薬品よりも十分の一、二十分の一と安価な伝統医薬品の普及が、プライマリー・ヘルス・ケアの実現には不可欠と考えるようになった。モンゴルで富山県の「置き薬」方式を実験したところ、大成功との結果も出た。2003年当時、WHOには伝統医薬品の担当者は一人しかいなかった。日本財団は彼女を激励し、伝統医薬品の世界調査の費用を提供した。

幸い、マーガレット・チャンWHO事務局長は香港出身で、伝統医療に理解が深く、今回の国際会議となったわけで、民間からは唯一、日本財団が発言の機会を得た。

私は、下痢、熱、風邪の初期治療は安価な伝統医薬品で十分に効能があると確信している。ただ、巨大医薬品の会社からの横やりに対抗するためには、品質管理、効能の証明は必然である。

下記のスピーチの通り、300年前より伝統医薬品を活用した富山の「置き薬」方式は、今や世界から注目を集めている。日本財団では、モンゴル、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオスで具体的成果を実証すべく、発案の大野修一常務を先頭に、グローバル・ヘルスの問題解決の一つの方法として、逆転の発想―即ち薬局や病院にアクセス不能な地域や貧困家庭に無料の薬箱を直接届ける仕組み―を構築しようと積極的な活動を開始した。

以下は日本財団の若手・中嶋竜生、小沢 直、渡辺桂子、横内陽子の四人が作成してくれた。平凡なスピーチのように見えるが、WHO北京宣言を巧みに取り入れ、専門家の聴衆には興味深く説得力のある、制限時間5分間のショート・スピーチで、スピーチ原稿の教授を賜っている武部女史から合格点をいただいた作品である。

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WHO伝統医療国際会議スピーチ
(原文・英語)

2008年11月8日
日本財団会長
 笹川陽平


WHO設立60周年、そしてアルマ・アタ宣言から30周年という記念すべき年に際し、心からお祝いを申し上げます。また、この度は、マーガレット・チャン氏の卓越した指導力のもと、WHOではじめて伝統医療をテーマとした国際会議が実現したことに深く敬意を表します。

日本財団は、社会福祉、教育、医療など幅広い公益活動を国内外で展開しています。このうち日本財団の活動の柱でもある世界のハンセン病制圧活動につきましては、長年に渡りWHOや各国保健省と連携し、協力して活動してきました。

1985年以来1600万人の患者を病気から解放し、122カ国あったハンセン病未制圧国が、2〜3年後には全世界で制圧される見込みです。これもひとえに、ここにご出席の皆様や多くの関係者のたゆまぬ努力のお陰であり、この場を借りてあらためて深く感謝申し上げます。

私は開発途上国において、風邪や下痢にもかかわらず、薬が入手不可能なために、病状を悪化させ、苦しんでいる人々の姿を目の当たりにしてきました。そしてこのような現状を克服するために、どうすれば良いかを常に考え、行動してきました。そこで、長い歴史の中で人々の知恵と技術によって熟成された伝統医療の活用こそが重要な役割を果たすという考えに至りました。

伝統医療の活用促進を図る日本財団の主な活動として、2003年のWHOによる初の伝統医療ワールドサーベイへの協力、そして現在ではモンゴルでの置き薬プロジェクトなどの実践活動を通じて、伝統医療を活用したプライマリ・ヘルスケアへのアクセスシステムの構築に力を注いでいます。

 モンゴルでは、遊牧民が広大な土地を転々として生活するため、医者や薬へのアクセスが困難であり、それが原因で病状を悪化させるなど深刻な問題がありました。この医療環境を改善するために活用したのが、伝統医療と日本の“置き薬システム”です。

“置き薬システム”とは日本で300年以上の歴史を持ち、薬売りが各家庭を訪問して医薬品を詰めた薬箱を置き、利用した分だけ後で代金を回収するものです。私は、モンゴル人の生活習慣(ライフスタイル)や国民性、契約を大切にするという気質などを総合的に鑑み、この手法はモンゴルにおいても適用できると考え、まず、第一段階として10,000世帯に導入しました。そして、成果をみながら全国的に拡大していく予定です。

置き薬に含まれる医薬品のすべては、モンゴルの伝統医薬品で、古くからその効能が実証され、品質保証済みのものを使用しています。また、伝統医薬品の価格は、近代医薬品の1/10〜1/20と安価であります。薬は、地域の医療従事者(メディカル・プラクティショナー)が各家庭に届け、後日、使用した薬の代金を回収しに行きます。

ちなみに、代金の回収率はほぼ100%という報告を受けており、“置き薬システム”が現地に定着していることが窺えます。午前中、モンゴル保健省のボルド(Bold)氏による詳しい報告があった通りですが、このプロジェクトを実施した結果、遊牧民の満足度は高く、ある地域では医者の往診数が40%減少するなど、プライマリ・ヘルスケアによる効果が表れています。

伝統医療を活用することの重要性は周知の通りですが、同じ方法がすべての国や地域に適用できるものではありません。私は、各国の文化を尊重し、国民性や地域性に合った方法を用いて、柔軟性を持って対応することが重要であると認識しています。そして、試行錯誤しながらも、それを行動に移すことが必要です。

日本財団はモンゴル以外でも伝統医療に関する支援をしておりますが、その際も、一概に1つの手法を当てはめるのではなく、それぞれの国にあったやり方で事業を進めております。
ミャンマーでは、各家庭ではなく、各集落で選ばれたコミュニティ・リーダーのもとに1つずつ薬箱を配置し、ミャンマー全土の7,000ヵ所に配備するプロジェクトを開始しました。

また、タイにおいては、1,200世帯に置き薬を配布し、ヘルス・ボランティアや大学教授などの専門家の協力を得て、伝統医療と“置き薬システム”に関する調査研究を行うプロジェクトに着手しています。なお、この成果は各国の伝統医療の実施普及、発展のために世界に公開されることになっています。

さらに薬の品質管理(安全性や効能)の向上を含めた伝統医療の世界的な発展に寄与するため、ASEAN事務局と5年間に渡る業務提携を約束しました。また、カンボジアでは国内初となる伝統医療学校におけるカリキュラム策定をはじめとしたソフト面での協力を行っていく予定です。その他、ラオスなどからも協力要請を受けていますが、日本財団は各国が持つ伝統医療という資源を有効活用し、それぞれの事情に合った方法で協力をしていきたいと考えております。

 世界には、今もなお医療や薬にアクセスできず、非常に多くの人が苦しんでいます。こうした薬の届かない人々に薬を届けることによって、人々の健康増進、特に貧困家庭の医療環境改善に寄与してまいりたいと考えております。
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コメント
英文スピーチは日本財団公式サイトからご覧いただけます。
Posted by: 渡辺  at 2008年12月11日(木) 12:34

素晴らしい活動だと思います。
こちらの英語スピーチの原文はどこかに掲載されておりましたらご教示ください。
西洋薬だけに頼らない伝統医療あるいは生薬等の利用が今後さらに重要になると思っており、アフリカでの共同研究を予定しております。
Posted by: 石川  at 2008年12月02日(火) 16:09