平和大学・修士卒業式 [2008年11月23日(日)]
![]() 卒業生と挨拶を交わす筆者(平和大学) 「平和大学・修士卒業式」 10月24日、フィリピンを代表するアテネオ・デ・マニラ大学で、28人という、多分、世界で最も小規模な大学院生の卒業式が静かに挙行された。 近頃は国際機関や地域紛争の現場でも学歴が必要な時代になってきた。 平和大学の修士学生には、全額、日本財団の奨学金が付与され、海外青年協力隊やNGOで活躍した志ある青年が、国際舞台でさらなる活躍ができるよう援助する制度で、アテネオ大学で英語研修4ヶ月、コスタリカの平和大学で平和の授業7ヶ月、アジアに特化した授業とインターシップの4ヶ月からなる計19ヶ月の授業終了後、修士号を取得する仕組みである。 第1回卒業生28名の内訳は、日本人15名、フィリピン、ネパール、スリランカ、キルギスタン、ベトナム、バングラディッシュ、インドネシア、中国、韓国からで、総勢28名である。 アテネオ大学のネブラスカ学長、平和大学のマレスカ学長も出席され、卒業式は厳粛に執行された。 以前、米国の卒業式の様子をブログに書いたことがある。 外国では家族や恋人も出席し、共に喜びを分かち合う仕来りで、レジャーランド化した日本の卒業式とは大いに趣を異にする。 残念なことは、就職の時期ではないため、全員の就職先が決定していないことである。「全員がほぼ希望通りの就職をするだとう」と担当者は胸を張るが、今後は就職時期を考慮した学期に変更する必要があるかも知れない。 卒業後は28人の第1期生を中心に、今後の卒業生全てが参加するネットワークを構築し、紛争解決、地域発展のプロ集団化を目指すのが私の夢である。 以下は、卒業式の祝辞である。 =============================================================== 国際平和研究デュアルキャンパス修士プログラム卒業式・祝辞 (原文・英語) 2008年10月24日 於:アテネオ・デ・マニラ大学 本日、ここに卒業式を迎えた28名の皆さん、おめでとうございます。皆さんの卒業を心からお祝いいたします。 世の中はお金になることをしたいと思う人が大半のなか、ここにいる28名の皆さんは、世のため人のために尽くしたいという高い志を持ち、日々努力を重ねられています。皆さんの崇高な志に感銘を受けるとともに、心から敬意を表します。 私は国際協力活動に携わって30年ほどになりますが、そもそもこの世界に入るきっかけとなったのは小学生時の戦争体験が大きく影響しています。 第2次世界大戦中の1945年、私が7歳の時に受けた東京大空襲により、一晩で10万8千人の尊い命が奪われました。私は幼いながらもその死体の山の中を分け入り、亡くなっている近所の人々に名札を付ける作業を手伝いました。 その時の悲惨な光景は今でも鮮明に覚えていますし、子供ながらに感じた悲しみ、失望、戦争への恐怖は決して忘れることができません。だからこそ平和にかける願いも人一倍強く、熱いものであります。 しかし現状は厳しく、毎日のニュースで紛争の絶え間ない世界に心が痛む思いです。アジア地域も例外ではなく、スリランカやネパール、南タイ、東ティモールといった国々では深刻な紛争が絶えません。 このような中、平和構築に係わる国際機関等においては優秀な人材の確保、育成を急務としています。特に人材の不足しているアジアの国々ではその重要性、緊急性が益々高まっているのは皆さんご承知の通りです。 近年の紛争や対立は、地域レベルや国レベル、民族間や宗教間、或いは無作為テロなど非常に形態が多様化しており、複雑になっています。よって既存の考え方や枠組み、処方箋で対処することは至難の業です。 紛争を終結し、社会の安定と平和を確立する為には、まずはその国の言語や歴史、信仰、文化に対する価値観の違いを理解し、柔軟に対応しなくてはなりません。そして様々な国の人との間に理解と信頼で結ばれた絆をつくり、英知を結集して連携して問題解決に取り組まなくてはなりません。 そこで皆さんには、価値観を異にする人々と語れる勇気を持ち、困難があっても決して諦めない忍耐力と継続力、さらに優れた行動力を以ってあらゆる問題に立ち向かっていただきたい。そして平和構築を創るアジア人のパイオニアとして、貴方たちに続く入学者から尊敬と憧れを受ける人になれるよう、地道な価値ある仕事に誇りをもって取り組んでいただきたい。 皆さんがこの19ヶ月で得た平和構築に関する知識や経験、そして何より同じ志を持ったアジア各国の仲間は、今後皆さんが平和構築活動の第一線で活躍するうえでの貴重な財産となったはずです。 また、日本財団の仲間には、世界を良くしよう、アジアを良くしようという方たちが世界各国にいます。彼らは困った時には必ず力を貸してくれる信頼のおける方たちばかりですので、何か協力を必要とするときはまず私に声をかけてください。 私は世のため人のために尽くそうという皆さんのような立派な志を持つ方たちが活躍できる舞台を創っていくことこそ、与えられた最大の義務と考えていますし、必ず実行していくことを皆さんに誓います。 最後になりますが、皆さんの前途に素晴らしい未来が開けていくことを祈念し、またその未来を夢と志と勇気をもって皆さんが切り開いていってくれることを信じ、その健闘を祈って、私の皆さんへのはなむけの言葉といたします。 |










