「アフリカ問題とTICAD」その1 [2008年08月11日(月)]
![]() 「アフリカ問題とTICAD」その1 アフリカ諸国の元首や首脳が大挙して来日した第4回アフリカ開発会議(TICAD)は、日本の援助の大盤振る舞いで成功裡に終了したかに見える。しかし問題はこれからで、約束が着実に実行され、目に見える成果を上げることが出来るか否かである。アフリカ諸国は日本の約束を決して忘れないであろう。 2007年のアフリカの成長率は6.2%と高く、「成長無縁大陸」とまでいわれた一昔前には想像もできなかった事態である。成長の牽引力は西側からのODAの大量投入ではなく、外国からの石油その他、地下資源を中心にした直接投資の結果であると、平野克己氏(ジェトロ・アジア経済研究所 地域研究センター長)は指摘している。 しかし、この経済成長による恩恵に浴している人口は極めて少数であり、所得格差は拡がり「皆が貧しい大陸」から「大きな矛盾とともに成長する大陸」に変貌しているともいわれている。 根本的な問題は、私がTICAD Wで演説したように、農業問題である。アフリカの人口の7割以上は農業に従事している、というより、生きるための農業、東畑精一氏の言葉によると「生業」である。 この「生業」である農業生産性を上げずにアフリカ問題は解決し得ず、農業生産こそ圧倒的多数のアフリカ諸国の人々の生活に死活的な影響を与える。 1960年以降、人口は3倍以上となったが、農業生産量は1.4倍になったにすぎない。したがって成長率が6.2%になったからといっても、多くのアフリカの人々の生活向上に寄与しているわけではない。発展途上国の自立は、農業の生産性向上なくしてはあり得ないし、私のこの信念にも揺るぎはない。 農業生産性の向上と食料安定供給の実現こそ、国家独立の基と考える。 私がアフリカの貧農に食料増産の技術を教育する「ササカワ・グローバル2000」プロジェクトを開始したのは22年前。悪戦苦闘しながらも着実に成果をあげてきた。訪問した国も24ヶ国になる。 当初、世界銀行も「ササカワ・グローバル2000」には冷ややかであった。「長年、世界銀行がアフリカと取り組んできて成果が上がらないのに、成功するはずがない」という。又、アフリカの農民に提供する化学肥料はヨーロッパの百分の一にも満たないのに、環境NGOとも戦わざるを得なかった。 これらも青々と実る畑、喜々とした農民の前に、ようやく終息した。いよいよ「ササカワ・グローバル2000」の真価が問われる時代になってきた。 平野克己氏は「ササカワ・グローバル2000」開始当初、同僚として活躍してくれた。この度「企業が変えるアフリカ」(JETRO出版)を出版した。現在アフリカで何が起きているのかを知る上で好著として評判が高い。 この平野氏と現・笹川アフリカ協会の宮本正顕事務局長の二人は、開始当時、「将を射んとするにはまず馬を射よ」の例え通り、ガーナのジェリー・ローリングス大統領(当時)のナナ夫人に急接近、大きな信頼を得た。ある時、自宅に呼び込まれ、何事かとおっとりがたなで駆け付けると、大統領夫妻の寝室に招き入れられた。ことは単純。冷房の具合が悪いので直してくれとのこと。二時間近く、汗だくでなれぬ仕事の結果、首尾よく修理完了。 もしあの時、突然ロ−リングス大統領がご帰館であったなら、あの武器好きの大統領のこと、即座に射殺されたに違いないと、大いに冷や汗をかいたらしい。 何はともあれ、世界広しといえども、大統領の寝室に潜り込んだ日本人は、二人をおいてあるまい。 6月22日毎日新聞に、アフリカに関する著書の書評が掲載された。 *アフリカ 苦悩する大陸 ロバート・ゲスト 東洋新聞社 *アフリカに緑の革命を! 大高未貴 徳間書店 この二冊、アフリカ理解の良書である。 手前味噌で恐縮だが、「アフリカに緑の革命を!」は、我々のアフリカでの苦闘の歴史を若いジャーナリストの大高さんが注目し、現地取材の上書き上げたものである。 是非一読をおすすめしたい。 なおアフリカの食糧問題については、アフリカで22年間にわたる我々の活動を雑誌「国際開発ジャーナル」新海美保記者がレポートしてくれた。明後日、8月13日(水)のブログに掲載させていただきます。 |










