日本財団関連団体代表者会議・挨拶 [2008年04月30日(Wed)]
※4月18、19日の二日間、海外で活動を行っている日本財団の関連団体の代表者が一同に会し会議を開催しました。会議冒頭に私が挨拶をしましたのでその内容を掲載いたします。
日本財団関連団体代表者会議 開会・挨拶 2008年4月18日 午前9時 於:日本財団ビル2階 皆様、おはようございます。 今回は、グレイトブリテン・ササカワ財団、笹川アフリカ協会、笹川日仏財団、スカンジナビア・ニッポン・ササカワ財団の幹部の方々に一堂に会していただき、心からお礼申し上げます。 私たちは、日本財団とご出席くださった二国間財団との間で、長期に亘り仕事をしてきました。 その中で多くの方々から他の財団の活動、日本財団と関連のある日本国内の財団の活動、あるいは日本財団の日本国内で置かれている立場など、非常に積極的な質問や疑問を頂戴しています。 そのような契機から試みとして、一堂に会して意見交換し、互いの関係や位置づけを知り、私たちの活動全体を把握いただける場として、また会議の結果によっては共に仕事をするようなプログラムも創出できるのではないかとこの会議を開催しました。 各国の財団は独立した組織として運営されています。今日お集まりの日本の各団体もそれぞれの組織に評議員会、理事会があり、独立した組織です。 私たち日本財団との関係においては、姉妹財団、兄弟財団というような位置づけにありますが、日本財団が各財団に対して、ある種の強制力を持つとか、支配しているということは全くありませんことをご理解いただきたいと思います。 今回、米国の米日財団が理事会後ということもあり、出席できなかったことは残念なことです。私たちは先進国との間に可能な限り二国間財団を設立し、共に仕事をしてきました。米国をはじめとして、英国、仏国、スカンジナビア諸国との間に二国間財団を設立しました。 二国間財団を設けることで、先進国との仕事が上手くいくだろうと考えたのです。結果、素晴らしい成果を挙げていることは間違いないことです。また中欧、中国、アジア諸国、南太平洋島嶼国との間において活動するための基金も設置しました。 私たちの基本的な考え方は、今年、来年、あるいは近い将来についての活動が多い中で、20年、30年後という長期的な視野で活動方針を作成し、活動していることです。 日本財団は全国百数十カ所の地方自治体が行う『競艇』というスポーツを通じていただく資金で運営されています。この額は年間3億米ドルに上ります。 この資金を国内と海外の仕事に分けて使っています。国外に対する援助費は約4千万米ドル強であり、国内での仕事が多いことがわかります。 国際的には二国間関係の強化もありますが、発展途上国に対する人材の養成、アフリカその他地域における食糧増産活動を通じての貧困問題の解決、あるいは私のライフワークでもあるハンセン病の制圧が挙げられます。 最近では各国における伝統的な医療の再復興による貧しい人々の健康問題解決への貢献も柱の一つになっています。 日本財団はわが国最大の財団です。私たちは助成財団として日本中で世のため、人のために活動している公益法人や社会活動家を支援しています。 一方、長期的展望に立ち、わが国になくてはならない組織の設立という仕事も行い、自らの手でつくらなければ存在しなかった組織も多くあります。 例えば東京財団は日本で唯一の独立型のシンクタンクです。政府の資金、あるいは研究費を他に求めないことで、独自の研究成果を誰からも制約されることなく発表できるのです。そのような独立型のシンクタンクはわが国では東京財団しかありません。 あるいは笹川平和財団のように各国間との相互理解の促進という切り口のもと活動する組織も私たちがつくるまで存在しなかったわけです。日本財団は多くの方々に助成するとともに、わが国にはない組織を自ら作ってきたのです。 私たちは、面白い活動方針を持っていますので紹介します。 1.あまねく平等にではなく、優先順位を持って、深く、且つ、きめ細かく対応すること 2.前例にこだわることなく、新たな創造に取り組むこと 3.