日中笹川医学奨学金制度・挨拶 [2008年10月04日(土)]
![]() 歓迎式典で挨拶する筆者 「日中笹川医学奨学金制度」 挨拶 2008年9月17日 ホテル東京ガーデンパレス 四川大地震から4ヶ月が経ちました。未だ現地には多くの問題が山積していることを私も重々承知しています。この場を借りて改めてお見舞いの意を表したいと思います。 一方、北京五輪が大成功裏に終わり、中国は最多のメダルを獲得されました。心からお喜びを申し上げたいと思います。 この日中笹川医学奨学制度による奨学生の受け入れは今回で31回目を数え、ここに皆様方をお迎えすることになりました。皆様方の顔を拝見すると、大変美しく輝き、自信に満ち溢れている様子が伺えます。 五輪の金メダル世界一だけが皆様方の自信につながっているわけではないと思います(笑)。今日の皆様方の自信に満ちた顔は、日本で学ぶことに明確な目標を持ち、十二分に準備された表れであると私は確信しています。 当初、この奨学事業は10年計画で始まりました。その後、皆様方の医学に対する向上心と熱意に応える形でさらに10年延長し、20年間実施してきました。そして今回、新たな仕組みのもとさらに事業を強化させ、ここに一回目となる皆様をお迎えしたわけです。向学心に燃える皆様をお迎えできたことは、私たちの喜びでもあります。笹川医学生は中国の医学界で大変活躍されています。SARS問題の時には第一線に立ち、四川大震災では温家宝首相に状況報告されたのも笹川医学生でした。 日本からの救援部隊の通訳や現場での連絡役など、華西医科大学が中心に活動されていましたが、その一翼を担っていたのも笹川医学生です。私たちは皆様方の先輩の働きを見聞きすることで、共に大きな誇りと喜びを共有しております。 人を育てることは時間と忍耐を必要とする仕事です。笹川医学生の場合は、日中医学協会をはじめ、今日ご臨席の各大学や研究所、そして主任教官の素晴らしいご協力とご努力によりここまで成果を上げることができました。心から感謝を申し上げたいと思います。 私たちの組織には、未来を背負う指導者養成を目的とした奨学基金制度がいくつもあります。最も大規模な制度は、世界の68大学の修士博士課程に奨学基金を設け、中国では北京、南京、復旦、吉林大学をはじめとする10大学で実施しています。これまで47カ国で1万人を超える卒業生を輩出しています。卒業生の中には大臣や学長など、それぞれの分野の指導者として活躍する人材も現れつつあります。 日中間は一衣帯水と言われていますが、それでも文化は全く異なるものです。その違いを皆様方には是非知っていただきたいと思っています。 かつて駐日アメリカ大使であり、日本研究の第一人者と言われたエドウィン・ライシャワー博士は「日本は東京も良いし、大阪も素晴らしい。京都や奈良の歴史や文化はさらに素晴らしい。しかし、それだけでは日本を見たことにはならない。山の向こうにもう一つの日本がある」というような言葉を残しています。皆様は一年の研究生活で、さほど時間がないかもしれませんが、日本の各地を訪ね、それぞれの地域の文化を知っていただきたいと思います。 東京と大阪、京都と奈良だけで日本を見たことにはならないのです。地方にはもっと素晴らしい歴史や文化があることを心に留めていただき、医学の勉強のみならず、日本の素晴らしい文化に触れ、多くの友人を作っていただきたいと願っています。 私たちは四川大震災の被災地で、何が求められているかを考えております。もちろん中国政府も懸命に復旧作業に取り組み、各省も四川の復興に尽力しています。その中で私たちは足りない点があることに気づきました。 それは被害者の心に残された傷を癒すことです。心理療法と呼ばれる、悲しみに対する医療、心の治療が被災地ではまだ行われていません。現在、現地で対応に当たる人材養成の準備を進めています。一人でも多くの被害者が一日も早く心が癒され、悲しみを乗り越えて新たな人生を過ごしていただきたいと願っています。そのためにも私たちは努力をしていきたいと思っています。 私は皆様方が学問を終える一年後、再びお会いすることを楽しみにしています。私は年に数回、中国を訪問していますが、行く先々で、必ず卒業生の皆様と会うための朝食会や昼食会を開催し、お互いに絆を深め合っています。 笹川医学奨学制度の特色は、単に私たちが奨学金を提供し、あるいは皆様方が医学を学ぶだけでお互いの関係を終わらせることではなく、皆様方と生涯を通じて絆を深めていくことに重きを置いていることです。未来永劫にわたり心と心の絆を深めていくことのできる制度であることを、胸の中に留めていただきたいと思います。 |











当初、この奨学事業は10年計画で始まりました。その後、皆様方の医学に対する向上心と熱意に応える形でさらに10年延長し、20年間実施してきました。そして今回、新たな仕組みのもとさらに事業を強化させ、ここに一回目となる皆様をお迎えしたわけです。向学心に燃える皆様をお迎えできたことは、私たちの喜びでもあります。