失敗を恐れずに速やかに行動すること 4.社会に対して常にオープンで透明であること 5.絶えず自らを評価し、自らを教育することを忘れてはならないこと 6.新しい変化の兆しをいち早く見つけて、それへの対応をすること 7.世界中に良き人脈を開拓すること この7つの活動方針が日本財団の行動に対する基本的な考え方です。 日本財団と関連財団の日本における位置づけというのは、民間の力で日本の社会を変えていく引き金としての役割を果たしていくことです。先の7つの行動指針は政府や行政の手法と全く反対のことを表明しています。 3億米ドルの資金ですが、日本の社会のより良い変化のために活用することで、わが国では突出した組織として、関連財団を含め大きな誇りを持ち、活動しています。 日本は60年前の終戦後、民間人は税金を納めさえすれば全て国家や行政が国民の生活について十分に配慮し、サービスを提供してくれるという前提に立ってきました。そのため、世のため、人のための活動というのは、国や地方自治体が行うものと自然に考えられてきたわけです。 私たちの組織は生まれて46年になりますが、何故、私たち民間人が公の仕事である世のため、人のための活動をしてはいけないのかという問題提起を持ち、長い間活動してきました。 現在の日本国は、約8兆米ドルの債務を抱えています。国家は勿論のこと、地方行政においても財政不足による様々な歪が起こっています。当然、歪により最初に被害を受けるのは社会的弱者です。 老人であり、障害者であり、所得の低い人たちです。日本財団は国家財政では全てを賄えないことを理解した上で、多くの日本中で活躍するNPO、あるいはNGO、ボランティア活動に携わる人たちの組織化と彼らの活動を支えています。 組織化を具体的に実行に移すための最大の支援団体として日本財団は存在しているのです。日本国あるいは日本の国民のために、国家や行政に任せるだけでなく、国民一人ひとりが立ち上がり、社会変革を起こし、より安全で住みやすい日本をつくるための働きを、NPO、NGOを発展させる中で作り上げたいというのが、私たちの大きな国内での活動です。 また私たちは日本の企業に刺激を与え、彼らのCSR活動を活発にすることに取り組んでいます。ウェブサイトを活用し、日本の一流企業1700社のCSR活動(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に関する情報を掲載しています。 企業がNGOやNPOとの連携を確立し、社会のために参加することは、ともするとグローバリゼーションの中で日本にもたらされた株主優先の思想に反するかもしれません。 企業は全て株主に奉仕するという考えは、私たちの伝統的な企業のあり方を革命的に変えつつあります。今の日本国においては「全て株主に奉仕」、それだけでは社会は成り立ちません。企業がより社会を良くするために活動し参加することを考えねばなりません。 また労働者には制度として週に二日の休日が与えられています。私は1日は家族のため、もしくは自分のために、もう1日は社会活動のために使っていただきたいということを日本最大の労働組合に逐次訴えています。しかし、まだ十分に理解を得るまでには至っておりません。 社会の歪を是正するために日本財団は2つの手法を用いているのです。企業のCSR活動を活発化にし、また自らが市民活動を活発にすることで歪を穴埋めしようと日夜努力しています。 私たちの活動を通じて社会が変化したという実例を私たちは数多く経験しています。私たちの日本財団、あるいは関連財団はより良い日本、より住みやすく平和な日本をつくるために民間の立場から継続的にアプローチしている組織体であるということをご理解いただきたいと思います。 【関連団体会議出席団体】 ○グレートブリテン・ササカワ財団 ○笹川日仏財団 ○笹川アフリカ協会 ○スカンジナビア・ニッポン・ササカワ財団 ○海洋政策研究財団 ○笹川記念保健協力財団 ○笹川平和財団 ○東京財団 ○日本音楽財団 ○日本太鼓連盟 ○日本科学協会 ○日本財団 |